・トラスツズマブ治療歴のあるHER2陽性転移性乳がん患者が対象の第3相試験
・Pyrotinib(ピロチニブ)+カペシタビン併用療法の有効性・安全性を比較検証
・無増悪生存期間12.5ヶ月を示し、ラパチニブ+カペシタビンに対して統計学的有意に延長した
2021年2月11日、医学誌『The Lancet Oncology』にてトラスツズマブ治療歴のあるHER2陽性転移性乳がん患者に対する経口チロシンキナーゼ阻害薬であるPyrotinib(ピロチニブ)+カペシタビン併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のPHOEBE試験(NCT03080805)の結果がPeking Union Medical CollegeのBinghe Xu氏らにより公表された。
PHOEBE試験とは、トラスツズマブ治療歴のあるHER2陽性転移性乳がん患者(N=267人)に対して21日を1サイクルとして1日1回Pyrotinib400mg+1~14日目に1日2回カペシタビン1000mg併用療法を投与する群(N=134人)、または21日を1サイクルとして1日1回ラパチニブ1250mg+1~14日目に1日2回カペシタビン1000mg併用療法を投与する群(N=132人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)を比較検証した第3相試験である。
本試験の結果、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はPyrotinib+カペシタビン群12.5ヶ月(95%信頼区間:9.7ヶ月~未到達)に対してラパチニブ+カペシタビン群6.8ヶ月(95%信頼区間:5.4~8.1ヶ月)、Pyrotinib+カペシタビン群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを61%(HR:0.39、95%信頼区間:0.27~0.56、P<0.0001)減少した。
Pyrotinib+カペシタビン群最も多くの患者で確認されたグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は下痢31%(N=41人)、手足症候群16%(N=22人)。重篤な有害事象(SAE)発症率はPyrotinib+カペシタビン群10%に対してラパチニブ+カペシタビン群8%であった。
以上のPHOEBE試験の結果より、Binghe Xu氏らは以下のように結論を述べている。「トラスツズマブ治療歴のあるHER2陽性転移性乳がん患者に対する経口チロシンキナーゼ阻害薬Pyrotinib+カペシタビン併用療法は、無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に改善し、有害事象も管理可能なものでした。この治療はトラスツズマブ+化学療法後のHER2陽性転移性乳がん患者の代替治療選択肢としても検討できます」と結論を述べている。
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