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オンコロリサーチについて

  • [公開日]2018.02.16
  • [最終更新日]2021.11.02

目次

オンコロリサーチとは

オンコロリサーチとは患者さんやそのご家族のがんに関わるあらゆる声を調査(リサーチ)するための調査紹介ページとなります。

オンコロではこれまでに沢山の患者さんやご家族の声を聞いてきました。そのなかで我々は「がん難民」と呼ばれる辛い思いをしている患者さんが沢山存在していることを目の当たりにしました。この現状を踏まえて、これらの患者さんの声を医療関係者、製薬会社、国の機関をはじめとし、より多くの人たちが知っておくべきであると強く感じました。

1つ1つの声は小さいかもしれませんが、いくつもの声が合わさり大きな声となれば、医療を良くする変革を起こしうる。そしてこの大きな力を持つ「声」を作り、多くの人へ届けることが出来るのが「リサーチ」であると考えています。

そしてこれを実現するには多くの患者さんやご家族の協力が必要不可欠となります。
皆さんの力によってがん医療をより良く変えていく。オンコロリサーチがその発信の場になる事を目指します。

オンコロリサーチのミッション

1.がん体験者の『声』を医療業界へ届けること
周囲の方に理解されずに悩む方、医療環境に希望を持てない方、伝えたいことがあるのにその方法がわからない方がいることを私たちは知っています。そのような状況を変えるために、オンコロにて調査の企画、実施を行い皆さんの『声』を医療業界へ届けます。体験した方だからこそ出来ることがあります。

2.がんの調査に参加しやすい環境を提供すること
リサーチ業界では健康食品・美容・プライマリーケアと多岐にわたる領域の中にがんが含まれています。故にがんを十分に理解せずに調査を行い、患者さんを不快にしてしまうケースがあります。オンコロでは日々がん患者さんと接している、がんを理解したスタッフで対応し、がん患者さんが安心して調査に参加できる環境を提供することで、すすんでご協力頂けるよう「がんの調査」に特化をします。

3.医療のみならず、がん患者さんが生活のしやすい社会の実現
がん患者さんが苦労していることは治療に関することだけではないことを私たちは知っています。オンコロではがん患者さんが生活のしやすい環境づくりに貢献できるよう、社会に反映される声を届けていきます。

“オンコロリサーチメンバーズ”の登録をお願いします

オンコロのミッションに共感いただけた方に是非とも調査協力のため”オンコロリサーチメンバーズ”へのご登録をお願いしたいと考えております。なぜ登録が必要かと言いますと、調査に協力していただける方の人数について把握をしていないと、事前に調査の企画や提案が出来ないからです。

登録されたオンコロリサーチメンバーズの方には、新しく調査が開始された際に、ご協力をお願い出来る可能性のある調査についてご連絡をさせていただきます。もちろん、毎回ご協力いただく必要はございませんので、ご興味のある内容の調査にご協力いただけたらと思います。がん患者さんだけでなく、ご家族を対象とした調査も多くございますので、ご家族の方の登録も宜しくお願い致します。

■お伺いする内容
・立場(患者・家族)
・がん種
ステージ
・性別
・お生まれの西暦
・お住みの都道府県
・PCからのメールが受信可能なメールアドレス

オンコロリサーチメンバーズのご登録について

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リサーチのお願い

膵臓がんとは(疾患情報)

  • [公開日]2017.10.13
  • [最終更新日]2019.01.31

膵臓(すいぞう)がんとは

すい臓がんは、食べ物の消化と血糖値の調節に大きな役割を果たしているすい臓に発生するがんです。消化を助ける膵液が通る管の細胞に発生する膵管がんがほとんどですが、神経内分泌腫瘍(神経内分泌がん)も2~3%発生します。

すい臓は、みぞおちの少し下、胃の後ろ側にあり、洋ナシのような形をした長さ15~18cm、横幅3~5cm、厚さ2~3cm程度の臓器です。

すい臓は、①炭水化物、脂肪やたんぱく質を分解する消化酵素を含む膵液(すいえき)を分泌する(外分泌)、②血糖値を調節するインスリン、グルカゴンなどのホルモンを産出する(内分泌)といった2つの重要な役割を担っています。

わが国では年間約3万人の人がすい臓がんになり、年々患者数が増加しています。50~70歳代に多く、性別にかかわらず発症しますが、やや男性に多い傾向があります。

膵管がん

すい臓がんの約90%は、すい臓の中を茎のように通っている膵管(すいかん)の上皮(膵管細胞/すいかんさいぼう)から発生する膵管がんです。すい臓の腺房細胞(せんぼうさいぼう)から分泌された膵液は膵管を通って、胆管と合流し十二指腸に流れ込みます。成人の膵管は直径1mm程度ですが、がんになると膵管の拡張がみられます。

