・局所進行性直腸がん患者が対象の第2相試験
・化学放射線療法+コンソリデーション療法もしくは導入療法としての化学療法の有効性・安全性を比較検証
・3年無増悪生存率は73%、3年局所再発率は5%、3年遠隔転移発症率は16%であり、
導入療法との統計学的有意差はないものの、高い病理学的奏効率を示した
2021年11月18日、医学誌『JAMA Oncology』にて局所進行性直腸がん患者に対する化学放射線療法+導入療法もしくはコンソリデーション療法としての化学療法の有効性、安全性を比較検証した第2相のCAO/ARO/AIO-12試験(NCT02363374)の結果がUniversity of FrankfurtのEmmanouil Fokas氏らにより公表された。
CAO/ARO/AIO-12試験は、局所進行性直腸がん患者(N=306人)に対してフルオロウラシル+ロイコボリン+オキサリプラチン併用療法後、フルオロウラシル+オキサリプラチン+放射線療法(50.4Gy)を投与する群(Group A、N=156人)、またはフルオロウラシル+オキサリプラチン+放射線療法(50.4Gy)後、フルオロウラシル+ロイコボリン+オキサリプラチン併用療法を投与する群(Group B、N=150人)に無作為に振り分け、主要評価項目として病理学的寛解率(pCR)を比較検証した第2相試験である。
本試験が開始された背景として、直腸間膜切除術(TME)を実施する局所進行性直腸がん患者に対する前治療の順番として化学療法、化学放射線療法のどちらが有効かを検証する目的で本試験が開始された。
本試験に登録された306人の患者背景は下記の通りである。年齢中央値はGroup Aで60歳に対してGroup Bで62歳。性別はGroup Aで男性68%(N=106人)に対してGroup Bで男性67%(N=100人)。以上の背景を有する患者に対するフォローアップ期間中央値43ヶ月時点における結果は下記の通りである。
3年無増悪生存率(PFS)はGroup Aの73%に対してGroup Bで73%であり、両群間で同等であった(HR:0.95、95%信頼区間:0.63-1.45、P=0.82)。3年局所再発率(cumulative incidence of locoregional recurrence)はGroup Aの6%に対してGroup Bで5%(P=0.67)、3年遠隔転移発症率はGroup Aの18%に対してGroup Bで16%(P=0.52)と、両群間で統計学有意な差は確認されなかった。
一方の安全性として、3年後のグレード3もしくは4の有害事象(AE)発症率はGroup Aの11.8%(N=10/85人)に対してGroup Bで9.9%(N=8/66人)を示した。
以上のCAO/ARO/AIO-12試験の結果よりEmmanouil Fokas氏らは「局所進行性直腸がん患者に対する化学放射線療法+コンソリデーション療法としての化学療法は無増悪生存率(PFS)、局所再発率、遠隔転移発症率等を損なうことなく高率な病理学的寛解率(pCR)を示しました」と結論を述べている。