・びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫患者と濾胞性リンパ腫患者が対象の第2相試験
・リツキサン+ポラツズマブ ベドチンまたはPinatuzumab vedotin併用療法の有効性・安全性を検証
・良好な抗腫瘍効果を示し、両患者の治療選択肢になり得る可能性が示唆された
2019年5月、医学誌『The Lancet Hematology』にて再発難治性非ホジキンリンパ腫患者に対するリツキシマブ(商品名リツキサン;以下リツキサン)+抗CD79b抗体薬物複合体であるポラツズマブ ベドチンまたは抗CD22抗体薬物複合体であるPinatuzumab vedotin併用療法の有効性、安全性を検証した第2相のROMULUS試験(NCT01691898)の結果がUniversité Lille, Centre Hospitalier Régional Universitaire de LilleのFranck Morschhauser氏らにより公表された。
ROMULUS試験とは、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)をはじめ再発難治性非ホジキンリンパ腫患者に対して3週を1サイクルとしてリツキサン375mg/m2+ポラツズマブ ベドチン2.4mg/kg併用療法を投与する群、または3週を1サイクルとしてリツキサン375mg/m2+Pinatuzumab vedotin2.4mg/kg併用療法を投与する群に1対1の割合で振り分け、主要評価項目として安全性、抗腫瘍効果などを検証した多施設共同オープンラベルの第2相試験である。
本試験が実施された背景として、第1相試験にて再発難治性非ホジキンリンパ腫患者に対する抗CD79b抗体薬物複合体ポラツズマブ ベドチン、抗CD22抗体薬物複合体Pinatuzumab vedotinの抗腫瘍効果が確認されているためである。以上の背景より、ROMULUS試験が実施された。
本試験の81人のびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)患者、42人の濾胞性リンパ腫(FL)患者における結果は下記の通りである。びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)患者における主要評価項目である客観的奏効率(ORR)はPinatuzumab vedotin群で60%(95%信頼区間:43%-74%)、ポラツズマブ ベドチン群で54%(95%信頼区間:37%-70%)を示した。なお、完全奏効率(CR)はそれぞれ26%(95%信頼区間:14%-42%)、21%(95%信頼区間:9%-36%)を示した。
また、濾胞性リンパ腫(FL)患者における主要評価項目である客観的奏効率(ORR)はPinatuzumab vedotin群で62%(95%信頼区間:38%-82%)、ポラツズマブ ベドチン群で70%(95%信頼区間:46%-88%)を示した。なお、完全奏効率(CR)はそれぞれ5%(95%信頼区間:0.1%-24%)、45%(95%信頼区間:23%-68%)を示した。
一方の安全性として、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)患者におけるグレード3~5の有害事象(AE)発症率はPinatuzumab vedotin群で79%、ポラツズマブ ベドチン群で77%の患者で確認された。なお、最も多くの患者で確認されたグレード3~5の有害事象(AE)はPinatuzumab vedotin群で好中球減少症29%、高血糖10%、ポラツズマブ ベドチン群で好中球減少症23%、貧血8%、下痢8%を示した。
また、濾胞性リンパ腫(FL)患者におけるグレード3~5の有害事象(AE)発症率はPinatuzumab vedotin群で62%、ポラツズマブ ベドチン群で50%の患者で確認された。なお、最も多くの患者で確認されたグレード3~5の有害事象(AE)はPinatuzumab vedotin群で好中球減少症29%、高血糖14%、ポラツズマブ ベドチン群で好中球減少症15%、下痢10%を示した。
以上のROMULUS試験の結果よりFranck Morschhauser氏らは以下のように結論を述べている。”再発難治性非ホジキンリンパ腫患者に対するリツキサン+ポラツズマブ ベドチンまたはPinatuzumab vedotin併用療法は、良好な抗腫瘍効果を示し、本患者の治療選択肢になり得る可能性が示唆されました。”
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