・DNAミスマッチ修復機構欠損(dMMR)を有するステージII/III直腸がん患者が対象の第2相試験
・抗PD-1抗体薬Dostarlgmab単剤療法の有効性・安全性を検証
・臨床的完全奏効率は100%であり、病勢進行、再発した患者はいなかった
6月5日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にてDNAミスマッチ修復機構欠損(dMMR)を有するステージII/III直腸腺がん患者に対する抗PD-1モノクローナル抗体薬であるDostarlimab(ドスタルリマブ)単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相試験(NCT04165772)の結果がMemorial Sloan Kettering Cancer CenterのAndrea Cercek氏らにより公表された。
本試験は、DNAミスマッチ修復機構欠損(dMMR)を有するステージII/III直腸腺がん患者(N=12人)に対して3週を1サイクルとしてDostarlimab単剤療法を6ヶ月間実施し、その後、化学放射線療法もしくは手術を実施し、主要評価項目としてDostarlimab単剤療法完遂より12ヶ月後の臨床的完全奏効率(CR)、もしくは化学放射線療法の有無に関係のないDostarlimab単剤療法完遂後の病理学的完全反応率(pCR)などを検証したシングルアームの第2相試験である。
本試験が開始された背景として、局所進行性大腸がんに対する標準治療は術前化学療法、放射線療法、その後の手術である。DNAミスマッチ修復機構欠損(dMMR)を有する大腸がんは免疫チェックポイント阻害薬に反応性があることが確認されている。以上の背景より、DNAミスマッチ修復機構欠損(dMMR)を有するステージII/III直腸腺がん患者に対する抗PD-1モノクローナル抗体薬Dostarlimab単剤療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本解析時点では、12人の患者がDostarlimab単剤療法を6ヶ月間完遂。少なくともフォローアップ期間中央値6ヶ月経過しており、臨床的完全奏効率(CR)は100%(N=12人、95%信頼区間:74-100%)を示した。なお、解析時点で化学放射線療法、手術を経験した患者は0人で、フォローアップ期間中(6~25ヶ月)で病勢進行、再発を発症した患者は報告されていない。
以上の第2相試験の結果よりAndrea Cercek氏らは「DNAミスマッチ修復機構欠損(dMMR)を有するステージII/III直腸腺がん患者に対する抗PD-1モノクローナル抗体薬Dostarlimab単剤療法は非常に高い反応率を示しました。今後は、長期の持続奏効期間(DOR)の検証をしていく必要があります」と結論を述べている。
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