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化学療法の副作用
吐き気やアレルギー反応、血管痛は24時間以内、骨髄抑制、全身倦怠感、下痢、口内炎は3日~2週間目以降に起こりやすい副作用です。脱毛、血栓症など2週間~1か月以上経って出る副作用もあります。
薬物療法で出やすい副作用と症状の強さ、出現時期は、薬によって異なりますし、患者さんによっても個人差があります。副作用に対処する薬の開発が進み、吐き気・嘔吐などのつらい副作用はかなりコントロールできるようになってきました。一般的な出現時期や対処法を知っておくと、ある程度冷静に対処できます。
副作用には、ある程度自分で対処できるものと、我慢せずにすぐに病院へ連絡したほうがよいものがあります。また、自覚症状があるものもあれば、最初は目立った症状がなく検査でわかる副作用もあります。不安があったら担当医や看護師、薬剤師に相談するようにし、副作用を恐れて勝手に薬物療法を中断しないようにしましょう。
乳がんの薬物療法に使う抗がん剤に共通して出現しやすい副作用は、骨髄抑制(白血球・赤血球・血小板・好中球の減少)です。エピルビシン、シクロホスファミド、ドキソルビシンなど、吐き気が強く出やすい抗がん剤を使う際には、あらかじめ点滴の中に吐き気止めを入れ、セロトニン受容体拮抗薬やステロイドなどを服用します。
エピルビシン、ドキソルビシン、ドセタキセル、パクリタキセルは特に脱毛が出やすい薬です。脱毛は治療を開始してから2~3週間後くらいから始まり、眉毛、まつ毛、体毛が抜ける場合もあります。アンスラサイクリン系薬剤(エピルビシン、ドキソルビシンなど)は心臓に対する副作用に要注意です。
タキサン系薬剤は手や足のしびれ、ピリピリ感、感覚が鈍くなるなどの末梢神経障害が起こりやすい薬です。ボタンをかけにくい、ものを落としやすいなど、日常生活に支障が出始めたら早めに担当医に伝えましょう。
分子標的薬は、抗がん剤で出やすい骨髄抑制、脱毛などの副作用は少ないのですが、抗HER2薬のトラスツズマブ、ペルツズマブ、TMD-1などは、まれに心毒性(心臓機能の低下、心不全)が起こる場合があり、そういった副作用が出た場合には使用を中止します。ベバシズマブは高血圧、タンパク尿、鼻や歯ぐきからの出血、骨髄抑制が起こることがあります。
ホルモン薬も抗がん剤のような副作用は少ないですが、顔がほてったり、急に汗が出たりするホットフラッシュ、更年期障害、性器出血、精神神経症状が強く出る人がいます。また、頻度は低いものの血栓症(肺塞栓症、脳梗塞、心筋梗塞)を引き起こす場合があります。LH-RHアゴニスト製剤やアロマターゼ阻害薬は関節のこわばりや痛み、骨粗しょう症が起こりやすい薬なので、定期的に骨密度を測ります。
一般的には、1種類の薬を投与するよりも、複数の薬を併用した場合に、副作用が強く出る傾向があります。重い副作用が出たときには薬物療法を中止し休薬するか、使う薬を変更します。
薬物療法を受けるときには、事前に、どういう副作用が出やすいのか、その副作用の対処法、どういうときに病院へ連絡すべきかなどを確認しておくことが大切です。
本コンテンツは認定NPO法人キャンサーネットジャパンが2018年10月に出版した「もっと知ってほしい 乳がんのこと」より抜粋・転記しております。