すい臓は、十二指腸に隣接した右側部分の膵頭部(すいとうぶ)、少し細くなった左側部分の膵尾部(すいびぶ)、その間の膵体部(すいたいぶ)の3つに分けられます。

すい臓がんの4分の3は膵頭部に発生します。膵頭部には、脂肪の分解を助ける胆汁を肝臓から十二指腸へ送る胆管が通っています。膵管にできたがんが広がって胆管が狭くなると、眼球や皮膚が黄色くなる黄疸が発症しやすくなります。

すい臓は肝臓、十二指腸、胃といった消化器の最も深いところにあるため、がんがみつかりにくく、周囲のリンパ節や血管、隣接する臓器に転移しやすい特徴があります。膵管がんは初期の段階では症状がなく、腹痛、胃のあたりや背中が重苦しい、食欲不振、下痢気味、黄疸、糖尿病の悪化など、症状が出た段階でみつかることが多くなっています。

神経内分泌腫瘍(神経内分泌がん)

一方、すい臓の中には、血糖値を調整するホルモンを分泌する細胞のかたまりである「ランゲルハンス島」が点在しています。すい臓がんの2~3%は、そこに発生する神経内分泌腫瘍(神経内分泌がん)で、小児から高齢者まであらゆる年代に発生するのが特徴です。

神経内分泌腫瘍は、悪性度の低い神経内分泌腫瘍と悪性度が高く進行の早い神経内分泌がんの2つに分けられます。悪性度の低い神経内分泌腫瘍は、膵管がんに比べて進行が遅く治りやすいがんです。

神経内分泌腫瘍では、過剰にホルモンが産出される症状が出る場合があります。インスリンを過剰に産出するタイプのインスリノーマでは、低血糖になり意識がもうろうとすることがあります。胃酸が過剰に分泌されるタイプの神経内分泌腫瘍は専門的にはガストリノーマと呼びます。

神経内分泌腫瘍の場合は症状があるからといって必ずしも進行しているわけではなく、自覚症状が早期発見のきっかけになります。

本コンテンツは認定NPO法人キャンサーネットジャパンが2017年10月に出版した「もっと知ってほしい膵臓がんのこと」より抜粋・転記しております。

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非公開: 腎盂がん・尿管がんとは(疾患情報)

  • [公開日]2017.07.25
  • [最終更新日]2017.08.15

腎盂がん・尿管がんとは

腎臓は、尿をつくる腎実質という部分と尿が集まる腎盂という部分からできています。また、尿管は腎臓と膀胱をつなぐ管であり、腎実質でつくられた尿は腎盂を経て尿管を通り、膀胱へ送られて最終的に排出されています。

尿を排出する経路のうち、腎盂と尿管は上部尿路とよばれており、この部分に発生するがんは、組織学的にも変わりが無く、治療方法にも大きな差がないため「腎盂・尿管がん」とまとめられています。腎盂・尿管がんは、ほとんどが尿路上皮がんと呼ばれる組織型です。

腎盂・尿管がんは、腎盂だけ、尿管だけでなく、その両方にできるケースも存在します。さらに、左右のどちらか片方の腎盂や尿管にがんが発生したため治療をすると、その治療後に膀胱にがんが発生することもあります。

これは、腎臓~膀胱までの尿路は尿で満たされていますので、容易にがん細胞が移動してしまうため起こるのです。(腎臓や尿管から膀胱へはがんが移動しやすいのですが、反対に膀胱から腎臓や尿管へは尿が逆流しづらいため、がんが移動しづらいことが分かっています)

原因

腎盂・尿管がんの原因として挙げられる最大の生活因子は喫煙です。たばこを吸う人は、たばこを吸わない人に比べて腎盂・尿管がんの発症リスクが約3倍に、45年以上の長期にわたってたばこを吸っている人に至っては腎盂・尿管がんを発症するリスクが7.2倍に膨れ上がるといわれています。

喫煙のほかにも、腎盂・尿管がんの発症リスクを高めると考えられている因子には、発がん性の高い物質(特殊な溶剤など)に接触することや慢性的な炎症などがあります。

症状

腎盂・尿管がんの初期症状として最も多く見られるのが血尿です。その次に多い症状としては、側腹部の痛みが挙げられます。これは、がんそのものが大きくなることで尿管が閉塞してしまうことや、がんの進行によって出血が起こり、その部分が固まってしまうことによります。

