2017年11月16日、未治療進行性の濾胞性リンパ腫(FL)患者に対するオビヌツズマブ(商品名Gazyva)+化学療法(CHOP、CVP、またはベンダムスチンの内いずれかを選択)併用療法後の維持療法としてのGazyva療法が米国食品医薬品局(FDA)より承認を得たことをジェネンテック社が自社のプレスリリースで公表した。
本承認は、bulky病変を認めるステージII、III、またはIV期の濾胞性リンパ腫(FL)患者(N=1202人)に対する一次治療としてGazyva+化学療法併用療法後に維持療法として最大2年間Gazyva単剤療法を投与する群(N=601人)、またはリツキシマブ(商品名リツキサン;以下リツキサン)+化学療法併用療法後に維持療法として最大2年間リツキサン単剤療法を投与する群(N=601人)に無作為に振り分け、主要評価項目として治験医師判定に基づく無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として治験医師判定に基づく全奏効率(ORR)を比較検証した国際多施設共同の第III相試験であるGALLIUM試験(NCT01332968)の結果に基づいている。
本試験の結果、主要評価項目である治験医師判定に基づく無増悪生存期間(PFS)は両群ともに未到達であったが、病勢進行または死亡のリスク(PFS)がGazyva群で28%(ハザード比0.72、95%信頼区間:0.56-0.93、P=.0.0118)統計学的有意に減少することが証明された。また、3年無増悪生存率(PFS)はGazyva群で80.0%、リツキサン群で73.3%(ハザード比:0.66、95%信頼区間:0.51-0.85、P=0.001)であった。また、副次評価項目である治験医師判定に基づく全奏効率(ORR)はGazyva群で88.5%、リツキサン群で86.9%であった。
一方の安全性としては、グレード3から5の有害事象(AE)発症率はGazyva群で74.6%、リツキサン群で67.8%、重篤な有害事象(AE)発症率はGazyva群で46.1%、リツキサン群で39.9%と、どちらもGazyva群で多くの有害事象(AE)が確認された。また、死亡に至った有害事象発症率はGazyva群で4.0%、リツキサン群で3.4%であった。
最も一般的な治療下に発現した有害事象(TEAE)発症率はGazyva群で59.3%(95%信頼区間:55.3-63.2%)、リツキサン群で48.9%(95%信頼区間:44.9-52.9)で、その内訳としては吐き気、好中球減少症の有害事象(AE)が多く確認された。
以上の臨床試験の有効性、安全性の結果に基づいた未治療進行性濾胞性リンパ腫(FL)患者に対するGazyva療法が米国食品医薬品局(FDA)より承認を得たことを受けて、ロシュ社(ジェネンテック社はロシュ社のグループ会社)最高医学責任者兼国際開発責任者であるSandra Horning氏は以下のように述べている。”本日のGazyvaの承認は、毎年何千人も診断される濾胞性リンパ腫(FL)の疾患進行を可能な限り遅らせることが期待されます。治癒の期待できないこの血液がん患者さんに対して10年以上もこの病気の標準治療であり続けたリツキサンの治療成績を上回る導入療法を届けることができて我々は大変喜ばしいです。”
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