・分子標的治療薬の治療が受けられない進行性肝細胞がん患者が対象のレトロスペクティブ試験
・FOLFOX4(オキサリプラチン+フルオロウラシル/ロイコボリン)療法の有効性を検証
・全生存期間4.2ヶ月、無増悪生存期間2.9ヶ月であり、臨床的ベネフィットを提供する可能性が示唆された
2021年6月31日~7月3日、欧州臨床腫瘍学会世界消化器癌会議(ESMO 23rd World Congress on Gastrointestinal Cancer)にて、分子標的治療薬の治療が受けられない進行性肝細胞がん(HCC)患者に対するFOLFOX4(オキサリプラチン+フルオロウラシル/ロイコボリン)併用療法の有効性、安全性を検証したレトロスペクティブ試験の結果がSuranaree University of TechnologyのC. Chayangsu氏らにより公表された。
本試験は、タイのSurin hospitalにて2014年7月~2020年4月の期間に分子標的治療薬の治療が受けられない進行性肝細胞がん(HCC)患者(N=38人)に対してFOLFOX4療法を行い、評価項目として全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、奏効率(RR)を検証したレトロスペクティブ試験である。
本試験に登録された38人の年齢平均値は58.1歳。性別は男性81.6%。BCLC病期分類はステージCが94.8%。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。
全生存期間(OS)中央値は4.2ヶ月(95%信頼区間:2.6~5.0ヶ月)、無増悪生存期間(PFS)中央値は2.9ヶ月(95%信頼区間:2.2~4.1ヶ月)をそれぞれ示した。また、奏効率(RR)は29.2%、病勢コントロール率(DCR)は41.7%であった。
また、単変量解析の結果、予後不良因子になり得るリスクファクターは性別が女性であること、BCLC病期分類はステージC/D、B型肝炎感染、C型肝炎感染、α-フェトプロテイン(AFP)が400ng/mlを超える数値であることであった。
さらに多変量解析の結果、BCLC病気分類がステージD(HR:231.83、95%信頼区間:6.42-8370.24、p=0.003)、B型肝炎感染(HR:4.39、95%信頼区間:1.01-19.00、p=0.048)、C型肝炎感染(HR:30.93、95%信頼区間:4.56-209.69、p<0.001)が生存率低下の予後因子として認められた。
以上のレトロスペクティブ試験の結果よりC. Chayangsu氏らは「分子標的治療薬の治療が受けられない進行性肝細胞がん(HCC)患者に対するFOLFOX4療法は、臨床的ベネフィットを提供する治療選択肢になり得る可能性が本試験の結果より示唆されました」と結論を述べている。
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