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悪性軟部腫瘍 ハラヴェンが効能・効果の承認取得

  • [公開日]2016.03.02
  • [最終更新日]2017.06.30

2月29日、エーザイ株式会社は、微小管ダイナミクス阻害薬エリブリン(商品名ハラヴェン®)について、日本において新たに「悪性軟部腫瘍」の効能・効果の承認を取得したと発表しました。

「ハラヴェン」は、進行または再発の悪性軟部腫瘍(脂肪肉腫または平滑筋肉腫)を対象とした臨床第3相試験において、全生存期間の有意な延長を示した唯一の薬剤となるとのことです。本適応は、日本において「手術不能又は再発乳がん」に続き、統計学的に有意な全生存期間の延長が認められて「ハラヴェン」が取得した2つ目の適応となります。

悪性軟部腫瘍(軟部肉腫)は、体の様々な軟部組織(脂肪、筋肉、神経、線維組織、血管など)で発生する悪性腫瘍の総称です。日本では、厚生労働省の患者調査によると患者数は約4,000人とされています。発生部位の組織が様々であることから多彩な組織型が存在しますが、比較的頻度の高い組織型として平滑筋肉腫、脂肪肉腫、悪性線維性組織球腫などが知られています。悪性軟部腫瘍の治療は根治的な外科切除術が中心で、悪性度が高い場合は、化学療法や放射線療法を組み合わせた治療がなされます。進行した場合の予後は悪く、アンメット・メディカル・ニーズが非常に高い疾患のひとつといえます。

本承認は、アントラサイクリン系抗がん剤治療を含む少なくとも2レジメン前治療歴を有する進行または再発の悪性軟部腫瘍(脂肪肉腫または平滑筋肉腫)を対象とした、臨床第3相試験(309試験)において、対照薬であるダカルバジンに対して主な評価項目である全生存期間を統計学的に有意に延長し、「ハラヴェン」投与群で、もっとも一般的に確認された副作用(頻度25%以上)は、好中球減少、疲労、脱毛、悪心末梢神経障害であり、これまでの「ハラヴェン」投与で確認された安全性プロファイルと同様だったとのことです。また、化学療法歴を有する進行または再発の悪性軟部腫瘍を対象とした国内臨床第II相試験(217試験)においても、臨床効果を示す結果を得ています。

309試験については、2月10日のランセット・オンコロジーに掲載されていますので、オンコロでも近々に取り扱う予定です。

【ハラヴェンについて(プラスリリース転載)】
「ハラヴェン」は、新規の作用機序を有するハリコンドリン系の微小管ダイナミクス阻害剤です。海洋生物クロイソカイメン(Halichondria okadai)から抽出された天然物ハリコンドリンBの全合成類縁化合物であり、微小管の伸長(重合)を阻害・抑制することで、細胞分裂の停止作用を有しています。加えて、最近の非臨床研究において、腫瘍の血流循環を改善すること、乳がん細胞の上皮細胞化を誘導すること、乳がん細胞の転移能を減少させる4など、ユニークな作用を有することが報告されています。
本剤は、2010年11月に米国で「アントラサイクリン系及びタキサン系抗がん剤を含む少なくとも2レジメンのがん化学療法による前治療歴のある転移性乳がん」の適応で最初の承認を取得し、これまでに日本、欧州、米州、アジアなど約60カ国で乳がんに係る適応で承認を取得しています。日本では、「手術不能又は再発乳癌」を効能・効果として承認され、2011年7月に発売しました。また、欧州やアジアなどでは「1レジメン以上の前治療歴のある局所進行性・転移性乳がん(術後または再発後にアントラサイクリン系及びタキサン系抗がん剤による治療歴を有すること)」での適応拡大の承認を取得しています。
悪性軟部腫瘍に係る適応については、2016年1月に、米国で「アントラサイクリン系抗がん剤治療を含む化学療法の前治療歴のある手術不能または転移性の脂肪肉腫」の適応で、2016年2月に日本で「悪性軟部腫瘍」の適応で、それぞれ承認を取得し、欧州(EU)、スイス、ロシア、オーストラリア、ブラジルでは、申請中です。本剤は米国および日本において、悪性軟部腫瘍に対する希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定を受けています。

エーザイプラスリリースはコチラ

記事:可知 健太

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