・未治療濾胞性リンパ腫患者対象のリツキサン+レブラミドの有効性を検証した試験
・リツキサン+化学療法と比較し、120週時点における完全奏効率などを評価した
・完全奏効率、無増悪生存期間は両群同等だったが、安全性プロファイルは異なった
2018年9月6日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にて未治療の進行期濾胞性リンパ腫患者に対する抗CD20モノクローナル抗体薬であるリツキシマブ(商品名リツキサン;以下リツキサン)+免疫調節薬(IMiDs)であるレナリドミド(商品名レブラミド;以下レブラミド)併用療法の有効性を比較検証した第III相のRELEVANCE試験(NCT01650701)の結果がCentre Hospitalier Régional Universitaire de Lille・Franck Morschhauser氏らにより公表された。
RELEVANCE試験とは、未治療の進行期濾胞性リンパ腫患者(N=1030人)に対してリツキサン+レブラミド併用療法を18サイクル投与後、維持療法としてリツキサン単剤療法を12サイクル投与する群(N=513人)、またはリツキサン+主治医選択による化学療法(R-CHOP療法、R-B療法、R-CVP療法など)を投与後、維持療法としてリツキサン単剤療法を12サイクル投与する群(N=513人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として120週時点における完全奏効率(CR rate)、無増悪生存期間(PFS)を比較検証した多施設共同国際第III相の優越性試験である。
本試験が実施された背景として、未治療の進行期濾胞性リンパ腫患者に対するリツキサン+化学療法は一時的に有効性を示すが、その後多くの患者が再発するという臨床課題がある。そこで、インドレントB細胞非ホジキンリンパ腫患者に対して有効性を示していたリツキサン+レブラミド併用療法が、濾胞性リンパ腫患者に対しても有効性を示すかどうかが本試験で検証された。
本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値はリツキサン+レブラミド群59歳(30-89歳)に対してリツキサン+化学療法群59歳(23-83歳)。ECOG Performance Statusはリツキサン+レブラミド群でスコア0が66%、スコア1が31%、スコア2が3%に対してリツキサン+化学療法群でスコア0が67%、スコア1が30%、スコア2が3%。
Ann Arbor分類による病期はリツキサン+レブラミド群でステージIまたはIIが6%、ステージIIIまたはIVが94%に対してリツキサン+化学療法群でステージIまたはIIが8%、ステージIIIまたはIVが92%。バルキー病変の有無はリツキサン+レブラミド群であり42%に対してリツキサン+化学療法群であり38%。以上のように患者背景は両群間で大きな偏りはなかった。
以上の背景を有する患者に対する本結果のフォローアップ期間中央値37.9ヶ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である120週時点における完全奏効率(CR rate)はリツキサン+レブラミド群48%(95%信頼区間:44%-53%)に対してリツキサン+化学療法群53%(95%信頼区間:49%-57%)、両群間で120週時点における完全奏効率(CR rate)は同程度だった(P=0.13)。
また、もう1つの主要評価項目である3年無増悪生存率(PFS rate)はリツキサン+レブラミド群77%(95%信頼区間:72%-80%)に対してリツキサン+化学療法群78%(95%信頼区間:74%-82%)であった。なお、3年全生存率(OS)の結果はデータが未成熟であったが、両群間で94%であった。
一方の安全性として、リツキサン+レブラミド群で多く発現が確認された治療関連有害事象(TRAE)はグレード3または4の皮膚反応7%(対1%)、リツキサン+化学療法群で多く発現が確認されたのは全グレードの発熱性好中球減少症7%(対2%)、グレード3または4の好中球減少症50%(対32%)。両群間で安全性プロファイルは異なる結果であった。
以上のRELEVANCE試験の結果よりFranck Morschhauser氏らは以下のように結論を述べている。”未治療の進行期濾胞性リンパ腫患者に対するリツキサン+レブラミド併用療法の有効性は、完全奏効率(CR rate)、無増悪生存期間(PFS)においてリツキサン+化学療法と同等でした。なお、安全性においては両群間で異なる安全性プロファイルが提示されました。”
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