・未治療の進展型小細胞肺がん患者が対象の第3相試験
・ファーストライン治療としてのキイトルーダ+EP療法の有効性・安全性を比較検証
・キイトルーダ+EP群で病勢進行・死亡のリスクを25%統計学的有意に改善
2020年5月29日~31日、バーチャルミーティングで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2020)にて未治療の進展型小細胞肺がん患者に対するファーストライン治療としての抗PD-1抗体薬であるペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)+EP(シスプラチン+エトポシド)療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のKEYNOTE-604試験(NCT03066778)の結果がMemorial Sloan Kettering Cancer CenterのCharles M. Rudin氏らにより公表された。
KEYNOTE-604試験は、未治療の進展型小細胞肺がん患者(N=453人)に対して3週を1サイクルとしてキイトルーダ200mgを最大35サイクル+EP療法を最大4サイクル投与する群(N=223人)とプラセボ+EP療法を最大4サイクル投与する群(N=228人)を1対1の割合で無作為に振り分けた比較試験。主要評価項目として全患者群の全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、奏効持続期間(DOR)、安全性などを検証した。
転移性進展型小細胞肺がんに対する3次治療以降の抗PD-1抗体薬キイトルーダ単剤療法は持続的な抗腫瘍効果があり、米国食品医薬品局(FDA)より既に承認されている。そこで、本試験は未治療の進展型小細胞肺がんにおけるファーストライン治療としてのキイトルーダの有用性を検証する目的で開始された。
本試験のフォローアップ期間中央値13.5ヶ月時点における結果は、全患者群の主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はキイトルーダ+EP群4.5ヶ月に対してEP群4.3ヶ月、キイトルーダ+EP群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを25%(HR:0.75,95%信頼区間:0.61-0.91,P=0.0023)統計学的有意に改善した。また、全患者群の全生存期間(OS)中央値はキイトルーダ+EP群10.8ヶ月に対してEP群9.7ヶ月、キイトルーダ+EP群で死亡(OS)のリスクを20%(HR:0.80,95%信頼区間0.64-0.98,P=0.0164)減少するも統計学的有意な差は確認されなかった。
副次評価項目である客観的奏効率(ORR)はキイトルーダ+EP群71%に対してEP群62%、奏効持続期間(DOR)中央値はキイトルーダ+EP群4.2ヶ月に対してEP群3.7ヶ月を示した。
一方の安全性として、グレード3~4の有害事象(AE)発症率はキイトルーダ+EP群77%に対してEP群75%、グレード5の有害事象(AE)発症率はキイトルーダ+EP群6%に対してEP群5%であり、有害事象(AE)による治療中止率はキイトルーダ+EP群15%に対してEP群6%であった。
以上のKEYNOTE-604試験の結果よりCharles M. Rudin氏らは「未治療の進展型小細胞肺がん患者に対するファーストライン治療としての抗PD-1抗体薬キイトルーダ+EP療法は無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に改善し、全生存期間(OS)も延長しました。一方、忍容性も問題ありませんでしたので、現在の標準治療であるEP療法に対するキイトルーダを上乗せする治療ベネフィットが示せたでしょう」と述べている。
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