・血小板由来成長因子受容体α D842V変異陽性を含むGIST患者が対象の第1相試験
・Ayvakit単剤療法の有効性・安全性を比較検証
・Ayvakitの最大耐量は400mg、第2相試験推奨用量は300mgと決定した
2020年7月1日、医学誌『The Lancet Oncology』にて血小板由来成長因子受容体α(PDGFRA)D842V変異陽性を含む進行性消化管間質腫瘍(GIST)患者に対するキナーゼ阻害剤Ayvakit(avapritinib)単剤療法の有効性、安全性を検証した第1相のNAVIGATOR試験(NCT02508532)の結果がOregon Health & Science University Knight Cancer InstituteのMichael C Heinrich氏らにより公表された。
NAVIGATOR試験とは、血小板由来成長因子受容体α(PDGFRA)D842V変異陽性の進行性消化管間質腫瘍(GIST)患者に対して1日1回Ayvakit(avapritinib)30mg~単剤療法を最大耐量(MTD)もしくは第2相試験推奨用量まで28日間のサイクルで連日投与し、主要評価項目として最大耐量(MTD)、第2相試験推奨用量、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)などを検証した第1相試験である。
本試験の用量漸増パートに登録された46人の患者の内、20人は血小板由来成長因子受容体α(PDGFRA)D842V変異陽性、用量拡大パートに登録された36人は血小板由来成長因子受容体α(PDGFRA)D842V変異陽性である。
以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。主要評価項目である最大耐量(MTD)は1日1回Ayvakit(avapritinib)400mgとして決定し、第2相試験推奨用量は1日1回Ayvakit(avapritinib)300mgとして決定した。
なお、用量制限毒性(DLT)は1日1回Ayvakit(avapritinib)30~400mgでは確認されず、1日1回Ayvakit(avapritinib)600mgでグレード2の高血圧、ざ瘡皮膚炎、記憶障害、高ビリルビン血症が2人の患者で確認された。
グレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)発症率は57%(N=47/82人)を示し、最も多くの患者で確認された治療関連有害事象(TRAE)は貧血17%(N=14人)であり、治療関連有害事象(TRAE)を原因とする死亡は確認されなかった。
副次評価項目である客観的奏効率(ORR)は血小板由来成長因子受容体α(PDGFRA)D842V変異陽性患者(N=56人)では88%(95%信頼区間:76%-95%)を示し、完全奏効率(CR)9%(N=5/56人)、部分奏効率(PR)79%(N=44/56人)を示した。
NAVIGATOR試験の結果よりMichael C Heinrich氏らは「血小板由来成長因子受容体α(PDGFRA)D842V変異陽性を含む進行性消化管間質腫瘍(GIST)患者に対するキナーゼ阻害剤Ayvakit(avapritinib)単剤療法は良好な抗腫瘍効果を示し、忍容性も問題ありませんでした」と結論を述べている。
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