・未治療のステージ2/3トリプルネガティブ乳がん患者が対象の第2相試験
・術前化学療法としてのPARP阻害薬リムパーザ単剤療法の有効性・安全性を検証
・客観的奏効率は56.3%で、奏効の内訳は完全奏効1人、部分奏効17人だった
2020年11月23日、医学誌『Annals of Oncology』にて未治療のステージ2/3トリプルネガティブ乳がん患者に対する術前化学療法としてのPARP阻害薬であるオラパリブ(商品名リムパーザ;以下リムパーザ)単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相のPETREMAC試験(NCT02624973)の結果がHaukeland University Hospital in BergenのHans Petter Eikesdal氏らにより公表された。
PETREMAC試験とは、未治療のステージII/IIIトリプルネガティブ乳がん患者(N=32人)に対して術前化学療法として1日2回リムパーザ300mg単剤療法を最大10週間投与し、主要評価項目としてがん関連遺伝子変異に関連した予後指標、効果予測指標を検証した第2相試験である。
本試験の結果、客観的奏効率(ORR)は56.3%を示し、奏効の内訳は完全奏効(CR)1人、部分奏効(PR)17人を示した。また、奏効を示した18人の患者の内、体細胞系列/生殖細胞系列のHR関連遺伝子変異を有する患者の客観的奏効率(ORR)は55.6%(95%信頼区間:33.7%-75.4%)。一方、奏効を示さなかった14人の患者の内、体細胞系列/生殖細胞系列のHR関連遺伝子変異を有さない患者の客観的奏効率(ORR)は7.1%(95%信頼区間:1.3%-31.5%)。
さらに、HR関連遺伝子変異を有さない患者の内、BRCA1のメチル化異常を有する患者(N=8人)の奏効率(RR)は75.0%に対して、BRCA1のメチル化異常を有さない患者(N=13人)の奏効率(RR)は23.1%を示した。
以上のPETREMAC試験の結果よりHans Petter Eikesdal氏らは以下のように結論を述べている。”未治療のステージII/IIIトリプルネガティブ乳がん患者に対する術前化学療法としてのPARP阻害薬リムパーザ単剤療法は、臨床的意義のある抗腫瘍効果を示しました。また、その効果はHR関連遺伝子変異を有する患者において顕著に確認されました。”
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