2019年3月12日、医学誌『The Lancet Respiratory Medicine』にて局所進行性/転移性非小細胞肺がん患者に対する抗PD-1抗体薬であるペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)単剤療法の有効性、安全性を検証した第I相のKEYNOTE-001試験(NCT01295827)の3年長期追跡結果がPrincess Margaret Cancer Centre・Natasha B Leighl氏らにより公表された。
KEYNOTE-001試験とは、局所進行性/転移性非小細胞肺がん患者(N=550人)に対し2~3週を1サイクルとしてキイトルーダ2~10mg/kg単剤療法を投与し、主要評価項目として容量制限毒性(DLT)、奏効率(RR)など、副次評価項目として全生存期間(OS)などを検証したオープンラベルマルチコーホートの第I相試験である。なお、本患者に登録された550人の患者の内、未治療患者101人、治療歴のある患者449人である。
本患者が実施された背景として、近年、抗PD-1抗体薬であるキイトルーダはPD-L1陽性の進行性非小細胞肺がん患者に対するファーストライン治療、セカンドライン治療の標準治療になりつつあるが、キイトルーダの有用性を長期間に渡り追跡調査した試験結果は少ない。以上の背景より、2012年8月より2014年7月まで患者登録されていたKEYNOTE-001試験の3年追跡調査が実施された。
本試験の追跡期間中央値34.5ヶ月時点における本試験の結果は下記の通りである。主治医判断により客観的奏効率(ORR)は未治療患者群で41%(95%信頼区間:30.9%-50.8%,N=41/101人)、治療歴のある患者群で23%(95%信頼区間:18.9%-26.9%,N=102/449人)を示した。また、奏効持続期間(DOR)中央値は未治療患者群で16.7ヶ月(95%信頼区間:12.6ヶ月-未到達)、治療歴のある患者群で33.3ヶ月(95%信頼区間:22.5ヶ月-未到達)を示した。
副次評価項目である全生存期間(OS)中央値は未治療患者群で22.3ヶ月(95%信頼区間:17.1-31.5ヶ月)、治療歴のある患者群で10.5ヶ月(95%信頼区間:8.6-13.2ヶ月)を示した。また、36ヶ月全生存率(OS)は未治療患者群で26.4%(95%信頼区間:14.3%-40.1%)、治療歴のある患者群で19.0%(95%信頼区間:17.1%-31.5%)を示した。
PD-L1発現率別の全生存期間(OS)中央値は下記の通りである。未治療患者群におけるPD-L1陽性50%以上群では34.9ヶ月(95%信頼区間:20.3ヶ月-未到達)に対してPD-L1陽性1%~49%群では19.5ヶ月(95%信頼区間:10.7-26.3ヶ月)。治療歴のある患者群におけるPD-L1陽性50%以上群では15.4ヶ月(95%信頼区間:10.5-18.5ヶ月)に対してPD-L1陽性1%~49%群では8.5ヶ月(95%信頼区間:6.0-12.7ヶ月)。
一方の安全性として、グレード3~5の有害事象(TRAE)発現率12%(N=66人)、有害事象(TRAE)により治療中止率6%(N=30人)を示した。なお、最も多くの患者で確認されたグレード3~5の有害事象(TRAE)は肺炎2%(N=10人)、倦怠感1%(N=5人)であった。また、重篤な治療関連有害事象(TRAE)発症率は9%(N=50人)を示した。
以上のKEYNOTE-001試験の3年長期追跡結果よりPrincess Margaret Cancer Centre・Natasha B Leighl氏らは以下のように結論を述べている。”局所進行性/転移性非小細胞肺がん患者に対する抗PD-1抗体薬キイトルーダ単剤療法は、持続的な奏効を示し、忍容性も問題ありませんでした。”
Pembrolizumab in patients with advanced non-small-cell lung cancer (KEYNOTE-001): 3-year results from an open-label, phase 1 study(The Lancet Respiratory Medicine, Published:March 12, 2019)
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