要は尿の通過が悪くなることで尿がうっ滞し、圧力が高まること(=水腎症になること)で痛みが出るのです。このときの痛みは、尿管結石の痛みと似ているといわれており、強い痛みが発生しますが、時間が経つと慣れてしまう方もいます。

ただ、血尿や側腹部の痛みなどといった自覚症状が現れる場合もありますが、自覚症状がない場合もあります。ほかの病気について調べているうちに偶然腎盂・尿管がんが見つかったというケースがこれに該当し、腎盂・尿管がんの約15%を占めています。

自覚症状が出ないことも少なくないため、腎盂・尿管がんであることがわかった時点で、すでにかなり進行している場合もあります。腎盂・尿管がんと性質が似ているがんとしては、膀胱がんがありますが、膀胱に比べて腎盂・(特に)尿管の壁は薄いため、より外側に進行しやすく、予後も悪いことが分かっています。

疫学・統計・5年生存率

腎盂・尿管がんは主に50代から70代以降に多く見られるがんですが、がん全体でみればそもそも腎盂や尿管にがんが発生することはそこまで多いわけではありません。

そのため、健康診断や人間ドックでも、標準的な検査には腎盂・尿管がんの検査は尿検査くらいしか組み込まれていないことも多く、血尿が見られない場合には、「先月の健診では何も言われなかったのに、急に血尿が出て泌尿器科に行ったら腎盂がんが見つかった」という場合がよくあります。

(エコー検査で腎盂がんや、尿管がんによる水腎症が見つかることはありますが、ある程度進行しないと見つかりません)

また、男性のほうが女性よりも腎盂・尿管がんになりやすく、その比率は約2:1とされています。

腎盂と尿管におけるがん発症リスクは4:1と、腎盂のほうが多くなっています。また、尿管に発生するがんのうち、下部尿管で発生するものが約70%、中部尿管が約25%、上部尿管が約5%とされています。

2010年の腎盂・尿管がんと膀胱がんを合わせた尿路上皮がんでの死亡者数は、男性で約6700人、女性で約3300人となっていますが、このうち腎盂・尿管がんが占める割合は約3割で、腎盂・尿管がんによる死亡者数は,がんによる死亡者数全体の0.2~0.3%となっています。

統計では、死因を腎盂・尿管がんのみにしぼった場合、5年生存率は次のように報告されています。

・0期(TaもしくはTisで,リンパ節への転移遠隔転移が認められない):94%
・1期(T1でリンパ節への転移や遠隔転移が認められない):91%
・2期(T2でリンパ節への転移や遠隔転移が認められない):75%
・3期(T3でリンパ節への転移や遠隔転移が認められない):54%
・4期(T4もしくはリンパ節への転移や遠隔転移が認められる):12%

また、腎盂・尿管がんは再発することがありますが、手術した部位での再発,遠隔転移による再発以外にも,膀胱内での再発があります。この膀胱内再発が起こる確率は30~40%ともいわれており、腎盂・尿管がんの治療後にはしばらく定期的に膀胱鏡検査を受けていくことが必要です。もし膀胱内に再発した場合、多くは経尿道的手術によって治療を行うことになります。

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子宮体がんとは(疾患情報)

  • [公開日]2017.07.04
  • [最終更新日]2017.07.06

子宮体がんとは

子宮体部の内膜に発生するがんで、子宮頸部にできる子宮頸がんとは性質が異なります。多くは女性ホルモンのエストロゲンが関係するタイプです。子宮は主に筋肉からできており、入口に近い頸部と奥の体部に分けられます。子宮体部は妊娠していないときには、鶏卵よりやや大きいくらいのサイズです。子宮体がんは子宮体部の内膜にできるがんで、子宮頸部にできる子宮頸がんとは性質が異なることから、明確に区別して診断・治療が行われます。

子宮体がんは閉経を迎える前後の40代後半から増え始め、50~60代で最も多くなるのが特徴です。ただ、最近では、40歳未満でみつかる「若年子宮体がん」が増えていることが指摘されています。子宮体部の内側の内膜は、排卵前に増殖して厚みを増し、月経ではがれるという新陳代謝を繰り返していますが、閉経に向かうころから、この内膜の部分にがんができることがあるのです。

子宮体がんにはいろいろな種類があります。腺細胞(子宮内膜を潤す粘液を分泌する)に発生する「腺がん」がほとんどで、そのうち8割以上が治りのよい類内膜腺がんです。女性ホルモンのエストロゲンが関与しているかどうかによっても、がんのタイプが分けられます。

