・再発難治性多発性骨髄腫患者が対象の第3相試験
・ベネトクラクス+ベルケイド+デキサメタゾン併用療法の有効性・安全性を比較検証していた
・患者死亡率がプラセボ群の11.3%に対して、ベネトクラクス群で21.1%と高率に確認
2019年3月19日、アッヴィ社のプレスリリースにて再発難治性多発性骨髄腫(RRMM)患者に対する経口BCL-2阻害薬であるベネトクラクス+ボルテゾミブ(商品名ベルケイド;以下ベルケイド)+デキサメタゾン併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のBELLINI試験(NCT02755597)の患者登録を一時中止する勧告を米国食品医薬品局(FDA)より受けたことを公表した。
BELLINI試験とは、プロテアソーム阻害薬治療歴のないまたは感受性のある再発難治性多発性骨髄腫(RRMM)患者に対してベネトクラクス+ベルケイド+デキサメタゾン併用療法を投与する群、またはプラセボ+ベルケイド+デキサメタゾン併用療法を投与する群に無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)などを比較検証した二重盲検下の第3相試験である。
なお、既に主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値の結果は公表されている通り、ベネトクラクス群22.4ヶ月に対してプラセボ群11.5ヶ月、ベネトクラクス群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを37%(HR:0.63,95%信頼区間:0.44-0.90)統計学的に有意に改善している。また、客観的奏効率(ORR)はベネトクラクス群82%に対してプラセボ群68%、ベネトクラクス群で統計学的有意に高率であった。
本試験の患者登録が一時的に中止に至った理由として、事前に計画されていた時点における解析の結果、患者死亡率がプラセボ群で11.3%(N=11/97人)に対してベネトクラクス群で21.1%(N=41/194人)高率に確認されたためである。そして、ベネトクラクス群の死亡患者の6.7%(N=13人)は治療関連有害事象(TRAE)によるものであり(HR:2.03,95%信頼区間:1.042-3.945)、その内8人は感染症が原因であった。
なお、グレード3~5の有害事象(AE)発症率はベネトクラクス群86.5%に対してプラセボ群87.5%、重篤な有害事象(SAE)発症率はベネトクラクス群48.2%に対してプラセボ群50.0%、両群間でほぼ同等であった。
また、全グレードの感染症発症率はベネトクラクス群79.8%に対してプラセボ群77.1%、全グレードの肺炎発症率はベネトクラクス群20.7%に対してプラセボ群15.6%。重篤な感染症発症率はベネトクラクス群28.0%に対してプラセボ群27.1%、重篤な肺炎発症率はベネトクラクス群14.0%に対してプラセボ群12.5%を示した。以上のように、ベネトクラクス群で多の患者で確認された死亡は敗血症、肺炎、心停止などの病勢進行を原因とするものではなかった。
以上のBELLINI試験の患者登録一時中止の勧告を受け、アッヴィ社・Vice chairman and PresidentであるMichael Severino氏は以下のようにコメントを述べている。”今後我々は、BELLINI試験の結果を詳細に分析し、患者さんの安全性を重視するよう努めていきます。そして、多発性骨髄腫に対するベネトクラクスの有用性について、米国食品医薬品局(FDA)をはじめ世界各国の政府と話し合いを進めていきます。”
参照:
アッヴィ社プレスリリース
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