・進行性胃がん患者が対象の第3相試験
・TAS-118+オキサリプラチン併用療法の有効性・安全性を比較検証
・全生存期間は16.0ヶ月で、S-1+シスプラチンに対して死亡リスクを17%減少
2020年7月16日、医学誌『The Lancet Oncology』にてHER2陰性または不明の前治療歴のない進行性胃がんの患者に対して、ファーストラインでのTAS-118(S-1+ロイコボリン)+オキサリプラチン併用療法投与について有効性、安全性を比較検証した第3相のSOLAR試験(NCT02322593)の結果がUniversity of Ulsan College of MedicineのYoon-Koo Kang氏らにより公表された。
本試験は、HER2陰性または不明の進行性胃がん患者(N=711人)に対するファーストライン治療として2週を1サイクルとしてTAS-118(1日2回S-1 40~60 mg+ロイコボリン25mg)+オキサリプラチン85 mg/m2併用療法を投与する群(N=356人)、または5週を1サイクルとして1日2回S-1 40~60 mg+シスプラチン60mg/m2 併用療法を投与する群(N=355人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)、副次評価項目として安全性を比較検証した第3相試験である。
本試験のフォローアップ期間中央値26.0ヶ月(IQR:22.0-32.8ヶ月)時点における主要評価項目である全生存期間(OS)中央値はTAS-118+オキサリプラチン群16.0ヶ月(95%信頼区間:13.8-18.3ヶ月)に対してS-1+シスプラチン群15.1ヶ月(95%信頼区間:13.6-16.4ヶ月)、TAS-118+オキサリプラチン群で死亡(OS)のリスクを17%減少(95%信頼区間:0.69-0.99,P=0.039)した。
安全性として、最も多くの患者で確認されたグレード3以上の有害事象(AE)は下記の通りである。貧血がTAS-118+オキサリプラチン群16%に対してS-1+シスプラチン群18%、好中球減少症が15%に対して25%、食欲減退が15%に対して13%、下痢が9%に対して4%、末梢神経障害が9%に対して1%未満を示した。また、重篤な有害事象(SAE)発症率はTAS-118+オキサリプラチン群44%に対してS-1+シスプラチン群46%を示した。
SOLAR試験の結果よりYoon-Koo Kang氏らは「進行性胃がん患者に対するファーストライン治療としてのTAS-118+オキサリプラチン併用療法は良好な抗腫瘍効果を示し、本患者の治療選択肢になり得る可能性が示唆されました」と結論を述べている。
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