・未治療のMSI-HighまたはMMR欠損の進行性/転移性大腸がん患者が対象の第3相試験
・一次治療としてのキイトルーダ単剤の有効性・安全性を化学療法と比較検証
・無増悪生存期間は16.5ヵ月で、病勢進行死亡リスクを40%統計学的有意に減少
2020年12月3日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にて未治療の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)またはミスマッチ修復機構(MMR)欠損の進行性/転移性大腸がん患者に対する抗PD-1抗体薬であるキイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ、以下キイトルーダ)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のMK-3475-177/KEYNOTE-177試験(NCT02563002)の結果がUniversity Pierre et Marie Curie (UMPC) のThierry André氏らにより公表された。
MK-3475-177/KEYNOTE-177試験とは、未治療の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)またはミスマッチ修復機構(MMR)欠損の進行性/転移性大腸がん患者(N=307人)に対して3週を1サイクルとしてキイトルーダ200mg単剤療法を投与する群、または2週を1サイクルとして化学療法±アバスチン(一般名:ベバシズマブ以下アバスチン)もしくはアービタックス(一般名:セツキシマブ、以下アービタックス)併用療法を投与する群に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)を比較検証した第3相試験である。
治療歴のある高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)またはミスマッチ修復機構(MMR)欠損の進行性/転移性大腸がんに対する抗PD-1抗体薬の臨床的ベネフィットは証明されている。今回、ファーストラインとして高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)またはミスマッチ修復機構(MMR)欠損の進行性/転移性大腸がんに対する抗PD-1抗体薬キイトルーダの有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験のフォローアップ期間中央値32.4ヵ月時点における結果、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はキイトルーダ単剤群16.5ヵ月に対して化学療法群8.2ヵ月、キイトルーダ単剤群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを40%(HR:0.60、95%信頼区間:0.45-0.80、P=0.0002)統計学的有意に改善した。
もう1つの主要評価項目である全生存期間(OS)中央値はキイトルーダ単剤群13.7ヵ月(12.0-15.4ヵ月)に対して化学療法群10.8ヵ月(9.4-12.2ヵ月)を示したものの、データは未成熟であった。
副次評価項目である客観的奏効率(ORR)はキイトルーダ単剤群43.8%に対して化学療法群33.1%を示した。また、病勢安定率(SD)も含む全奏効率(ORR)はキイトルーダ単剤群83%に対して化学療法群35%を示した。一方の安全性として、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率はキイトルーダ単剤群22%に対して化学療法群66%を示した。
以上のMK-3475-177/KEYNOTE-177試験の結果よりThierry André氏らは「未治療の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)またはミスマッチ修復機構(MMR)欠損の進行性/転移性大腸がん患者に対する抗PD-1抗体薬キイトルーダ単剤療法は、無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に改善し、有害事象も少なかった」と結論を述べている。
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