2017年12月5から9日までアメリカ合衆国・サンアントニオ州で開催されている第40回サンアントニオ乳癌学会議(SABCS2017)にて、トラスツズマブ(商品名ハーセプチン;以下ハーセプチン)治療抵抗性HER2陽性乳がん患者に対するペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)+ハーセプチン併用療法の有効性を検証した第I/II相のPANACEA試験(NCT02129556)の結果が公表された。
PANACEA試験の第II相試験では、前治療としてハーセプチンに治療抵抗性を示した進行性乳がん患者(N=40人)に対して3週間に1回の投与間隔でキイトルーダ200mg+ハーセプチン6mg/kg併用療法を投与し、主要評価項目である客観的奏効率(ORR)、病勢コントロール率(DCR)を検証している。なお、PD-L1発現率陽性、陰性の患者はそれぞれ12人であった。
本試験の結果、ITT解析によるPD-L1発現率陽性患者における主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は15%、病勢コントロール率(DCR)は25%であった。また、腫瘍浸潤リンパ球(TILs)5%以上のPD-L1発現率陽性患者における客観的奏効率(ORR)は39%、病勢コントロール率(DCR)は47%であった。
一方の安全性としては、キイトルーダ+ハーセプチン併用療法により最も一般的に発現した有害事象(AE)はグレード1または2の疲労21%であった。また、免疫関連有害事象(irAE)としてはグレード1または2の甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症が6.7% 、グレード3または4の肺炎が3.4%であった。
以上の試験の結果を受けて、オーストラリア・メルボルンにあるピーター・マッカラム・キャンサー・センターの教授であるSherene Loi氏は以下のように述べている。”HER2陽性進行性乳がん患者に対するハーセプチンに抵抗性を示す理由は免疫回避のメカニズムが働いているためであると本試験により示唆されました。そして、HER2陽性進乳がんの治療として、今後は抗PD-1抗体薬の併用意義が高まることでしょう。”
GS2-06. Phase Ib/II study evaluating safety and efficacy of pembrolizumab and trastuzumab in patients with trastuzumab-resistant HER2-positive metastatic breast cancer: Results from the PANACEA (IBCSG 45-13/KEYNOTE-014) study(SABCS2017)
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