・進行性ユーイング肉腫/骨肉腫患者が対象の第2相試験
・マルチキナーゼ阻害薬カボザンチニブ単剤療法の有効性・安全性を検証
・客観的奏効率はユーイング肉腫で26%、骨肉腫では33%を示した
2020年2月17日、医学誌『The Lancet Oncology』にて進行性ユーイング肉腫/骨肉腫患者に対するマルチキナーゼ阻害薬であるカボザンチニブ単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相試験(NCT02243605)の結果がInstitut BergoniéのAntoine Italiano氏らにより公表された。
本試験は、進行性ユーイング肉腫/骨肉腫患者(N=90人、ユーイング肉腫45人、骨肉腫45人)に対して1日1回カボザンチニブ60mg(成人)または40mg/m2(小児)単剤療法を投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)などを検証した第2相試験である。
本試験が開始された背景として、進行性ユーイング肉腫/骨肉腫の全生存期間(OS)中央値は診断後より12ヶ月未満である。予後非常に不良である疾患でありながら、現在のところ標準治療は確立していない。以上の背景より、基礎試験にて有用性がある可能性が示唆されているカボザンチニブ単剤療法の有効性、安全性が本試験にて検証された。
本試験のフォローアップ期間中央値31.3ヶ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である客観的奏効率(ORR)はユーイング肉腫26%(95%信頼区間:13%‐42%)、骨肉腫33%(95%信頼区間:20%‐50%)を示した。
一方の安全性として、最も多くの患者で確認されたグレード3~4以上の有害事象(AE)はユーイング肉腫、骨肉腫の患者別で下記の通りである。低リン酸塩血症が11%に対して7%、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの増加が4%に対して7%、手足症候群が7%に対して4%、気胸が2%に対して9%、好中球減少症が4%に対して9%を示した。なお、少なくとも1種類以上の重篤な有害事象(SAE)を発症した患者は68%確認されたが、治療関連有害事象(TRAE)により死亡に至った患者は1人も確認されなかった。
以上の第2相試験の結果よりAntoine Italiano氏らは以下のように結論を述べている。”進行性ユーイング肉腫/骨肉腫患者に対するマルチキナーゼ阻害薬カボザンチニブ単剤療法は、抗腫瘍効果が良好であり、忍容性も問題なく、新たな治療選択肢になり得る可能性が示唆されました。”
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