・前治療歴1~3レジメンのある再発難治性多発性骨髄腫患者を対象とした第3相試験
・ベネトクラクス+ボルテゾミブ+デキサメタゾン併用療法の有効性・安全性をプラセボと比較・検証
・PFS中央値はベネトクラクス群22.4ヶ月に対してプラセボ群11.5ヶ月、で病勢進行または死亡のリスクを37%減少
2019年6月13日から16日までオランダ・アムステルダムで開催された欧州血液学会(EHA)にて、再発難治性多発性骨髄腫(RRMM)患者に対するBCL-2阻害薬であるベネトクラクス+ボルテゾミブ+デキサメタゾン併用療法(VBd)の有効性、安全性を比較検証した第3相のBELLINI試験(NCT02755597)の結果がMayo ClinicのShaji Kumar氏らにより公表された。
BELLINI試験とは、前治療歴1~3レジメンのある再発難治性多発性骨髄腫(RRMM)患者(N=291人)に対して1~8サイクル目は21日を1サイクルとして1日1回ベネトクラクス800mgまたはプラセボ+1,4,8,11日目にボルテゾミブ1.3mg/m2+1,2,4,5,8,9,11,12日目にデキサメタゾン20mg、9サイクル目以降は1日1回ベネトクラクス800mgまたはプラセボ+1,8,15,22日目にボルテゾミブ1.3mg/m2+1,2,8,9,15,16,22,23日目にデキサメタゾン20mg併用療法を投与する群(VBd群:194人,Bd群:97人)に無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、全生存期間(OS)などを比較検証した多施設共同二重盲検下の第3相試験である。
本試験が実施された背景として、BCL-2阻害薬であるベネトクラクスはボルテゾミブ+デキサメタゾン療法に併用することで相乗的な効果を示すことが確認されている。以上の背景より、再発難治性多発性骨髄腫(RRMM)患者に対するVBd療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験に登録された患者背景は下記の通りである。
年齢中央値
66歳(36-87歳)
ISSステージ分類
ステージIIまたはステージIII=53%
前治療歴中央値
2レジメン
前治療歴の種類
プロテアソーム阻害薬=68%
免疫調節薬=41%
両方=18%
造血幹細胞移植歴あり=59%
以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。フォローアップ期間中央値18.7ヶ月時点における主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はベネトクラクス群22.4ヶ月に対してプラセボ群11.5ヶ月、ベネトクラクス群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを37%減少した(ハザード比:0.630,95%信頼区間:0.443-0.897)。
副次評価項目である全生存期間(OS)中央値は両群間で未到達であった(ハザード比:2.027,95%信頼区間:1.042-3.945)。また、全患者群における客観的奏効率(ORR)はベネトクラクス群82%に対してプラセボ群68%(p<0.01)、完全奏効率(CR)以上はベネトクラクス群26%に対してプラセボ群5%、最良部分奏効率(VGPR)以上はベネトクラクス群59%に対してプラセボ群36%を示した。
一方の安全性として、最も多くの患者で確認された全グレードの治療関連有害事象(TRAE)は下記の通りである。下痢はベネトクラクス群58%に対してプラセボ群48%、吐き気はベネトクラクス群36%に対してプラセボ群22%、便秘はベネトクラクス群34%に対してプラセボ群31%、疲労はベネトクラクス群31%に対してプラセボ群32%を示した。
最も多くの患者で確認されたグレード3または4の治療関連有害事象(TRAE)は下記の通りである。好中球減少症はベネトクラクス群18%に対してプラセボ群7%、肺炎はベネトクラクス群16%に対してプラセボ群9%、血小板減少性はベネトクラクス群15%に対してプラセボ群30%、貧血はベネトクラクス群15%に対してプラセボ群15%であった。
以上のBELLINI試験の結果よりShaji Kumar氏らは以下のように結論を述べている。”再発難治性多発性骨髄腫(RRMM)患者に対するBCL-2阻害薬ベネトクラクス+ボルテゾミブ+デキサメタゾン併用療法は、無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率(ORR)を有意に改善しました。”
この記事に利益相反はありません。