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子宮頸がん 免疫チェック阻害剤キートルーダ第1相結果より有効な可能性 ASCO2016

  • [公開日]2016.06.27
  • [最終更新日]2017.06.30

目次

抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(キートルーダ)、進行子宮頸がんにおける第Ib相KEYNOTE-028試験の予備的結果報告

6月3日から7日までシカゴで開催された第52回米国臨床腫瘍学会のAnnual Meeting(年次総会)にて、フランスinstitut de Cancerologie de l’Ouest, Centre Rene Gauducheau, Saint-HerblainのJean-Sebastien Frenel氏が発表した。

進行・再発子宮頸がんの標準1次治療は、シスプラチンパクリタキセル併用(TP)療法もしくはカルボプラチン+パクリタキセル併用(TC)療法である。(GOG204試験とJCOG0505試験結果より)

また、2013年には、化学療法アバスチン注射を併用することで、化学療法単独よりも全生存期間が延長することが示された。(GOG240試験結果より)

しかし、標準1次治療に対して,不応性となった後の治療選択肢は極めて限られており、有効的でかつ安全性の高い治療法の開発が必要とされている。

そこで今回、進行固形かん患者に対するキートルーダの有用性を評価する第Ⅰb相試験であるKEYNOTE-028試験の子宮頸がんコホートにおける結果が報告された。

生存期間中央値は9ヶ月。12ヶ月時点の生存率は33%

試験概要

● 対象は進行子宮頸がん患者で、標準的な化学療法に対して病勢進行が認められ、パフォーマンスステータスは0〜1、免疫組織化学的検査(IHC)による腫瘍細胞または間質細胞のPD-L1発現率が1%以上認められることと定義された。
● キートルーダは2週間に1回 10mg/kgを投与され、最長24ヶ月または病勢進行、許容不能な副作用発現、死亡、患者の臨床試験に対する同意撤回のいずれかまで治療を継続した。
主要評価項目は全奏効率副次評価項目無増悪生存期間、全生存期間とそれぞれの奏効期間であった。
● 患者数は24名、1名は腺癌で23名は扁平上皮癌、前治療数は1治療が9名(38%)、2治療が6名(25)、3治療以上は9名(38%)だった。
● 24名の患者のうち、15名(63%)は転移巣を伴っていた。

試験結果

有効性

● 全奏効率は4名(19%)であり、腫瘍が一部縮小する部分奏効だった。
● 腫瘍が安定した患者までを含めた病勢制御率は13名(30%)だった。
● 奏効期間中央値は26週、長期に治療を継続している患者も確認された。
● 無病悪生存期間中央値は2か月、6ヶ月と12ヶ月時点の無病悪生存率はそれぞれ21%と8%。
● 全生存期間中央値は9ヶ月、6ヶ月と12ヶ月時点の全生存率はそれぞれ67%と33%だった。

安全性

グレード3の副作用が1名以上の患者で認められた副作用は以下の通り。
・皮疹2名(8%)で、好中球減少、腸炎、ギラン・バレー症候群、蛋白尿がそれぞれ1名(4%)ずつだった。
● グレード3の腸炎とギラン・バレー症候群の副作用で2名が投与中止となった。
● グレード4の重篤な副作用と治療関連死亡は認めなかった。

まとめ

● PD-L1陽性の進行子宮頸がんに対して、キートルーダは持続性のある臨床効果を認めた。
● キートルーダを投与した全生存期間中央値は9ヶ月であり、有望と考えられた。
● 安全性(副作用発現)面では、特に新たなものの発現はなく、他のがん種で認められたものと差は認められなかった。
● 現在、第2相試験(KEYNOTE-158)が実施されている。


Pembrolizumab in patients with advanced cervical squamous cell cancer: Preliminary results from the phase Ib KEYNOTE-028 study.

※ ギラン・バレー症候群の臨床症状について
・中核となる症状は筋力低下である。おおよそ左右対象に症状を生じ、重度の場合は四肢麻痺となり、呼吸筋麻痺に進展すると人工呼吸管理が必要となる。
・通常、感覚障害は運動障害に比べて軽度であるが、痛みを伴うことが多い。また、腱反射は低下することが多い。
・そのほか、神経麻痺、自律神経障害などさまざまな神経症候も呈しうる。
参考:日本神経学会:ギラン・バレー症候群より臨床症状抜粋

記事:前原 克章

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