・転移性非小細胞肺がん患者が対象の第3相試験
・一次治療としてのイミフィンジ+トレメリムマブ+化学療法の有効性・安全性を化学療法単独と比較検証
・無増悪生存期間は6.2ヶ月、全生存期間14.0ヶ月で化学療法単独群と比較していずれも統計学的有意に延長
2021年9月9日、英アストラゼネカ社のプレスリリースにて転移性非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対するファーストライン治療としての抗PD-L1抗体薬であるイミフィンジ(一般名:デュルバルマブ、以下イミフィンジ)+化学療法、イミフィンジ+抗CTLA-4抗体薬であるトレメリムマブ+化学療法、化学療法の単独療法を比較した第3相のPOSEIDON試験の副次評価項目の結果が公表された。
POSEIDON試験は、転移性非小細胞肺がん(NSCLC)患者(N=1013人)に対するファーストライン治療として3週間ごとにイミフィンジ1500mg+化学療法を実施する群(N=338人)、または3週間ごとにイミフィンジ1500mg+トレメリムマブ75mg+化学療法を投与する群(N=338人)、または化学療法を投与する群(N=337人)に無作為に振り分け、主要評価項目として化学療法単独に比べたイミフィンジ+化学療法の無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、副次評価項目として化学療法単独に比べたイミフィンジ+トレメリムマブ+化学療法の無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を比較検証した無作為化非盲検多施設共同国際の第3相試験である。
本試験の結果、副次評価項目の結果は下記の通りである。無増悪生存期間(PFS)中央値はイミフィンジ+トレメリムマブ+化学療法群の6.2ヶ月(95%信頼区間:5.0~6.5ヶ月)に対して化学療法単独群で4.8ヶ月(95%信頼区間:4.6~5.8ヶ月)と、イミフィンジ+トレメリムマブ+化学療法群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを28%統計学的有意に減少(HR:0.72、95%信頼区間:0.60-0.86、P=0.00031)した。12ヶ月無増悪生存率(PFS)はイミフィンジ+トレメリムマブ+化学療法群の26.6%(95%信頼区間:21.7~31.7%)に対して化学療法単独群で13.1%(95%信頼区間:9.3~17.6%)を示した。
全生存期間(OS)中央値はイミフィンジ+トレメリムマブ+化学療法群の14.0ヶ月(95%信頼区間:11.7~16.1ヶ月)に対して化学療法単独群で11.7ヶ月(95%信頼区間:10.5~13.1ヶ月)と、イミフィンジ+トレメリムマブ+化学療法群で死亡(OS)のリスクを23%統計学的有意に減少(HR:0.77、95%信頼区間:0.65-0.92、P=0.00304)した。24ヶ月全生存率(OS)はイミフィンジ+トレメリムマブ+化学療法群の32.9%(95%信頼区間:27.9~37.9%)に対して化学療法単独群で22.1%(95%信頼区間:17.8~26.8%)を示した。
なお、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)は化学療法群に比べてイミフィンジ+化学療法で統計学的有意な改善を示している(HR=0.74、95%信頼区間:0.62-0.89、P=0.00093)。一方、全生存期間(OS)は 化学療法群に比べてイミフィンジ+化学療法で改善傾向を示しているものの、統計学的有意な差は確認されなかった。
イミフィンジの安全性プロファイルは既存の臨床試験で確認されている内容と一致しており、本試験で新たに確認された有害事象(AE)はなかった。グレード3もしくは4の治療関連有害事象(TRAE)はイミフィンジ+トレメリムマブ+化学療法群で51.8%、イミフィンジ+化学療法群で44.6%、化学療法群で44.4%であった。また、治療関連有害事象(TRAE)による治療中止率はイミフィンジ+トレメリムマブ+化学療法群で15.5%、イミフィンジ+化学療法群で14.1%、化学療法群で9.9%であった。
以上のPOSEIDON試験の副次評価項目の結果よりSarah Cannon Research InstituteのMelissa Johnson氏は「転移性非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対するファーストライン治療としての抗PD-L1抗体薬イミフィンジ+抗CTLA-4抗体薬トレメリムマブ+化学療法は、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を改善しました。特にPD−L1の発現が低い患者さんへの有効性を向上させ、生存率の改善をもたらす可能性のある組み合わせが重要であり、このような患者さんに有効で忍容性の高い治療法であることが示唆されます」と述べている。
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