・進行性大腸がん患者が対象の第3相試験のサブグループ解析
・FOLFOXIRI+アバスチン併用療法の最初の増悪後、FOLFOXIRI+アバスチン再導入の有効性・安全性を検証
・右側かつ/またはRAS遺伝子変異またはBRAF遺伝子変異のECOG PS0の患者で2度目の増悪までの期間を優位に改善
2019年7月3~6日までスペイン・バルセロナで開催されたthe ESMO World Congress on Gastrointestinal Cancer 2019(WCGC 2019)にて進行性大腸がん患者に対するファーストライン治療としてのFOLFOXIRI+ベバシズマブ(商品名アバスチン;以下アバスチン)併用療法の最初の増悪(PD1)後にFOLFOXIRI+アバスチン再導入の有効性、安全性を比較検証した第3相のTRIBE2試験(NCT02339116)のサブグループ解析の結果がAzienda Ospedaliera Universitaria PisanaのChiara Cremolini氏らにより公表された。
TRIBE2試験とは、進行性大腸がん患者に対するファーストライン治療としてFOLFOXIRI+アバスチン併用療法の最初の増悪(PD1)後にセカンドライン治療としてFOLFOXIRI+アバスチン併用療法を投与する群(N=339人)、またはファーストライン治療としてFOLFOX+アバスチン併用療法の最初の増悪(PD1)後にセカンドライン治療としてFOLFIRI+アバスチン併用療法を投与する群(N=340人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として2度目の増悪までの期間(PFS2)、副次評価項目として最初の増悪までの期間(PD1)などを比較検証した第3相試験である。
本試験に登録された患者背景は下記の通りである。
年齢中央値
FOLFOXIRI群=60歳(33-75歳)
FOLFOX/FOLFIRI群=61歳(30-75歳)
ECOG Performance Status
FOLFOXIRI群=スコア0 86%
FOLFOX/FOLFIRI群=スコア0 85%
原発腫瘍部位
FOLFOXIRI群=右側 38%
FOLFOX/FOLFIRI群=右側 38%
転移部位
FOLFOXIRI群=肝転移のみ 32%
FOLFOX/FOLFIRI群=肝転移のみ 29%
RAS遺伝子変異陽性
FOLFOXIRI群=63%
FOLFOX/FOLFIRI群=65%
BRAF遺伝子変異陽性
FOLFOXIRI群=10%
FOLFOX/FOLFIRI群=10%
以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。なお、昨年の欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2018)、今年の米国臨床腫瘍学会(ASCO 2019)で公表されている通り、主要評価項目である2度目の増悪までの期間(PFS2)、客観的奏効率(ORR)、R0切除率、全生存期間(OS)などはFOLFOXIRI群で有意であることが示されている。
今回公表された2度目の増悪までの期間(PFS2)におけるサブグループ解析の結果、全体的にFOLFOXIRI群で優位であった。特に、RAS遺伝子変異、BRAF遺伝子変異、ECOG Performance Statusの状態によりサブグループ解析した結果では、右側かつ/またはRAS遺伝子変異またはBRAF遺伝子変異のECOG Performance Statusスコア0の患者(N=470人)における2度目の増悪までの期間(PFS2)中央値はFOLFOXIRI群19.8ヶ月に対してFOLFOX/FOLFIRI群16.1ヶ月、FOLFOXIRI群でハザード比は0.68を示した。
以上のTRIBE2試験のサブグループ解析の結果よりChiara Cremolini氏らは以下のように結論を述べている。”右側かつ/またはRAS遺伝子変異またはBRAF遺伝子変異のECOG Performance Statusスコア0の患者に対するFOLFOXIRI+アバスチン併用療法は、2度目の増悪までの期間(PFS2)を優位に改善しました。”
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