・再発性/難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫患者が対象の第2相試験
・テセントリク+ガザイバ+ベネクレクスタ併用療法の有効性・安全性を比較検証
・3剤併用療法のOMRRは23.6%、腫瘍の直径5cm以上では10.3%だった
2020年6月11日~14日、バーチャルミーティングで開催された第25回欧州血液学会議(EHA 2020)にて再発性/難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者に対する抗PD-L1抗体であるテセントリク(一般名:アテゾリズマブ、以下テセントリク)+抗CD20抗体であるガザイバ(一般名:オビヌツマブ、以下ガザイバ)+BCL-2阻害薬であるベネクレクスタ(一般名:ベネトクラクス、以下ベネクレクスタ)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第2相のLYSA試験(NCT03276468)の結果がLille UniversityのCharles Herbaux氏らにより公表された。
LYSA試験とは、1つ以上の標準治療(リツキシマブとアントラサイクリンを含むレジメン)で効果不十分な再発性/難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者に対して21日を1サイクルとして2日目にテセントリク1200mg+1、8、15日目(2サイクル目以降は1日目)にガザイバ1000mg+1日1回ベネクレクスタ800mg併用療法を投与した多施設共同単群第2相試験。主要評価項目はOMRR(Overall Metabolic Response Rate)、副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)などとした。
免疫チェックポイント阻害薬の登場により複数のがん種は治療成績が向上したにも関わらず、再発性難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の治療成績は依然として向上していない状況がある。以上の背景より、造血器腫瘍に対して有用性が確認されている抗PD-L1抗体、抗CD20抗体、BCL-2阻害薬を併用することで腫瘍標的治療と抗腫瘍免疫を高める効果を検証する目的で本試験が開始された。
本試験に登録された58人の患者の年齢中央値は70歳。性別は男性53.4%。Ann Arbor分類による病期はステージIVが84.5%。前治療歴は2レジメン以上が63.2%。
本試験の主要評価項目であるOMRRは23.6%、その内、CMR(Complete Metabolic Response)は18%を示した。また、腫瘤の直径別のOMRRは5㎝未満群38.5%に対して5㎝以上群10.3%(p=0.02)を示した。
安全性として、グレード3~4の有害事象(AE)発症率は84.2%(N=48人)、有害事象(AE)による治療中止率は10.5%(N=6人)を示した。10%以上の患者で報告されたグレード3以上の有害事象(AE)は、好中球減少症33.3%、リンパ球減少症35.1%、血小板減少症17.5%、貧血10.5%であった。
LYSA試験の結果よりCharles Herbaux氏らは「再発性難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者に対する抗PD-L1抗体テセントリク+抗CD20抗体ガザイバ+BCL-2阻害薬ベネクレクスタは、忍容性が良好でした。また、OMRRも現在の標準治療と同様の有効性を示しました」と結論を述べている。
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