子宮体がんの検査と診断

内診や触診のほか、経腟超音波検査、子宮内膜の細胞診の後、確定診断のために組織診などが行われます。がんの広がりをみる骨盤のMRI検査やCT検査などの画像検査も必須です。子宮体がんが疑われるのは、

①初期の症状(月経時ではない不正出血、月経の周期や期間の乱れ、月経量の増加、閉経後の出血、水っぽいおりものなど)がみられるとき
②内診や触診で子宮や周囲の腫れ、粘膜の異常などがみられるとき
③腟から器具を入れる経腟超音波検査で、子宮内膜が異常に厚くなっている様子がみられるとき
④子宮内膜の細胞の検査(細胞診)で異常な細胞がみつかったとき

などです。細胞診は特殊な器具で子宮内膜をこすって細胞を採取し、顕微鏡で細胞の形状をみる検査で、外来で行われます。結果が出るまで1週間ほどかかるのが普通です。

さらに組織検査や画像検査も行われる

子宮体がんと確定診断するには、子宮内膜の組織検査(組織診)が必須です。がんが疑われる部位や広がりを特定するために、前述の経腟超音波検査とともに、腹部超音波検査、骨盤MRI(磁気共鳴画像)検査、CT(コンピュータ断層撮影)検査などの画像検査も行われます。

組織診では、子宮頸管を広げる器具を腟から入れ、匙(さじ)型の金属の器具で子宮内膜組織をこすり取り、顕微鏡で調べます。原則として、経腟超音波検査や骨盤MRI検査で組織をこすり取る位置をおおよそ特定してから行われます。

子宮内膜の一部ではなく、子宮内膜を全面的に取って顕微鏡でみる検査、軟らかく細い内視鏡(子宮鏡)を使って子宮をみる検査、子宮内に生理食塩水を入れて、流れ出た水の中に含まれる子宮内膜細胞を調べる検査などが行われるケースもあり、場合によっては検査を行うときに麻酔をかけます。

このような検査で、子宮体がんと診断された後、がんの広がりの程度を確認するために、さらに血液検査で腫瘍マーカー(腫瘍細胞が作る物質を測定する。子宮体がんではCEA、CA125とCA19-9)を調べたり、肝機能検査、胸部X線検査、直腸診なども行われます。

本コンテンツは認定NPO法人キャンサーネットジャパンが出版する「もっと知ってほしい 子宮体がんのこと」より抜粋・転記しております。

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非公開: 胆道がんとは(疾患情報)

  • [公開日]2017.04.27
  • [最終更新日]2019.02.26

胆道がんとは

胆道がんは、肝臓でつくられた胆汁の通り道にできるがんです。胆汁が通る管に発生する胆管がん、胆汁をためておく袋状の臓器に発生する胆のうがん、胆汁の出口で十二指腸につながる部分に発生する乳頭部がんの3つに分けられます。

胆道は胆汁の通り道である胆管、胆のう、乳頭部の総称でこれらの部位に発生する悪性の腫瘍を胆道がんと呼びます。胆管は長さ10~15cm、直径0.5~1cmの管で、胆のうは長さ7~10 cm、幅3~5cm程度の西洋梨のような形をした袋状の臓器です。

肝臓でつくられた胆汁は通常、肝内の胆管から、上部胆管(近位胆管)を通って、いったん胆のうで蓄えて凝縮され、細い胆のう管から下部胆管(遠位胆管)、乳頭部を通って十二指腸に流れ込み、消化を助けます。胆汁は肝臓で生成される黄褐色の消化液で、脂肪の分解と吸収に重要な役割を果たします。

胆道がんは、がんの発生した場所によって、胆管がん、胆のうがん、乳頭部(十二指腸乳頭部)がんの3つに分けられます。胆管がんについては、さらに肝臓から胆のう管までを上部(肝門部領域)胆管がん、その下から十二指腸乳頭部までを下部(遠位)胆管がんと2つに分ける場合があります。

また、がん細胞のタイプで分類すると、胆道がんのほとんどは腺がんです。腺がんは胃がん、肺がんなどにも多くみられ、がんの中で最も多いタイプです。まれですが、神経内分泌腫瘍扁平上皮がん、未分化がんといった特殊なタイプの胆道がんもあります。

胆道がんは日本では決して珍しいがんではなく、年間約2万人以上が新たに診断されています。男性では9番目、女性では7番目に患者数の多いがんです。また、50歳代から増え始めて70歳代、80歳代の高齢者に多く、胆管がんと乳頭部がんは男性、胆のうがんは女性に若干多い傾向がみられます。人種差や性差でなぜ発症率に差があるのかは不明ですが、胆石、胆のう炎、胆管炎、潰瘍性大腸炎、クローン病などの人は胆道がんにもなりやすいことがわかっています。

