・胃がんまたは胃食道接合部がん患者に対する初回標準療法への追加効果を検討
・シスプラチン+カペシタビンにサイラムザを追加する第3相試験
・無増悪生存期間は延長するも、生存期間は延長しなかった
2019年2月1日、医学誌『The Lancet Oncology』にてHER2陰性転移性胃がんまたは胃食道接合部がん患者に対する1次治療としてのラムシルマブ(商品名サイラムザ;以下サイラムザ)+シスプラチン+カペシタビン(商品名ゼローダ;以下ゼローダ)併用療法の有効性を比較検証した第III相試験のRAINFALL試験(NCT02314117)の結果がSmilow Cancer Hospital・Charles S. Fuchs氏らにより公表された。
RAINFALL試験とは、HER2陰性転移性胃がんまたは胃食道接合部がん患者(N=645人)に対して21日を1サイクルとして1、8日目にサイラムザ8mg/kg+1日目に最大6サイクルのシスプラチン80mg/m2+1~14日目に1日2回ゼローダ1000mg/m2併用療法を投与する群 (N=326人)、または21日を1サイクルとして1、8日目にプラセボ8mg/kg+1日目に最大6サイクルのシスプラチン80mg/m2+1~14日目まで1日2回のゼローダ1000mg/m2併用療法を投与する群(N=319人)に1:1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)を検証した国際多施設共同二重盲検比較の第III相試験である。
本試験の結果、主要評価項目である治験医師評価により無増悪生存期間(PFS)中央値はサイラムザ群5.7ヶ月(95%信頼区間:5.5-6.5ヶ月)に対してプラセボ群5.4ヶ月(95%信頼区間:4.5-5.7ヶ月)、サイラムザ群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを24.7%(HR:0.753,95%信頼区間:0.607-0.935,P=0.0106)統計学有意に減少した。
一方、副次評価項目である全生存期間(OS)中央値はサイラムザ群11.2ヶ月(95%信頼区間:9.9-11.9ヶ月)に対してプラセボ群10.7ヶ月(95%信頼区間:9.5-11.9ヶ月)、サイラムザ群で死亡(OS)のリスクを3.8%(HR:0.962,95%信頼区間:0.801-1.156,P=0.6757)減少するも統計学有意な差は確認されなかった。
安全性としては、最も多くの患者で確認されたグレード3または4の治療関連有害事象(TRAE)は好中球減少症がサイラムザ群26%(N=85人)に対してプラセボ群27%(N=85人)、貧血がサイラムザ群12%(N=39人)に対してプラセボ群14%(N=44人)、高血圧がサイラムザ群10%(N=32人)に対してプラセボ群2%(N=5人)。
また、重篤な治療関連有害事象(TRAE)発症率はサイラムザ群50%(N=160人)に対してプラセボ群47%(N=149人)。最も多くの患者で確認された重篤な治療関連有害事象(TRAE)は嘔吐がサイラムザ群4%(N=14人)に対してプラセボ群7%(N=21人)、下痢がサイラムザ群3%(N=11人)に対してプラセボ群6%(N=19人)。
以上のRAINFALL試験の結果よりSmilow Cancer Hospital・Charles S. Fuchs氏らは以下のように結論を述べている。”HER2陰性転移性胃がんまたは胃食道接合部がん患者に対する1次治療としてのサイラムザ+シスプラチン+ゼローダ併用療法は、無増悪生存期間(PFS)を統計学有意に改善しましたが、全生存期間(OS)の改善は確認できなかったため、本患者に対する治療選択肢として推奨できません。”