・治療歴のある進行性消化管間質腫瘍(GIST)患者が対象の第3相試験
・リプレチニブ単剤療法の有効性・安全性を検証
・リプレチニブ単剤療法の無増悪生存期間は6.3ヶ月でプラセボ群1.0ヶ月に対して統計学的有意に延長
2020年6月5日、医学誌『The Lancet Oncology』にて治療歴のある進行性消化管間質腫瘍(GIST)患者に対するマルチキナーゼ阻害薬であるリプレチニブ単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のINVICTUS試験(NCT03353753)の結果がCentre Léon BérardのJean-Yves Blay氏らにより公表された。
本試験は、少なくともイマチニブ、スニチニブ、レゴラフェニブで治療歴のある進行性消化管間質腫瘍(GIST)患者を1日1回リプレチニブ 150mg単剤療法を投与する群(N=85人)とプラセボ療法を投与する群(N=44人)に2対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、全生存期間(OS)などを比較検証した第3相試験である。
進行性消化管間質腫瘍(GIST)患者は予後不良であり、複数のマルチキナーゼ阻害薬に対して抵抗性を示した患者に対する治療選択肢は限られている。以上の背景より、治療歴のある進行性消化管間質腫瘍(GIST)患者に対するマルチキナーゼ阻害薬リプレチニブ単剤療法の有用性と安全性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験のフォローアップ期間中央値リプレチニブ群で6.3ヵ月、プラセボ群で1.6ヵ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はリプレチニブ群6.3ヵ月(95%信頼区間:4.6-6.9ヵ月)に対してプラセボ群1.0ヵ月(95%信頼区間:0.9-1.7ヵ月)を示し、リプレチニブ群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを85%(HR:0.15,95%信頼区間:0.09-0.25,P<0.0001)統計学有意に改善した。
安全性として、リプレチニブ群で最も多くの患者で確認されたグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)はリパーゼ増加5%、高血圧4%、疲労2%、低リン酸血症2%を示した。また、重篤な有害事象(SAE)発症率はリプレチニブ群9%に対してプラセボ群7%を示した。
INVICTUS試験の結果よりJean-Yves Blay氏らは「治療歴のある進行性消化管間質腫瘍(GIST)患者に対するマルチキナーゼ阻害薬であるリプレチニブ単剤療法は、無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に改善し、忍容性も問題ありませんでした」と結論を述べている。
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