2021年6月31日~7月3日に開催された欧州臨床腫瘍学会世界消化器癌会議(ESMO 23rd World Congress on Gastrointestinal Cancer)にて切除不能進行性食道がん患者に対する経口VEGFR阻害薬であるアパチニブ単剤療法の有効性、安全性を検証したリアルワールド試験の結果がDezhou People’s HospitalのC. Sun氏らにより公表された。
本試験は、切除不能進行性食道がん患者に対して1日1回アパチニブ250mgもしくは500mg単剤を投与された患者を対象に、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)、病勢コントロール率(DCR)、客観的奏効率(ORR)、有害事象(AE)などを検証したリアルワールド試験である。
本試験が開始された背景として、食道がんは病勢進行が速く、予後が不良ながんの1つである。また、標準治療も十分に確立していないため、ファーストライン治療の化学療法で病勢進行した場合には治療選択肢が限られる。以上の背景より、切除不能進行性食道がん患者に対する経口VEGFR阻害薬アパチニブ単剤療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験の有効性解析が行われた42人の患者背景は下記の通りである。治療ラインは一次治療5%(N=2人)、二次治療29%(N=12人)、三次治療66%(N=28人)。進行病期はステージIIIが62%(N=26人)、ステージIVが38%(N=16人)。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。
主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は8.7ヶ月(95%信頼区間:4.22~13.25ヶ月)を示した。さらに、Cox多変量回帰分析の結果、ECOGスコアは無増悪生存期間(PFS)の独立した予後因子であった(95%信頼区間:1.25~6.97ヶ月、P=0.014)。また、副次評価項目である全生存期間(OS)中央値は10.9ヶ月(95%信頼区間:6.65~9.84ヶ月)を示した。
一方の安全性として、全グレードの治療関連有害事象(TRAE)発症率は40.5%(N=17人)であり、最も多くの患者で確認された治療関連有害事象(TRAE)は高血圧14%、手足症候群10%であった。
以上のリアルワールド試験の結果よりC. Sun氏らは「切除不能進行性食道がん患者に対する経口VEGFR阻害薬であるアパチニブ単剤療法は無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を改善し、忍容性も問題ありませんでした」と結論を述べている。
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