・局所進行性/転移性非小細胞肺がん患者が対象の第3相試験
・Sintilimab+アリムタ+化学療法の有効性・安全性を比較検証
・無増悪生存期間はSintilimab投与群の8.9ヵ月に対してプラセボ群5.0ヵ月と、統計学的有意に延長
2020年8月、バーチャルミーティングで開催された世界肺癌学会(WCLC 2020 Presidential Symposium)にて局所進行性/転移性非小細胞肺がん患者に対するファーストラインとしての抗PD-1抗体薬であるSintilimab+アリムタ(一般名:ペメトレキセド、以下アリムタ)+化学療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のORIENT-11試験(NCT03607539)の結果がSun Yat-sen University Cancer CenterのL.Zhang氏らにより公表された。
本試験は、局所進行性/転移性非小細胞肺がん患者に対するファーストライン治療として3週を1サイクルとしてSintilimab200mg+アリムタ500mg/m2+シスプラチン75mg/m2またはカルボプラチンAUC5併用療法を投与する群(N=266人)、またはプラセボ+アリムタ500mg/m2+シスプラチン75mg/m2またはカルボプラチンAUC5併用療法を投与する群(N=131人)に無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)を検証した第3相試験である。
本試験の結果、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はSintilimab群8.9ヵ月に対してプラセボ群5.0ヵ月、病勢進行または死亡(PFS)のリスクを52%(HR:0.48)統計学的有意に改善した。
また、PD-L1発現率別の無増悪生存期間(PFS)中央値は下記の通りである。PD-L1発現率1%未満群の無増悪生存期間(PFS)中央値はSintilimab群7.3ヵ月に対してプラセボ群5.1ヵ月(HR:0.66)で有意差はなく、PD-L1発現率1~49%群の無増悪生存期間(PFS)中央値はSintilimab群7.1ヵ月に対してプラセボ群4.8ヵ月(HR:0.50)、PD-L1発現率50%以上群の無増悪生存期間(PFS)中央値はSintilimab群未到達に対してプラセボ群5.0ヵ月(HR:0.31)を示した。PD-L1発現率1~49%群とPD-L1発現率50%以上群ではSintilimab群とプラセボ群に有意な差が認められた。
副次評価項目である全生存期間(OS)中央値は両群間で未到達を示したが、Sintilimab群で改善傾向を示した。また、6ヵ月全生存率(OS)はSintilimab群89.6%に対してプラセボ群80.4%(HR:0.61)を示した。客観的奏効率(ORR)はSintilimab群51.9%に対してプラセボ群29.8%、病勢コントロール率(DCR)はSintilimab群86.8%に対してプラセボ群75.6%、奏効持続期間(DOR)中央値はSintilimab群未到達に対してプラセボ群5.5ヵ月を示した。
一方の安全性として、グレード3~5の有害事象(AE)発症率はSintilimab群61.7%に対してプラセボ群58.8%、重篤な有害事象(AE)発症率はSintilimab群28.2%に対してプラセボ群29.8%、グレード3~5の免疫関連有害事象(irAE)発症率はSintilimab群5.6%に対してプラセボ群6.1%を示した。なお、最も多くの患者で確認された有害事象(AE)は貧血、好中球減少症、リンパ球減少症であった。
以上のORIENT-11試験の結果よりL.Zhang氏らは「局所進行性/転移性非小細胞肺がん患者に対するファーストライン治療としての抗PD-1抗体薬Sintilimab+アリムタ+化学療法は、無増悪生存期間(PFS)を統計学有意に改善しました。一方、全生存期間(OS)の結果はデータが未成熟でしたので、引き続きフォローアップする必要性があります」と結論を述べている。
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