・治療歴のある進行性固形がん患者が対象の第1相試験
・ATR阻害薬6620の単剤/併用療法の有効性・安全性を比較検証
・最大投与量が240mg/m2に決定し、抗腫瘍効果も示した
2020年6月22日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて治療歴のある進行性固形がん患者に対するATR阻害薬であるM6620(VX-970)単剤療法、M6620(VX-970)+カルボプラチン併用療法の有効性、安全性を検証した第1相試験の結果がThe University of Texas MD Anderson Cancer CenterのTimothy A. Yap氏らにより公表された。
本試験は、治療歴のある進行性固形がん患者に対して週1~2回M6620(VX-970)60~240mg/m2単剤療法を投与する群(N=17人,PartA)、または週1回M6620(VX-970)90~240mg/m2+カルボプラチン併用療法を投与する群(N=23人,PartB)に無作為に振り分け、主要評価項目として安全性、忍容性、副次評価項目として抗腫瘍効果などを検証した第1相試験である。
本試験の結果、主要評価項目である安全性は下記の通りである。M6620(VX-970)単剤群で確認されたグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率は5.9%(N=1人)、全グレードの治療関連有害事象(TRAE)発症率は88.2%(N=15人)を示した。
また、M6620(VX-970)+カルボプラチン併用群で確認されたグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率は30.4%(N=7人)、全グレードの治療関連有害事象(TRAE)発症率は91.3%(N=21人)を示した。
以上の安全性の結果より、M6620(VX-970)の第2相試験推奨容量(RPIID)はM6620(VX-970)単剤で週1~2回M6620(VX-970)240㎎/m2、M6620(VX-970)+カルボプラチン併用で週1回M6620(VX-970)90㎎/m2に決定した。
一方の有効性として、副次評価項目である抗腫瘍効果は下記の通りである。M6620(VX-970)単剤群で評価可能であった17人の患者の内、1人は完全奏功(CR)、5人は病勢安定(SD)を示した。また、M6620(VX-970)+カルボプラチン併用群で評価可能であった21人の患者の内、1人は部分奏効(PR)、15人は病勢安定(SD)を示した。
以上の第1相試験の結果よりTimothy A. Yap氏らは「治療歴のある進行性固形がん患者に対するATR阻害薬M6620(VX-970)単剤療法、M6620(VX-970)+カルボプラチン併用療法は忍容性が良好であり、抗腫瘍効果も確認されました」と結論を述べている。
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