・RAS/BRAF遺伝子野生型転移性大腸がん患者が対象の第3相試験
・一次治療としてのパニツムマブ+mFOLFOXIRI併用療法の有効性・安全性を比較検証
・パニツムマブ+mFOLFOX療法と比較し、客観的奏効率のオッズ比0.87であり、抗腫瘍効果を示せなかった
6月6日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にてRAS/BRAF遺伝子野生型転移性大腸がん患者に対するファーストライン治療としての抗EGFR抗体薬であるパニツムマブ+mFOLFOXIRI併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のTRIPLETE試験(NCT03231722)の結果がUniversity of PisaのDaniele Rossini氏らにより公表された。
TRIPLETE試験は、RAS/BRAF遺伝子野生型転移性大腸がん患者に対してパニツムマブ+mFOLFOXIRI併用療法を最大12サイクル実施し、その後フルオロウラシル+ロイコボリン+パニツムマブ併用療法を実施する群(N=218人)、もしくはパニツムマブ+mFOLFOX併用療法を最大12サイクル実施し、その後フルオロウラシル+ロイコボリン+パニツムマブ併用療法を実施する群(N=217人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)を比較検証したオープラベル前向きの第3相試験である。
本試験の結果、主要評価項目である客観的奏効率(ORR)のオッズ比は0.87(95%信頼区間:0.56-1.34、P=0.526)をであった。
また、早期腫瘍縮小率(ETS)はパニツムマブ+mFOLFOXIRI併用群の58%に対してパニツムマブ+mFOLFOX併用群で57%(P=0.878)、最大腫瘍縮小率(DpR)はパニツムマブ+mFOLFOXIRI併用群の47%に対してパニツムマブ+mFOLFOX併用群で48%(P=0.845)、R0切除率はパニツムマブ+mFOLFOXIRI併用群の29%に対してパニツムマブ+mFOLFOX併用群で25%(P=0.317)を示した。無増悪生存期間(PFS)中央値はパニツムマブ+mFOLFOXIRI併用群の12.7ヶ月に対してパニツムマブ+mFOLFOX併用群で12.3ヶ月であり、有意差は認めなかった(HR:0.88、95%信頼区間:0.70-1.11、P=0.277)。
以上のTRIPLETE試験の結果よりDaniele Rossini氏らは「RAS/BRAF遺伝子野生型転移性大腸がん患者に対するファーストライン治療としての抗EGFR抗体薬パニツムマブ+mFOLFOXIRI併用療法は、パニツムマブ+mFOLFOX併用療法に比べて臨床的意義のあるベネフィットを示すことができませんでした」と結論を述べている。
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