・進行性/転移性ホルモン受容体陽性HER2陰性乳がん患者が対象の第2相試験
・維持療法としてのホルモン療法+ベバシズマブ併用療法の有効性・安全性をホルモン療法+ベバシズマブと比較検証
・治療戦略成功期間はホルモン療法+ベバシズマブ併用群16.8ヶ月を示し、パクリタキセル+ベバシズマブ併用群(8.9ヶ月)に対して延長を認めた
4月8日、医学誌『The Lancet Oncology』にて進行性/転移性ホルモン受容体陽性HER2陰性乳がん患者に対する維持療法としてのホルモン療法+ベバシズマブ併用療法の有効性、安全性を検証した第2相のBOOSTER試験(NCT01989780)の結果が福島県立医科大学の佐治重衡氏らにより公表された。
BOOSTER試験は、進行性/転移性ホルモン受容体陽性HER2陰性乳がん患者(N=160人)に対する導入療法として4週を1サイクルとして1、8、15日目にパクリタキセル90mg/m2+1、15日目にベバシズマブ10mg/kg併用療法を実施後、完全寛解(CR)、部分奏効(PR)、病勢安定(SD)が確認された患者(N=125人)に対して維持療法としてパクリタキセル+ベバシズマブ併用療法を実施する群(N=63人)、もしくはホルモン療法(アロマターゼ阻害薬、フルベストラントなど)+ベバシズマブ併用療法を実施する群(N=62人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として治療戦略成功期間(TFS)を比較検証したオープンラベル多施設共同ランダム化の第2相試験である。
本試験のフォローアップ期間中央値21.3ヶ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である治療戦略成功期間(TFS)中央値はホルモン療法+ベバシズマブ併用群の16.8ヶ月(95%信頼区間:12.9-19.0ヶ月)に対してパクリタキセル+ベバシズマブ併用群で8.9ヶ月(95%信頼区間:5.7-13.8ヶ月)と、パクリタキセル+ベバシズマブ併用群に比べてホルモン療法+ベバシズマブ併用群で治療戦略成功期間(TFS)を統計学的有意に改善した(HR:0.51、95%信頼区間:0.34-0.75、P=0.0006)。
最も多くの患者で確認されたグレード3もしくは4の非血液関連有害事象(AE)は下記の通りである。蛋白尿がホルモン療法+ベバシズマブ併用群の16%(N=10人)に対してパクリタキセル+ベバシズマブ併用群で13%(N=8人)、高血圧が10%(N=6人)に対して10%(N=6人)、末梢神経障害が2%(N=1人)に対して10%(N=6人)をそれぞれ示した。なお、パクリタキセル+ベバシズマブ併用群で1人死亡が確認されている。
以上のBOOSTER試験の結果より佐治重衡氏らは「進行性/転移性ホルモン受容体陽性HER2陰性乳がん患者に対する維持療法としてのホルモン療法+ベバシズマブ併用療法は、良好な効果を示し、安全性プロファイルも良好な結果を示しました」と結論を述べている。
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