・進行性神経内分泌腫瘍患者が対象の第2相試験
・テセントリク+ベバシズマブ併用療法の有効性・安全性を検証
・客観的奏効率は膵神経内分泌腫瘍群で20%、膵外神経内分泌腫瘍群で15%を示した
4月7日、医学誌『JAMA Oncology』にて進行性神経内分泌腫瘍(NET)患者に対する抗PD-L1抗体薬であるテセントリク(一般名:アテゾリズマブ、以下テセントリク)+抗VEGFR抗体薬であるベバシズマブ併用療法の有効性、安全性を検証した第2相試験(NCT03074513)の結果がUniversity of Texas MD Anderson Cancer CenterのDaniel M. Halperin氏らにより公表された。
本試験は、進行性神経内分泌腫瘍(NET)患者(N=40人;膵神経内分泌腫瘍20人、膵外神経内分泌腫瘍20人)に対して3週を1サイクルとしてテセントリク+ベバシズマブ併用療法を病勢進行または予期せぬ有害事象(AE)が発現するまで投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)を検証したシングルアームオープンラベル非ランダム化の第2相試験である。
本試験が開始された背景として、進行性神経内分泌腫瘍(NET)に対する治療法の開発は進行しているが、依然として予後は不良である。近年、他の腫瘍は免疫チェックポイント阻害薬の登場により治療成績が向上しているが、進行性神経内分泌腫瘍(NET)に対する免疫チェックポイント阻害薬単剤の効果は不十分である。以上の背景より、進行性神経内分泌腫瘍(NET)患者に対する抗PD-L1抗体薬テセントリク+抗VEGFR抗体薬ベバシズマブ併用療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験の結果、主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は、膵神経内分泌腫瘍(pNET)群で20%(95%信頼区間:5.7-43.7%、N=4人)、膵外神経内分泌腫瘍(epNET)群で15%(95%信頼区間:3.2-37.9%、N=3人)を示した。副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は、膵神経内分泌腫瘍(pNET)群で14.9ヶ月(95%信頼区間:4.4-32.0ヶ月)、膵外神経内分泌腫瘍(epNET)群で14.2ヶ月(95%信頼区間:10.2-19.6ヶ月)を示した。
以上の第2相試験の結果より、Daniel M. Halperin氏らは「進行性膵神経内分泌腫瘍(pNET)患者に対する抗PD-L1抗体薬テセントリク+抗VEGFR抗体薬ベバシズマブ併用療法は良好な抗腫瘍効果を示し、無増悪生存期間(PFS)の改善傾向も示されました」と結論を述べている。
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