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2レジメン以上の治療歴あるHER2陽性転移性乳がん患者に対するネラチニブ+カペシタビン併用療法、無増悪生存期間を統計学的有意に改善する米国臨床腫瘍学会(ASCO 2019)より

  • [公開日]2019.07.02
  • [最終更新日]2019.07.01
この記事の3つのポイント
・2レジメン以上の治療歴のあるHER2陽性転移性乳がん患者が対象の第3相試験
・ネラチニブ+カペシタビン併用療法の有効性安全性を比較検証
無増悪生存期間を統計学的有意に改善し、全生存期間も改善傾向を示した

2019年5月31日から6月4日までアメリカ合衆国・イリノイ州・シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2019)にて、2レジメン以上の治療歴のあるHER2陽性転移性乳がん患者に対するHER1,2,4阻害薬であるネラチニブ+カペシタビン併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のNALA試験(NCT01808573)の結果がVall d’Hebron University HospitalのCristina Saura氏らにより公表された。

NALA試験とは、2レジメン以上の治療歴のあるHER2陽性転移性乳がん患者(N=621人)に対して1日1回ネラチニブ240mg+1日2回カペシタビン750mg/m2併用療法を投与する群(N=307人)、または1日1回ラパチニブ1250mg+1日2回カペシタビン1000mg/m2併用療法を投与する群(N=314人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、副次評価項目として客観的奏効率ORR)、奏効持続期間(DOR)などを比較検証した国際多施設共同第3相試験である。

本試験の結果、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)はラパチニブ+カペシタビン群に比べてネラチニブ+カペシタビン群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを24%統計学的有意に改善した(ハザード比:0.76,95%信頼区間:0.63–0.93,P=0.006)。また、6ヶ月無増悪生存率(PFS)、12ヶ月無増悪生存率(PFS)はそれぞれネラチニブ+カペシタビン群で47.2%、28.8%に対してラパチニブ+カペシタビン群で37.8%、14.8%を示した。

もう1つの主要評価項目である全生存期間(OS)はラパチニブ+カペシタビン群に比べてネラチニブ+カペシタビン群で死亡(OS)のリスクを12%改善した(ハザード比:0.88,95%信頼区間:0.72–1.07,P=0.2086)。また、6ヶ月全生存率(OS)、12ヶ月全生存率(OS)はそれぞれネラチニブ+カペシタビン群で90.2%、72.5%に対してラパチニブ+カペシタビン群で87.5%、66.7%を示した。

副次評価項目である客観的奏効率(ORR)はネラチニブ+カペシタビン群で32.8%に対してラパチニブ+カペシタビン群で26.7%(P=0.1201)。臨床的有用率CBR)はネラチニブ+カペシタビン群で44.5%に対してラパチニブ+カペシタビン群で35.6%(P=0.0328)。奏効持続期間(DOP)はラパチニブ+カペシタビン群に比べてネラチニブ+カペシタビン群で50%改善した(ハザード比:0.50,95%信頼区間:0.33–0.74,P=0.0004)。

一方の安全性として、治療関連有害事象(TRAE)発症率は両群間でほぼ同等であったが、グレード3以上の下痢はネラチニブ+カペシタビン群で24.4%に対してラパチニブ+カペシタビン群で12.5%、ネラチニブ+カペシタビン群で高率であった。また、治療関連有害事象(TRAE)による治療中止率はネラチニブ+カペシタビン群で10.9%に対してラパチニブ+カペシタビン群で14.5%であった。

以上のNALA試験の結果よりCristina Saura氏らは以下のように結論を述べている。”2レジメン以上の治療歴あるHER2陽性転移性乳がん患者に対するHER1,2,4阻害薬ネラチニブ+カペシタビン併用療法は、無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に改善し、全生存期間(OS)も改善傾向を示しました。”

Neratinib + capecitabine versus lapatinib + capecitabine in patients with HER2+ metastatic breast cancer previously treated with ≥ 2 HER2-directed regimens: Findings from the multinational, randomized, phase III NALA trial.(2019 ASCO Annual Meeting, Abstract No:1002)

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