・切除不能転移性大腸がん患者が対象の第2/3相試験のメタアナリシス
・FOLFOXIRI+アバスチン併用療法の有効性・安全性を比較検証
・全生存期間はダブレット化学療法+アバスチン24.5ヵ月に対して、28.9ヵ月と統計学的有意に延長
2020年8月20日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて切除不能転移性大腸がん患者に対するファーストライン治療としてのFOLFOXIRI+アバスチン(一般名:ベバシズマブ、以下アバスチン)、ダブレット化学療法+アバスチン併用療法の有効性、安全性を比較検証したメタアナリス試験の結果がUniversity Hospital of PisaのChiara Cremolini氏らにより公表された。
このメタアナリシスは、5つの第2/3相臨床試験であるCHARTA試験(NCT01321957)、OLIVIA試験(NCT00778102)、STEAM試験(NCT01765582)、TRIBE試験(NCT00719797) TRIBE2試験(NCT02339116)より、切除不能転移性大腸がん患者(N=1697人)に対してファーストライン治療としてのFOLFOXIRI+アバスチンを投与する群(N=846人)、ダブレット化学療法+アバスチンを投与する群(N=851人)に分けて解析し、主要評価項目として全生存期間(OS)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率(ORR)、R0切除率を検証したものである。
これらの試験のフォローアップ期間中央値39.9ヵ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である全生存期間(OS)中央値はFOLFOXIRI+アバスチン併用療法群28.9ヵ月に対してダブレット化学療法+アバスチン併用療法群24.5ヵ月、FOLFOXIRI+アバスチン併用療法群で死亡(OS)のリスクを19%(HR:0.81,95%信頼区間:0.72-0.91,P<0.001)統計学的有意に改善した。
また、副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は、FOLFOXIRI+アバスチン併用療法群12.2ヵ月に対してダブレット化学療法+アバスチン併用療法群9.9ヵ月、FOLFOXIRI+アバスチン併用療法群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを26%(HR:0.74,95%信頼区間:0.67-0.82,P<0.001)統計学的有意に改善した。
また、客観的奏効率(ORR)はFOLFOXIRI+アバスチン併用療法群64.5%に対してダブレット化学療法+アバスチン併用療法群53.6%(P<0.001)、R0切除率はFOLFOXIRI+アバスチン併用療法群16.4%に対してダブレット化学療法+アバスチン併用療法群11.8%(P=0.007)を示した。
一方の安全性として、ダブレット化学療法+アバスチン併用療法群に比べてFOLFOXIRI+アバスチン併用療法群で多かったグレード3/4の有害事象(AE)は好中球減少症は45.8%に対して21.5%(P<0.001)、発熱性好中球減少症は6.3%に対して3.7%(P=0.019)、下痢は17.8%に対して8.4%(P<0.001)を示した。
以上のメタアナリスの結果よりChiara Cremolini氏らは「切除不能転移性大腸がん患者に対するファーストライン治療としてのFOLFOXIRI+アバスチン併用療法は、全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率(ORR)、R0切除率などをダブレット化学療法+アバスチン併用療法に比べて改善しました」と結論を述べている。
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