・PD-1/PD-L1を標的とする免疫チェックポイント阻害薬の有害事象を解析
・オプジーボの方がキイトルーダより多く有害事象が発現
・PD-1標的薬の方がPD-L1標的薬よりもグレード3以上の有害事象の発現率が1.58倍高く
がん免疫療法において、プログラム細胞死受容体1(PD-1)、またはそのリガンド(PD-L1)を標的とする免疫チェックポイント阻害薬の治療関連有害事象は、がん種による差はないものの、薬剤ごとの特徴にあることが分かってきた。臨床現場では、そうした特徴を明確にし、医師、患者双方で情報共有することが重要である。
米国テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのMichael L. Wang氏らの研究グループは、2017年10月1日から2018年12月15日までに蓄積されたPubMed、Web of Science、Embase、およびScopusのデータベースから、PD-1またはPD-L1標的薬を単剤投与した臨床試験125本を抽出し、治療関連有害事象のデータの系統分析とメタ解析を行い、2019年4月25日のJAMA Oncology オンライン版で発表した。
解析対象は計20128例。第1相、第2相といった臨床開発ステージ、試験別患者数、がん種、投与された薬剤、用法用量、全有害事象の発現数、有害事象報告基準など、系統別にデータを抽出し、ベイズ回帰分析の手法により分析した。
その結果、分かったことは、同じPD-1標的薬でも、有害事象はニボルマブ(商品名オプジーボ)の方がペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ)より多く発現し、全有害事象、ならびにグレード3以上の有害事象ともに発現率は1.3倍程度高いことであった。また、PD-1標的薬の方がPD-L1標的薬よりもグレード3以上の有害事象の発現率が1.58倍高いことも分かった。治療関連有害事象のがん種別差はなかった。
重症度を問わない全有害事象の発現率は、106試験で66.0%(12277/18610例)であった。発現頻度の高かった有害事象は疲労感(18.26%)、かゆみ(10.61%)、下痢(9.47%)であった。
グレード3以上の有害事象の発現率は、110試験で14.0%(2627/18715例)であった。発現事象の高かった有害事象は疲労感(0.89%)、貧血(0.78%)、AST上昇(0.75%)であった。
内分泌系の免疫関連有害事象は、主に甲状腺機能低下症(6.07%)、甲状腺機能亢進症(2.82%)であった。
研究グループは、PD-1やPD-L1標的の免疫チェックポイント阻害薬が急速に普及している実臨床において、蓄積された臨床試験データや使用実績から、治療関連有害事象への対応の根拠となり得る情報を整理する必要性を提唱している。
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