・切除不能転移進行性/転移性胆道がん患者が対象の第3相試験
・ファーストライン治療としてのイミフィンジ+標準化学療法の有効性・安全性を比較検証
・イミフィンジ+標準化学療法の全生存期間は12.8ヶ月、無増悪生存期間は7.2ヶ月であり統計学的有意に延長した
2022年1月18日、英アストラゼネカ社のプレスリリースにて切除不能転移進行性/転移性胆道がん患者に対するファーストライン治療としての抗PD-L1抗体薬であるイミフィンジ(一般名:デュルバルマブ、以下イミフィンジ)+標準化学療法であるゲムシタビン+シスプラチン併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のTOPAZ-1試験の結果が公表された。
TOPAZ-1試験は、切除不能転移進行性/転移性胆道がん患者(N=685人)に対するファーストライン治療としてイミフィンジ+ゲムシタビン+シスプラチン併用療法を実施する群(N=341人)、もしくはプラセボ+ゲムシタビン+シスプラチン併用療法を実施する群(N=344人)に無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率(ORR)、安全性を比較検証した国際多施設共同二重盲検下プラセボ対照の第3相試験である。なお、胆道がんは肝内、肝外胆管がん、胆嚢がんが含まれている。
本試験の結果、主要評価項目である全生存期間(OS)中央値は、イミフィンジ+ゲムシタビン+シスプラチン併用群の12.8ヶ月(95%信頼区間:11.1-14.0ヶ月)に対してプラセボ+ゲムシタビン+シスプラチン併用群で11.5ヶ月(95%信頼区間:10.1-12.5ヶ月)と、イミフィンジ+ゲムシタビン+シスプラチン併用群で死亡(OS)のリスクが20%(HR:0.80、95%信頼区間:0.66-0.97、P=0.021)減少した。
18ヶ月全生存率(OS)は、イミフィンジ+ゲムシタビン+シスプラチン併用群の35.1%(95%信頼区間:29.1-41.2%)に対してプラセボ+ゲムシタビン+シスプラチン併用群で25.6%(95%信頼区間:19.9-31.7%)。24ヶ月全生存率(OS)は、イミフィンジ+ゲムシタビン+シスプラチン併用群の24.9%(95%信頼区間:17.9-32.5%)に対してプラセボ+ゲムシタビン+シスプラチン併用群で10.4%(95%信頼区間:4.7-18.8%)を示した。
主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は、イミフィンジ+ゲムシタビン+シスプラチン併用群の7.2ヶ月(95%信頼区間:6.7-7.4ヶ月)に対してプラセボ+ゲムシタビン+シスプラチン併用群で5.7ヶ月(95%信頼区間:5.6-6.7ヶ月)と、イミフィンジ+ゲムシタビン+シスプラチン併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクが25%(HR:0.75、95%信頼区間:0.64-0.89)減少した。客観的奏効率(ORR)は、イミフィンジ+ゲムシタビン+シスプラチン併用群の26.7%に対してプラセボ+ゲムシタビン+シスプラチン併用群で18.7%を示した。
一方の安全性として、グレード3もしくは4の治療関連有害事象(TRAE)発症率はイミフィンジ+ゲムシタビン+シスプラチン併用群の62.7%に対してプラセボ+ゲムシタビン+シスプラチン併用群で64.9%。治療関連有害事象(TRAE)による治療中止率は、イミフィンジ+ゲムシタビン+シスプラチン併用群の8.9%に対してプラセボ+ゲムシタビン+シスプラチン併用群で11.4%を示した。
以上のTOPAZ-1試験の結果より、治験代表医師であるInternal Medicine at Seoul National University HospitalのDo-Youn Oh氏は「切除不能転移進行性/転移性胆道がんの治療成績はここ10年以上大きな進歩を遂げませんでした。本試験により、標準化学療法への抗PD-L1抗体薬イミフィンジの上乗せは全生存期間(OS)を改善し、安全性も良好でした。胆道がんの予後は非常に不良であるため、本治療が標準治療選択肢になることで予後を改善するでしょう」と結論を述べている。
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