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卵巣癌とは
女性性器癌の中で最も死亡者数の多いのが卵巣癌。2011年の死亡者数は4705人と報告されています。なぜ卵巣癌により死亡者が多いかといいますと、卵巣癌の早期発見が困難だからです。
卵巣は骨盤内臓器のために癌が発生しても初期の段階では自覚症状に乏しいために癌であることに気づかないのです。
そのため、卵巣癌と診断される患者さんの40から50%は癌が進行した状態であるステージ3もしくは4の状態で発見されます。
つまり、卵巣癌の死亡率を減少させるためにはステージ3もしくは4である卵巣癌進行期における治療成績の向上が重要となります。
卵巣癌の早期発見
早期発見は困難ですが、卵巣癌には発症の危険因子が存在します。不妊、初経年齢が低い、閉経年齢、そして
BRCA1あるいはBRCA2遺伝子変異を持つ女性
です。BRCA1あるいはBRCA2遺伝子とはがん抑制遺伝子であり、この遺伝子が変異を起こすと卵巣癌などの癌を発生させる確率が高いとされています。
つまり、BRCA1あるいはBRCA2遺伝子の変異の有無により、卵巣癌発症のリスクがわかるのです。
例えば、アメリカの大女優アンジョリーナ・ジョリーが卵巣を摘出したのはBRCA1遺伝子に変異がありましたので、卵巣癌の発症を防ぐ目的で卵巣を摘出しました。
このような予防療法は欧米では既に当たり前のように実施されていますが、日本では未だに未実施です。なぜなら、BRCA1あるいはBRCA2遺伝子検査の保険適応がなされていないからです。
そのため、日本でBRCA1あるいはBRCA2遺伝子検査の受診を希望するとなると、数十万円を自己負担する必要があります。
またこのような予防療法を実施するためには”臨床遺伝専門医”という資格を有する医師が属する病院での実施が、卵巣がん治療ガイドライン2015年版で推奨されているからです。
リムパーザ(オラパリブ)の薬剤概要
リムパーザ(オラパリブ)とは
BRCA遺伝子に変異を持つ卵巣癌患者のための経口ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤です。卵巣癌に罹患した女性の最大15%はBRCA遺伝子変異陽性ですので、BRCA1あるいはBRCA2遺伝子検査を受診できない日本人女性の希望の薬となり得ます。
製品名
リムパーザ
一般名
オラパリブ(olaparib)
用法用量
未定(オラパリブとして400mgを1日2回経口投与する)
効果効能
未定(BRCA遺伝子変異陽性の進行卵巣癌)
主な副作用
未定(吐き気、嘔吐、疲労、貧血)
製造承認日
2014年12月24日(米国)
薬価
未定
リムパーザ(オラパリブ)の作用機序
DNA修復経路に異常をきたしたがん細胞に特異的に作用し、細胞死を誘導
リムパーザ(オラパリブ)の最新情報
1)Olaparib maintenance therapy in patients with platinum-sensitive relapsed serous ovarian cancer: a preplanned retrospective analysis of outcomes by BRCA status in a randomised phase 2 trial
概要
プラチナ製剤ベースの化学療法に有効性を示したBRCA遺伝子変異陽性の卵巣癌患者に対してリムパーザ(オラパリブ)を投与する群、又はプラセボを投与する群に分けて、PFS(無増悪生存期間)を比較検証した試験。
出典
The Lancet
配信日
2014年5月29日
リムパーザ(オラパリブ)の口コミ
医師のコメント
Astrazeneca today announced positive SOLO2 PFS data for maintenance olaparib in BRCA mutated plat sensitive relapsed ovarian cancer
— Ursula Matulonis, MD (@DrMatulonis) 2016年10月26日
研究会出席中。PARP阻害剤が承認されたら、BRCA変異を調べる必要性が出るけど、生殖細胞の遺伝子変異を調べることの難しさ。
遺伝カウンセリング体制が整っている施設は少ないよなあ。— ちばにゃん@社会復帰リハビリ中 (@cmy_rl) 2016年6月25日
PARP阻害剤は治療成績などもさることながら、その薬が効果を示すために細胞内で何が起こっているかが深く関係しているという点で、すごく面白い薬剤だなと思います。
— レ点 (@m0370) 2015年12月2日
【#AACR15 Update】 PARP阻害剤がBRCAの変異のない癌でも聞く可能性が示唆される。非常に興味深い。 → http://t.co/HAqSTlv0dA
— Naoto Ueno, MD, PhD (@teamoncology) 2015年4月21日
PARP inhibitor approved in Europe for BRCA mutated ovarian cancer! BRCA遺伝子変異のある卵巣癌でPARP阻害剤がEUで認可 http://t.co/pzWH1ThN7f
— Naoto Ueno, MD, PhD (@teamoncology) 2014年12月18日
その他医療関係者のコメント
Better OS w/Maintenance Olaparib in Platinum-Sensitive Recurrent Serous Ovarian Cancer + BRCA Mutation https://t.co/FrnamnAK5P #gyncsm
— The ASCO Post (@ASCOPost) 2016年10月8日
This #ClinicalTrial is testing olaparib and cediranib maleate in ovarian and other cancers: https://t.co/QtKVrD17OM pic.twitter.com/24YQubA5mv
— NCICancerTrials (@NCICancerTrials) 2016年11月8日
やはりオラパリブはプラチナ感受性再発卵巣がんに有効。プラチナ製剤が効いてるあいだはひっぱれるので、プラチナ抵抗性になってしまった人がオラパリブに期待してたのにねぇ
— SeshimoMiwa 瀬下美和 (@seshimo) 2016年11月1日
リムパーザ(オラパリブ)の治験情報
1)Assessment of Efficacy of AZD2281 in Platinum Sensitive Relapsed Serous Ovarian Cancer
治験の概要
プラチナ製剤ベースの化学療法に有効性を示したBRCA遺伝子変異陽性の卵巣癌患者に対してリムパーザ(オラパリブ)をメンテナンス投与する群、又はプラセボをメンテナンス投与する群に分けて、そのPFS(無増悪生存期間)を比較検証する治験
治験の期限
2013年2月(終了)
参照
1)アストラゼネカ株式会社プレスリリース
2)卵巣がん治療ガイドライン
この記事に利益相反はありません。