・ステージIB~IIIB非小細胞肺がん患者が対象の第2相試験
・術前化学療法としてのテセントリク単剤療法の有効性・安全性を検証
・病理学的奏効率は19%を示し、5%が病理学的寛解を達成
2019年5月31日から6月4日までアメリカ合衆国・イリノイ州・シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2019)にて、切除可能非小細胞肺がん患者に対する術前化学療法としての抗PD-L1抗体薬であるアテゾリズマブ(商品名テセントリク;以下テセントリク)単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相のLCMC3試験(NCT02927301)の中間解析、バイオマーカー解析の結果がDana-Farber Cancer InstituteのDavid J. Kwiatkowski氏らにより公表された。
LCMC3試験とは、ステージIB~IIIB非小細胞肺がん患者(N=101人)に対して21日を1サイクルとして1日目にテセントリク1200mg単剤療法を投与し、その後40±10日以内の範囲で根治切除術を実施し、主要評価項目として病理学的奏効率(MPR)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)などを検証したシングルアームの第2相試験である。
本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値は65歳(37-83歳)。性別は男性47%(N=47人)。組織学的分類は非扁平上皮65%、扁平上皮35%。喫煙歴なし10%、現在喫煙歴あり23%、過去喫煙歴あり68%。EGFR遺伝子ステータスは陽性10%、陰性90%。ALK遺伝子ステータスは陽性2%、陰性98%。PD-L1ステータスは50%以上が29%、1%-49%が18%、1%未満が54%。
以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。なお、本治療が実施された患者101人の内95%(N=96人)は全2サイクル完遂し、5%(N=5人)は1サイクル実施された。また、テセントリクにより術前化学療法後に手術が実施された患者は89%(N=90人)、手術に至らなかった患者は11%(N=11人)。なお、手術に至らなかった患者11人の内10人はステージIIIA期、またはIIIB期であった。
主要評価項目である病理学的奏効率(MPR)は19%(95%信頼区間:11%~35%)を示し、5%(N=4人)の患者で病理学的寛解を達成した。一方の安全性として、全グレードの治療関連有害事象(TRAE)発症率は57%(N=58人)、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率は6%(N=6人)、重篤な有害事象発症率(SAE)は30%(N=30人)を示した。
また、5%以上の患者で確認された全グレードの治療関連有害事象(TRAE)は疲労20%、インフュージョンリアクション11%、発熱10%、食欲減退8%、AST上昇7%、吐き気7%、関節痛6%、インフルエンザ様症状6%、下痢5%であった。
以上のLCMC3試験の中間解析、バイオマーカー解析の結果よりDavid J. Kwiatkowski氏らは以下のように結論を述べている。”切除可能非小細胞肺がん患者に対する術前化学療法としての抗PD-L1抗体薬テセントリク単剤療法は、病理学的奏効率(MPR)19%を示し、忍容性も問題ありませんでした。”
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