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骨転移を有する去勢抵抗性前立腺がん 放射性医薬品ゾーフィゴ 承認取得

  • [公開日]2016.03.28
  • [最終更新日]2019.03.27

3月28日、バイエル薬品株式会社は、「骨転移のある去勢抵抗性前立腺癌」の効能・効果で、塩化ラジウム-223(ゾーフィゴ)の製造販売承認を取得したと発表しました。

ゾーフィゴは、日本で初めてのアルファ線を放出する放射性医薬品で、骨転移巣に対して抗腫瘍効果を発揮します。

国際共同第3相臨床試験(ALSYMPCA試験)において、骨転移のある去勢抵抗性前立腺癌患者さんの生存期間を有意に延長することが確認されており、2013年にEUおよび米国で発売以来、世界40カ国以上で使用されており、安全性有効性が確認されてきました。

今回、ALSYMPCA試験と日本人の患者さんを対象にゾーフィゴの安全性と有効性を評価した試験のデータに基づいて承認されています。

【ALSYMPCA(ALpharadin in SYMptomatic Prostate CAncer)試験】
ALSYMPCA試験は、症候性の骨転移を有する去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)の患者さんを、標準的治療下で、ゾーフィゴを投与した群とプラセボを投与した群に無作為に割り付けた、二重盲検によるプラセボ対照国際共同第3相臨床試験です。

ALSYMPCA試験の最終解析では、ゾーフィゴは生存期間を有意に延長し、プラセボ群11.3か月に対してゾーフィゴ群14.9か月と死亡リスクを31.9%軽減しました[HR=0.691(95% CI 0.578~0.827)]。

ゾーフィゴ群で発現頻度の高かった有害事象(25%以上で発現)は、骨痛(ゾーフィゴ群51.7%、プラセボ群63.5%)、悪心(35.5% vs 33.9%)、貧血(31.2% vs 30.6%)、疲労(26.5% vs 25.9%) 及び下痢(25.7% vs 15.0%)、でした。発現頻度の高かった血液学的事象は、貧血(31.2% vs 30.6%)、好中球減少症(5.0% vs 1.0%)、汎血球減少症(2.0% vs 0%)、血小板減少症(11.5% vs 5.6%)、白血球減少症(4.2% vs 0.3%)、リンパ球減少症(0.8% vs 0.3%)でした。

【ゾーフィゴについて(プレスリリース転載)】
ゾーフィゴの有効成分であるラジウム-223は、おもにアルファ線を放出する放射性同位元素で、これはカルシウムと同様に、骨塩(ヒドロキシアパタイト)複合体を形成することにより、骨、特に骨転移巣を選択的に標的とします。高LET(線エネルギー付与)放射線であるアルファ線は、腫瘍細胞に対して高頻度でDNA二本鎖切断を誘発し、強力な殺細胞効果をもたらします。また、アルファ線の飛程は100 μm未満であるため、周辺正常組織へのダメージを最小限に抑えます。

【去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)と骨転移について(プレスリリース転載)】
前立腺癌は、世界の男性における癌の中で2番目に多く、日本でも増加しています。日本における患者数は、胃癌、肺癌に続き第3位と推定されています。
前立腺は男性ホルモン依存性の臓器であるため、前立腺癌の手術または放射線治療に続く薬物療法においては、内分泌療法が第一選択となります。男性ホルモンの分泌や作用を抑制する 内分泌療法はほとんどの前立腺癌に対して奏効しますが、数年後には抵抗性が生じ、この状態を去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)と呼びます。転移性のCRPC患者さんのおよそ10人中9人(90%)が骨転移を有し、このことは生存とQOLに影響を及ぼします。実際に、骨転移はCRPC患者さんにおける身体障害や死亡のリスクを増加させます。したがって、早期に骨関連の症状を診断し治療することは、患者さんにとって非常に重要な意味を持ちます。

バイエル薬品プレスリリースはコチラ

記事:可知 健太

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