・再発/転移性上咽頭がん患者が対象の第3相試験
・ファーストラインとしてのゲムシタビン+シスプラチン併用療法の有効性・安全性をフルオロウラシル+シスプラチン併用療法と比較検証
・全生存期間はゲムシタビン+シスプラチン群で22.1ヶ月、フルオロウラシル+シスプラチン群で18.6ヶ月と、統計学的有意に改善した
2021年8月11日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて再発/転移性上咽頭がん患者に対するファーストライン治療としてのゲムシタビン+シスプラチン併用療法ならびにフルオロウラシル+シスプラチン併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のGEM20110714試験(NCT01528618)の最終アップデート解析の結果がSun Yat-Sen University Cancer CenterのShaodong Hong氏らにより公表された。
GEM20110714試験は、再発/転移性上咽頭がん患者(N=362人)に対するファーストライン治療として21日を1サイクルとして1、8日目にゲムシタビン1g/m2+1日目にシスプラチン80mg/m2併用療法を実施する群(N=181人)、または21日を1サイクルとしてフルオロウラシル4g/m2+1日目にシスプラチン80mg/m2併用療法を実施する群に無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)を比較検証した第3相試験である
。
本試験の最終解析が実施された背景として、前評価時点で報告されている通り、再発/転移性上咽頭がん患者に対するファーストライン治療としてのゲムシタビン+シスプラチン併用療法は無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に改善することが示されている(HR:0.55、95%信頼区間:0.44~0.68、P<0.001)。以上の背景より、GEM20110714試験の最終アップデート解析の結果が報告された。
本試験のフォローアップ期間中央値69.5ヶ月(ゲムシタビン+シスプラチン群)ならびに69.7ヶ月(フルオロウラシル+シスプラチン群)時点における結果は下記の通りである。副次評価項目である全生存期間(OS)中央値はゲムシタビン+シスプラチン群の22.1ヶ月(95%信頼区間:19.2~25.0ヶ月)に対してフルオロウラシル+シスプラチン群で18.6ヶ月(95%信頼区間:15.4~21.7ヶ月)と、ゲムシタビン+シスプラチン群で死亡(OS)のリスクを28%(HR:0.72、95%信頼区間:0.58~0.90、P=0.004)減少した。
また、1年全生存率(OS)、3年全生存率(OS)、5年全生存率(OS)はゲムシタビン+シスプラチン群の79.9%、31.0%、19.2%に対してフルオロウラシル+シスプラチン群で71.8%、20.4%、7.8%であった。
以上のGEM20110714試験の最終アップデート解析の結果よりShaodong Hong氏らは以下のように結論を述べている。「再発/転移性上咽頭がん患者に対するファーストライン治療としてのゲムシタビン+シスプラチン併用療法は、フルオロウラシル+シスプラチン併用療法に比べて全生存期間(OS)を改善することが示されました」と結論を述べている。
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