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非小細胞肺がん患者に対するタルセバ単剤の術後化学療法で2年無病生存率88%示すJournal of Clinical Oncologyより

  • [公開日]2018.11.16
  • [最終更新日]2019.03.27
この記事の3つのポイント
・切除後のEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん患者対象の第2相試験
・タルセバ単剤療法の2年無病生存率を検証
・無病生存率を改善し、再発リスクは稀である可能性が示唆された

2018年11月16日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて切除後のEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん患者に対する術後化学療法としてのEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)であるエルロチニブ(商品名タルセバ;以下タルセバ)単剤療法の有効性を検証した第2相試験の結果がCleveland Clinic Taussig Cancer InstituteのNathan A. Pennell氏らにより公表された。

本試験は、切除後のEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん患者(N=100人)に対して1日1回タルセバ150mg単剤療法を投与し、主要評価項目として2年無病生存率(DFS)を検証した多施設共同の第2相試験である。

本試験が実施された背景として、非小細胞肺がんに罹患した患者の内、約3分の1は手術の適応があるが、その1%~75%の患者は再発リスクがある。そのため、術後化学療法としてシスプラチンベースの化学療法が実施されるが、この治療法は高齢者にとって忍容性が不良であり、全ての患者が治療の適応であるわけではない。また、EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんに対しては化学療法よりもEGFRチロシンキナーゼ阻害薬の方が有効性があることが確認されている。以上の背景より、本試験が実施された。

本試験に登録された患者背景は以下の通りである。

年齢中央値は63歳(41-84歳)
・性別は男性23人、女性77人
・人種は白人72人、アジア人17人、黒人4人、ヒスパニック系4人、その他3人
・進行病期ステージIAで14人、ステージIBで31人、ステージIIAで11人、ステージIIBで16人、ステージIIIAで28人
・EGFR遺伝子変異の種類はExon19deletionで62人、L858Rで35人、G719で2人、L861Qで1人

以上の背景を有する患者に対する本試験のフォローアップ期間5.2年時点における結果は以下の通りである。

■主要評価項目である2年無病生存率は88%(95%信頼区間:80%-93%)を示し、ヒストリカルコントロールデータ(歴史的対照)である76%に比べて統計学有意に高率であった(P=0.0047)。そして、進行病期別の2年無病生存率(DFS)はステージI群で96%、ステージII群で78%、ステージIIIA群で91%を示した。なお、無病生存期間中央値は未到達を示した。

■5年無病生存率は56%(95%信頼区間:45%-66%)を示し、5年全生存率は86%(95%信頼区間:77%-92%)を示した。

安全性として、最も多くの患者で確認された全グレードの治療関連有害事象は皮膚障害74%、下痢71%、皮膚乾燥48%、疲労感46%、吐き気・嘔吐33%、爪の変形・変色27%、掻痒23%、口内炎20%などである。なお、グレード4または5の治療関連有害事象を発症した患者は確認されなかった。

以上の第2相試験の結果より、Nathan A. Pennell氏らは以下のように結論を述べている。“切除後のEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん患者に対する術後化学療法としてのタルセバ単剤療法は無病生存率を改善し、本治療を受けた患者の再発リスクの可能性は稀である可能性が示唆されました。”

A Phase II Trial of Adjuvant Erlotinib in Patients With Resected Epidermal Growth Factor Receptor–Mutant Non–Small-Cell Lung Cancer(Journal of Clinical Oncology,Published online November 16, 2018.)

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