・MET遺伝子増幅および/またはMETエクソン14スキッピング変異を有する進行非小細胞肺がん患者が対象の第2相試験
・カプマチニブ単剤療法の有効性・安全性を比較検証
・全奏効率は前治療群で41%、未治療群で68%を示した
2020年9月3日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にてMET遺伝子増幅および/またはMETエクソン14スキッピング変異を有する進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対するMET阻害薬であるカプマチニブ(INC280)単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相のGEOMETRY mono-1試験(NCT02414139)の結果がTranslational Lung Cancer ResearchのJuergen Wolf氏らにより公表された。
GEOMETRY mono-1試験とは、MET遺伝子増幅および/またはMETエクソン14スキッピング変異を有する進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者(N=364人)に対して1日2回カプマチニブ(INC280)400mg単剤療法を投与し、主要評価項目として全奏効率(ORR)、副次評価項目として奏効持続期間(DOR)などを検証した多施設共同非盲検の第2相試験である。
本試験が開始された背景として、MET遺伝子エクソン14スキッピング変異は非小細胞肺がんの約3~4%の患者、MET増幅は約1~6%の患者で確認されている。MET選択的阻害薬であるカプマチニブは、MET遺伝子増幅および/またはMETエクソン14スキッピング変異陽性の固形がんに対して良好な抗腫瘍効果が基礎試験、臨床試験にて確認されている。
本試験の結果、主要評価項目である全奏効率(ORR)は下記の通りである。前治療歴1~2レジメン群の全奏効率(ORR)は41%(N=69人、95%信頼区間:29%-53%)、治療歴0レジメン群の全奏効率(ORR)は68%(N=28人、95%信頼区間:48%-84%)を示した。
副次評価項目である奏効持続期間(DOR)中央値は前治療歴1~2レジメン群で9.7ヵ月(95%信頼区間:5.6-13.0ヵ月)、前治療歴0レジメン群で12.6ヵ月(95%信頼区間:5.6ヵ月-未到達)。
なお、 治療歴のあるMET遺伝子コピー数が10未満であるMET遺伝子増幅群の全奏効率(ORR)は7%~12%を示し、有効性が限定的であった。また、 治療歴のあるMET遺伝子コピー数が10以上であるMET遺伝子増幅群の全奏効率(ORR)は29%(95%信頼区間:19%-41%)、未治療のMET遺伝子コピー数が10以上であるMET遺伝子増幅群の全奏効率(ORR)は40%(95%信頼区間:16%-68%)を示した。
一方の安全性として、最も多くの患者で確認されたのは末梢性浮腫51%、吐き気45%であり、それらのグレードのほとんどはグレード1~2であった。
以上のGEOMETRY mono-1試験の結果よりJuergen Wolf氏らは「MET遺伝子増幅および/またはMETエクソン14スキッピング変異を有する進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対するMET阻害薬であるカプマチニブ(INC280)単剤療法は、治療歴のない患者、MET遺伝子コピー数が多い患者で良好な抗腫瘍効果を示しました。また、末梢性浮腫、吐き気の有害事象(AE)発症率も低率であり、忍容性は問題ありませんでした」と結論を述べている。
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