7月27日、英アストラゼネカ社は、成人の進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)の一次治療として、イミフィンジ(一般名:デュルバルマブ、以下イミフィンジ)が化学療法(エトポシドとカルボプラチンもしくはシスプラチン)との併用療法で製造販売承認を取得したことを発表した。
小細胞肺がん(SCLC)は肺がんの約15%を占め、そのうちの約3分の2は進展型である。SCLCの5年生存率は6%と悪性度が高く、増殖が速いがん種である。
今回の承認は第3相CASPIAN試験の結果に基づいている。同試験はES-SCLC患者805人に一次治療として、イミフィンジ+化学療法群、イミフィンジ+化学療法+トレメリムマブ群、化学療法群を投与する群にそれぞれ割り付け、有効性、安全性を検討したランダム化非盲検国際多施設共同試験である。イミフィンジ+化学療法併用療法が、化学療法単独と比較し、統計学的有意に全生存期間を延長した。さらに、追跡期間中央値が2年を超えた時点でも持続的な有効性が示された。
第3相CASPIAN試験の国際治験調整医師であるLuis Paz-Ares医学博士は「CASPIAN試験は、イミフィンジと医師が選択する白金系抗悪性腫瘍剤とエトポシドを用いた化学療法との併用療法が、良好な忍容性を示し生存期間の延長をもたらす重要で新たなES-SCLCの一次治療の選択肢となり得ることを示しました。欧州の多くの医師にとって、シスプラチンはこの病気に対して好んで選択される化学療法であり、今回の承認勧告は、欧州のES-SCLC患者さんに対して、初めてシスプラチンと免疫治療との併用療法を可能にする重要なステップとなります」と述べている。
イミフィンジとエトポシドにカルボプラチンもしくはシスプラチンの併用療法は、ES-SCLCの一次治療として米国など複数国で承認されており、日本においても薬事承認申請中である。
イミフィンジについて
イミフィンジは抗PD-L1ヒトモノクローナル抗体であり、PD-L1に結合しPD-L1とその受容体であるPD-1、CD80の相互作用を阻害することで抗腫瘍免疫反応を誘発する。非小細胞肺がんにおいては、切除不能な局所進行(ステージIII)の患者において化学放射線療法後の維持療法として日本も含み多くの国で承認されている。
参照元:
アストラゼネカ株式会社 プレスリリース
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