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非ステロイド性アロマターゼ阻害薬後に病勢進行したHR陽性HER2陰性進行性乳がんに対するホルモン療法+Entinostat併用療法、全生存期間を有意に改善せずJournal of Clinical Oncologyより

  • [公開日]2021.08.24
  • [最終更新日]2021.08.24
この記事の3つのポイント
・非ステロイド性アロマターゼ阻害薬後に病勢進行したホルモン受容体陽性HER2陰性の進行性乳がん患者が対象の第3相試験
ホルモン療法+Entinostat(エンチノスタット)併用療法有効性安全性プラセボと比較検証
無増悪生存期間エキセメスタン+Entinostat群3.3ヶ月、プラセボ併用群で3.1ヶ月と、有意な延長は示せず

2021年8月6日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて非ステロイド性アロマターゼ阻害薬(AI)後に病勢進行したホルモン受容体(HR)陽性HER2陰性の進行性乳がん患者に対するホルモン療法+クラスIヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害薬であるEntinostat(エンチノスタット)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のE2112試験(NCT02115282)の結果がThe Johns Hopkins Sidney Kimmel Comprehensive Cancer CenterのRoisin M. Connolly氏らにより公表された。

E2112試験は、非ステロイド性アロマターゼ阻害薬(AI)後に病勢進行したホルモン受容体(HR)陽性HER2陰性の進行性乳がん患者に対して1日1回エキセメスタン25mg+1週間に1回Entinostat 5mg併用療法を実施する群、または1日1回エキセメスタン25mg+プラセボ併用療法を実施する群に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、全生存期間OS)、副次評価項目として安全性、客観的奏効率ORR)などを比較検証した国際多施設共同二重盲検下プラセボ対照の第3相試験である。

本試験が開始された背景として、ホルモン療法に抵抗性のある進行性乳がんは臨床的に重要な課題となっており、クラスIヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害薬Entinostatにより克服できる可能性がある。非ステロイド性アロマターゼ阻害薬(AI)後に病勢進行したホルモン受容体(HR)陽性HER2陰性の進行性乳がん患者に対するホルモン療法へのクラスIヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害薬Entinostat上乗せ効果は、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を改善することが過去のENCORE301試験によって示されている。以上の背景より、第3相試験にてエキセメスタン+Entinostat併用療法の有用性を比較検証する目的で本試験が開始された。

本試験に登録された608人の年齡中央値は63歳(29~91歳)。臓器疾患を有する患者は60%。前治療歴の種類は化学療法60%、フルベストラント30%、サイクリン依存性キナーゼ阻害薬(CDK4/6阻害薬)35%。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。

主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はEntinostat併用群の3.3ヶ月に対してプラセボ併用群で3.1ヶ月と、Entinostat併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを13%(HR:0.87、95%信頼区間:0.67~1.13、P=0.30)減少した。また、もう1つの主要評価項目である全生存期間(OS)中央値はEntinostat併用群の23.4ヶ月に対してプラセボ併用群で21.7ヶ月と、Entinostat併用群で死亡(OS)のリスクを1%(HR:0.99、95%信頼区間:0.82~1.21、P=0.94)減少した。副次評価項目である客観的奏効率(ORR)はEntinostat併用群5.8%に対してプラセボ併用群5.6%を示した。

一方の安全性として、Entinostat併用群で最も多くの患者で確認されたグレード3~4の有害事象(AE)は好中球減少症20%、低リン血症14%、貧血8%、白血球減少症6%、倦怠感4%、下痢4%、血小板減少症3%であった。

以上のE2112試験の結果よりRoisin M. Connolly氏らは「非ステロイド性アロマターゼ阻害薬(AI)後に病勢進行したホルモン受容体(HR)陽性HER2陰性の進行性乳がん患者に対するホルモン療法+Entinostat併用療法は全生存期間(OS)を統計学的有意に改善しませんでした」と結論を述べている。

E2112: Randomized Phase III Trial of Endocrine Therapy Plus Entinostat or Placebo in Hormone Receptor–Positive Advanced Breast Cancer. A Trial of the ECOG-ACRIN Cancer Research Group(J Clin Oncol. 2021 Aug 6;JCO2100944. doi: 10.1200/JCO.21.00944.)

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