・進行性神経内分泌腫瘍患者が対象の第2/3相試験
・オクトレオチドLAR+アキシチニブ併用療法の有効性・安全性を比較検証
・無増悪生存期間は17.2ヶ月でプラセボに対して有意な改善は示さなかったが、
客観的奏効率は17.5%で有意な改善を示した
2021年1月15日~17日、オンラインミーティングで開催された2021 Gastrointestinal Cancers Symposium(ASCO GI 2021)にて進行性神経内分泌腫瘍(NET G1/G2)患者に対するオクトレオチドLAR(長時間作用型徐放性製剤)+チロシンキナーゼ阻害薬であるアキシチニブ併用療法の有効性、安全性を比較検証した第2/3相のAXINET trial-GETNE-1107試験(NCT01744249)の結果がHospital Universitario Doce de Octubre in MadridのRocio Garcia-Carbonero氏らにより公表された。
AXINET trial-GETNE-1107試験とは、進行性神経内分泌腫瘍(NET G1/G2)患者(N=256人)に対して28日を1サイクルとしてオクトレオチドLAR30mg+1日2回アキシチニブ5mg併用療法を投与する群(N=126人)、または28日を1サイクルとしてオクトレオチドLAR30mg+プラセボ併用療法を投与する群(N=130人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS) 、副次評価項目として全生存期間(OS)、客観的奏効率(ORR)、奏効持続期間(DOR)などを比較検証したランダム化二重盲検下の第2/3相試験である。
神経内分泌腫瘍の病勢進行には、血管新生が重要な役割を果たしている。チロシンキナーゼ阻害薬であるアキシチニブは、血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)1/2/3を阻害するため、血管新生に依存するいくつかの固形がんでは有用性が示されている。今回、進行性神経内分泌腫瘍(NET G1/G2)患者においてもオクトレオチドLAR+チロシンキナーゼ阻害薬アキシチニブ併用療法が有用であるかどうかを検証する目的で本試験が開始された。
本試験に登録された256人の患者背景は下記の通りである。年齢中央値は61歳(21~85歳)。性別は男性52%。原発腫瘍部位は消化器系40%、肺17%、その他32%。前治療歴の種類は、ソマトスタチン類似体(SSA)46%、エベロリムス13%、化学療法13%。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。
主要評価項目である無増悪生存期間(PFS) 中央値はオクトレオチドLAR+アキシチニブ群の7.2ヶ月に対してオクトレオチドLAR+プラセボ群で12.3ヶ月であり、両群間で統計学的有意な差は確認されなかった(HR:0.816、P=0.169)。副次評価項目である客観的奏効率(ORR)はオクトレオチドLAR+アキシチニブ群の17.5%に対してオクトレオチドLAR+プラセボ群で3.8%と、オクトレオチドLAR+アキシチニブ群で客観的奏効率(ORR)を統計学的有意に改善した(P=0.0004)。
一方の安全性として、グレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)発症率はオクトレオチドLAR+アキシチニブ群の52%に対してオクトレオチドLAR+プラセボ群で13.8%を示し、オクトレオチドLAR+アキシチニブ群で高率であった。グレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)の内訳は、高血圧がオクトレオチドLAR+アキシチニブ群の21%に対してオクトレオチドLAR+プラセボ群で6%、心機能障害が3.2%に対して0.7%、下痢が13%に対して1.5%、無力症が9%に対して3%、嘔吐/吐き気が2%に対して0.7%を示した。
以上のAXINET trial-GETNE-1107試験の結果よりRocio Garcia-Carbonero氏らは「進行性神経内分泌腫瘍(NET G1/G2)患者に対するオクトレオチドLAR+チロシンキナーゼ阻害薬アキシチニブ併用療法は、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS) を統計学的有意に改善しませんでした。しかしながら、良好な客観的奏効率(ORR)を示し、忍容性も良好でした」と結論を述べている。
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