・カドサイラ治療歴のあるHER2陽性進行性乳がん患者が対象の第1相試験
・トラスツズマブ デルクステカン(DS-8201)単剤療法の有効性・安全性を検証
・忍容性に問題はなく、客観的奏効率は59.5%を示した
2019年4月29日、医学誌『The Lancet Oncology』にてトラスツズマブ エムタンシン(商品名カドサライ;以下カドサイラ)治療歴のあるHER2陽性進行性乳がん患者に対するHER2抗体薬物複合体であるトラスツズマブ デルクステカン(DS-8201)単剤療法の有効性、安全性を検証した第1相試験(NCT02564900)の結果が国立がん研究センター 中央病院・乳腺・腫瘍内科・田村研治氏らにより公表された。
本試験は、2015年8月~2018年8月の米国、日本における18歳~20歳以上のカドサイラ治療歴のあるHER2陽性進行性乳がん患者(N=118人)を対象に3週を1サイクルとしてトラスツズマブ デルクステカン5.4mg/kg~6.4mg/kg単剤療法を病勢進行または予期せぬ有害事象(AE)が発現するまで投与し、主要評価項目として治療関連有害事象(TRAE)発症率、奏効率(RR)を検証した国際他施設共同非無作為非盲検下の第1相試験である。
本試験の結果、主要評価項目である治療関連有害事象(TRAE)は全ての患者で少なくとも1つ確認され、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)としては貧血17%(N=19/115人)、好中球減少14%(N=16/115人)、白血球減少9%(N=10/115人)、血小板減少8%(9/115人)であった。なお、死亡は1人の患者で死亡が確認されたが、その原因は治療関連有害事象(TRAE)でなく病勢進行であった。もう1つの主要評価項目である客観的奏効率(ORR)59.5%(95%信頼区間:49.7–68.7%,N=66/111人)を示した。
以上の第1相試験の結果より田村研治氏らは以下のように結論を述べている。”カドサイラ治療歴のあるHER2陽性進行性乳がん患者に対するトラスツズマブ デルクステカン単剤療法は忍容性に問題がなく、良好な抗腫瘍効果を示しました。本治療薬のさらなる有用性を証明するため、第2、第3相試験の結果が待たれます。”
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