・進行性膵がん患者が対象の第1b/2相試験
・維持療法としてのニラパリブ+オプジーボ/ヤーボイ併用療法の有効性・安全性を検証
・6ヶ月無増悪生存率はニラパリブ+ヤーボイ併用群で59.6%と改善を示したが、
ニラパリブ+オプジーボ併用群は20.6%で劣勢であった
7月7日、医学誌『The Lancet Oncology』にてプラチナ系抗がん剤療法で少なくとも16週間病勢進行しなかった進行性膵がん患者に対する維持療法としてPARP阻害薬であるニラパリブ+抗PD-1抗体薬であるオプジーボ(一般名:ニボルマブ、以下オプジーボ)併用療法、ニラパリブ+抗CTLA-4抗体薬であるヤーボイ(一般名:イピリムマブ、以下ヤーボイ)併用療法の有効性、安全性を検証した第1b/2相試験(NCT03404960)の結果がAbramson Cancer CenterのKim A Reiss氏らにより公表された。
本試験は、プラチナ系抗がん剤療法で少なくとも16週間病勢進行しなかった進行性膵がん患者(N=91人)に対して1日1回ニラパリブ200mg+2週を1サイクルとしてオプジーボ240mg(のちに4週を1サイクルとして480mgへ変更)併用療法を実施する群(N=46人)、1日1回ニラパリブ200mg+4週を1サイクルとしてヤーボイ3mg/kg併用療法を実施する群(N=45人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として安全性、6ヶ月無増悪生存率(PFS:帰無仮説基準44%とし、60%は優越性、27%は劣性と評価)を検証した第1b/2相試験である。
本試験が開始された背景として、進行性膵がんに対する化学療法の治療抵抗性、蓄積毒性よりその他の治療選択肢に確立が必要とされている。以上の背景より、プラチナ系抗がん剤療法により病勢安定(SD)を示した進行性膵がんに対する維持療法としてのPARP阻害薬ニラパリブと免疫チェックポイント阻害薬の併用療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験のフォローアップ期間中央値23.0ヶ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である6ヶ月無増悪生存率(PFS)はニラパリブ+オプジーボ併用群で20.6%(95%信頼区間:8.3-32.9%、P=0.0002)、ニラパリブ+ヤーボイ併用群で59.6%(95%信頼区間:44.3-74.9%、P=0.045)を示した。
一方の安全性として、グレード3以上の有害事象(AE)発症率はニラパリブ+オプジーボ併用群で22%(N=10/46人)、ニラパリブ+ヤーボイ併用群で50%(N=23/45人)を示した。多くの患者で確認されたグレード3以上の有害事象(AE)はニラパリブ+オプジーボ併用群で高血圧が8%、貧血が4%、血小板減少症が4%、ニラパリブ+ヤーボイ併用群で疲労が14%、貧血が11%、高血圧が9%であった。
以上の第1b/2相試験の結果よりKim A Reiss氏らは「プラチナ系抗がん剤療法で少なくとも16週間病勢進行しなかった進行性膵がん患者に対する維持療法としてのPARP阻害薬ニラパリブ+抗CTLA-4抗体薬ヤーボイ併用療法は、6ヶ月無増悪生存率(PFS)を統計学有意に改善しました。一方、PARP阻害薬ニラパリブ+抗PD-1抗体薬オプジーボ併用療法は、6ヶ月無増悪生存率(PFS)の改善で劣勢を示しました」と結論を述べている。
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