・未治療の進行性腎細胞がん患者が対象の第3相試験
・ファーストラインとしてのキイトルーダ+インライタ併用療法の有効性・安全性を比較検証
・スーテント単剤と比較して、死亡のリスクを32%統計学有意に改善
2020年10月23日、医学誌『The Lancet Oncology』にて未治療の進行性腎細胞がん患者に対するファーストラインとしての抗PD-1抗体薬であるキイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ、以下キイトルーダ)+チロシンキナーゼ阻害薬であるインライタ(一般名:アキシニチニブ、以下インライタ)併用療法の有効性、安全性をスーテント(一般名:スニチニブ、以下スーテント)単剤療法と比較検証した第3相のKEYNOTE-426試験(NCT02853331)の長期フォローアップ解析の結果がBarts Cancer CentreのThomas Powles氏らにより公表された。
KEYNOTE-426試験とは、未治療の進行性腎細胞がん患者(N=861人)に対して3週を1サイクルとしてキイトルーダ200mg+1日2回インライタ5mg併用療法を投与する群(N=432人)、または6週を1サイクルとして1日1回スーテント(一般名:スニチニブ、以下スーテント)50mg単剤療法を4週間投与する群(N=429人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を比較検証したランダム化オープンラベルの第3相試験である。
未治療の進行性腎細胞がん患者に対するファーストラインとしての抗PD-1抗体薬キイトルーダ+チロシンキナーゼ阻害薬インライタ併用療法は、スーテント単剤療法に比べて抗腫瘍効果が優れることが初回解析の結果で証明されている。そこで長期的な有効性と安全性を評価する目的でKEYNOTE-426試験の長期フォローアップ解析が行われた。
本試験のフォローアップ期間中央値30.6ヵ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である全生存期間(OS)中央値はキイトルーダ+インライタ併用群未到達に対してスーテント単剤群35.7ヵ月(95%信頼区間:33.3ヵ月―未到達)、キイトルーダ+インライタ併用群で死亡(OS)のリスクを32%(HR:0.68、95%信頼区間:0.55―0.85、P=0.0003)統計学有意に改善した。
もう1つの主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はキイトルーダ+インライタ併用群15.4ヵ月(95%信頼区間:12.7―18.9ヵ月)に対してスーテント単剤群11.1ヵ月(95%信頼区間:9.1―12.5ヵ月)、キイトルーダ+インライタ併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを29%(HR:0.71、95%信頼区間:0.60―0.84、P<0.0001)統計学有意に改善した。
一方の安全性として、10%以上の患者で確認されたグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は下記の通りである。高血圧がキイトルーダ+インライタ併用群22%(95人)に対してスーテント単剤群20%(84人)、ALT増加がキイトルーダ+インライタ併用群13%(54人)に対してスーテント単剤群3%(11人)、下痢がキイトルーダ+インライタ併用群11%(46人)に対してスーテント単剤群5%(23人)を示した。なお、初回解析以降で新たに確認された治療関連死亡(TRAE)はなかった。
以上のKEYNOTE-426試験の長期フォローアップ解析の結果よりThomas Powles氏らは「未治療の進行性腎細胞がん患者に対するファーストラインとしての抗PD-1抗体薬キイトルーダ+チロシンキナーゼ阻害薬インライタ併用療法は、長期にわたって良好な抗腫瘍効果、安全性を示し、本患者に対する標準治療になり得ることが長期フォローアップ結果にても証明されました」と結論を述べている。
リサーチのお願い
この記事に利益相反はありません。