・高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)もしくはミスマッチ修復機構欠損(dMMR)のある
切除不能/ハイリスクの切除可能固形がん患者が対象の第2相試験
・ネオアジュバント療法としてのキイトルーダ単剤療法の有効性・安全性を検証
・客観的奏効率は75%を示し、15人の患者で手術が施行され、
病理学的完全寛解率(pCR)を示した患者は10人であった
2021年9月16日~21日に開催された欧州臨床腫瘍学会議(ESMO 2021)のバーチャルミーティングにて高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)もしくはミスマッチ修復機構欠損(dMMR)のある切除不能/ハイリスクの切除可能固形がん患者に対するネオアジュバント療法としての抗PD-1抗体薬であるキイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ、以下キイトルーダ)単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相試験の結果がMD Anderson Cancer Center in HoustonのKaysia Ludford氏らにより公表された。
本試験は、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)もしくはミスマッチ修復機構欠損(dMMR)のある切除不能/ハイリスクの切除可能固形がん患者(N=35人)に対してネオアジュバント療法として3週を1サイクルとしてキイトルーダ200mg単剤療法を8サイクル投与し、主要評価項目として病理学的完全寛解率(pCR)、安全性、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)などを検証した第2相試験である。
本試験に組み入れられた患者の固形がんの種類は大腸がん27人、子宮内膜がん、胃がん、髄膜腫、十二指腸がん、乳頭がん、膵臓がんそれぞれ1人。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。
評価可能であった32人の患者における副次評価項目である客観的奏効率(ORR)は75%を示し、その内訳は完全寛解率(CR)が25%、部分奏効率(PR)が50%、病勢安定率(SD)が22%、病勢進行(PD)が3%を示した。また、15人の患者で手術が施行され、病理学的完全寛解率(pCR)を示した患者は10人確認されている。一方の安全性として、グレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)は9%(N=3人)の患者で確認された。
以上の第2相試験の結果よりKaysia Ludford氏らは「高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)もしくはミスマッチ修復機構欠損(dMMR)のある切除不能/ハイリスクの切除可能固形がん患者に対するネオアジュバント療法としての抗PD-1抗体薬キイトルーダ単剤療法は忍容性が良好であり、期待のできる奏効率(RR)を示しました。高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)もしくはミスマッチ修復機構欠損(dMMR)のある切除不能/ハイリスクの切除可能固形がん患者の手術以外の管理をさらに検討すべきだろう」と述べている。
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