・プラチナ系抗がん剤ベースの治療後に病勢進行したEGFRエクソン20挿入変異を伴う転移性非小細胞肺がん患者が対象の第1相試験
・Amivantamab(アミバンタマブ)単剤療法の有効性・安全性を検証
・客観的奏効率は40%であり、3人が完全奏効を示した
2021年8月2日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にてプラチナ系抗がん剤ベースの治療後に病勢進行したEGFRエクソン20挿入変異を伴う転移性非小細胞肺がん患者を対象にEGFRとMETに対する二重特異性抗体であるAmivantamab(JNJ-61186372)単剤療法の有効性、安全性を検証した第1相のCHRYSALIS試験(NCT02609776)の結果がSamsung Medical CenterのKeunchil Park氏らにより公表された。
本試験は、プラチナ系抗がん剤ベースの治療後に病勢進行したEGFRエクソン20挿入変異を伴う転移性非小細胞肺がん患者を対象にAmivantamab(JNJ-61186372)1,050mg(体重80kg以上の患者には1,400mg)単剤療法を1週1サイクルとして4サイクル、その後2週を1サイクルとして行い、主要評価項目として用量制限毒性(DLT)、客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として奏効持続期間(DOR)などを検証したオープンラベルの第1相試験である。
本試験が開始された背景として、EGFR遺伝子変異は非小細胞肺がんの主要なドライバー遺伝子変異であり、約85%の患者がエクソン19の欠失変異、またはエクソン 21の点突然変異(L858R)である。そして、EGFR遺伝子変異の中で12%以下の患者に見られ、3番目に多い変異がEGFRエクソン20挿入変異であり、この変異を有する非小細胞肺がんは既存の標準治療であるチロシンキナーゼ阻害薬による効果は不十分である。以上の背景より、EGFRエクソン20挿入変異を伴う転移性非小細胞肺がん患者に対するEGFRとMETに対する二重特異性抗体Amivantamab(JNJ-61186372)単剤療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験で有効性が検証された81人の年齢中央値は62歳(42~84歳)。人種は49%(N=40人)がアジア人。前治療歴中央値は2レジメン(1~7レジメン)。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。
主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は40%(95%信頼区間:29~51%)、奏効の内訳は完全奏効(CR)3人を示した。副次評価項目である奏効持続期間(DOR)中央値は11.1ヶ月(95%信頼区間:6.9ヶ月~未到達)。無増悪生存期間(PFS)中央値は8.3ヶ月(95%信頼区間:6.5~10.9ヶ月)を示した。
一方の安全性として、安全性評価可能であった114人において、最も多くの患者で確認された全グレードの有害事象(AE)は皮膚障害86%(N=98人)、インフュージョンリアクション66%(N=75人)、爪周囲炎45%(N=51人)。また、最も多くの患者で確認されたグレード3~4の有害事象(AE)は低カリウム血症5%(N=6人)、発疹4%(N=4人)、肺塞栓症4%(N=4人)、下痢4%(N=4人)、好中球減少症4%(N=4人)。なお、治療関連有害事象(TRAE)による減量は13%、治療中止は4%の患者でそれぞれ確認された。
以上のCHRYSALIS試験の結果よりKeunchil Park氏らは「プラチナ系抗がん剤ベースの治療後に病勢進行したEGFRエクソン20挿入変異を伴う転移性非小細胞肺がん患者に対するEGFRとMETに対する二重特異性抗体Amivantamab(JNJ-61186372)単剤療法は良好で持続的な抗腫瘍効果を示しました。また、忍容性も問題ありませんでした」と結論を述べている。
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