なお、胆管がんの一部は、印刷業務で使われている化学物質ジクロロメタン、ジクロロプロパンを長期間吸い込んだことが原因とされています。胆道がんの患者さんの多くは、右上腹部やみぞおちの痛み、眼球や皮膚が黄色くなる黄疸、白っぽい便などの自覚症状によってがんが発見されています。

全身倦怠感、食欲不振、体重減少、発熱といった症状が出る人もいます。胆のうがんで胆石や胆のう炎を併発している人は、早期のがんでも強い痛みを感じたり発熱したりすることがあります。

胆管がんの人の9割は最初に黄疸が出ています。黄疸は、胆汁の通り道ががんでふさがれ、行き場を失った胆汁が血液中に逆流するために起こります。胆汁中にある黄色の色素ビリルビンが血液中に増加して、眼球や皮膚が黄色くなるのです。

本コンテンツは認定NPO法人キャンサーネットジャパンが2017年4月に出版した「もっと知ってほしい 胆道がんのこと」より抜粋・転記しております。

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悪性リンパ腫とは(疾患情報)

  • [公開日]2017.03.27
  • [最終更新日]2017.06.29

悪性リンパ腫とは

悪性リンパ腫は血液のがんの一種で、細菌やウイルスから体を守る働きをしているリンパ系組織とリンパ外組織(節外臓器)に発生するがんです。がん細胞の形や性質から、ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に大きく分けられます。悪性リンパ腫は血液がんの中で最も患者数の多いがんです。体を細菌やウイルスから守る働きをしている血液中のリンパ球ががん化して、リンパ系組織やリンパ外組織(節外臓器)でリンパ腫と呼ばれるかたまりをつくります。

リンパ系組織とは、リンパ節とそれをつなぐリンパ管やリンパ液、胸腺、脾臓、扁桃腺のことです。リンパ系組織は全身に網の目のように張り巡らされて体を守っています。したがって、悪性リンパ腫はすべての部位に出現するおそれがあります。また、目、肺、胃、腸などのリンパ外組織にかたまりができるタイプもあります。

日本で悪性リンパ腫になる人は年間1万人に1人くらいで、患者数は年々増加しています。小児から高齢者まで年齢を問わず発症し、20代、30代の若い世代でもなる人が多いのが特徴です。性別では若干男性が多くなっています。一般的な症状は、首やわきの下、足のつけ根などリンパ節の多いところに腫れ、痛みのないしこりが現れます。原因不明の発熱が続いたり、急に体重が減少したり、ひどい寝汗といった症状が出る場合もあります。

原因は多くの場合不明ですが、一部の悪性リンパ腫にはウイルス感染症が関係していること、病気などで免疫不全になった人が発症するケースが多いことがわかっています。

悪性リンパ腫は、腫瘍細胞の形や性質から、ホジキンリンパ種とそれ以外の非ホジキンリンパ腫の2つに大きく分けられます。日本人の場合は、ホジキンリンパ腫が約10%、非ホジキンリンパ腫が約90%で、非ホジキンリンパ腫が圧倒的に多くなっています。細かく分けると30種類以上のタイプ(病型)に分けられるのも悪性リンパ腫の特徴の1つです。同じ悪性リンパ腫でも、そのタイプによって進行の仕方や治療法が異なります。

悪性リンパ腫の検査

悪性リンパ腫かどうか、またどのような種類のリンパ腫なのかを診断するためには、生検を行ってリンパ節や腫瘍の組織の一部を採取し、顕微鏡で調べる病理診断が必須です。また、リンパ腫の広がりや全身状態をみる検査も行います。

リンパ節に腫れやしこりがある、あるいは健康診断で悪性リンパ腫の疑いがあるとされたときには、まずは局所麻酔か全身麻酔をしてリンパ節やしこりの一部を手術で採取し(生検)、その組織を顕微鏡で詳しくみる病理検査で確定診断を行います。確定診断には生検が必須です。病理検査の際には、場合によっては染色体や遺伝子の検査を行い、悪性リンパ腫のタイプも診断します。

その結果、悪性リンパ腫だとわかったときには、胸部レントゲン検査、全身CT(コンピュータ断層撮影)検査、PET(陽電子放射断層撮影)検査、胃の内視鏡検査などを行い、がんの広がりを調べます。

リンパ腫が骨髄中に広がっていないかをみるためには、腸骨に針を刺して骨髄液を採取し、骨髄中の細胞や組織を調べる骨髄穿刺(生検)も重要です。必要に応じて、大腸内視鏡検査、MRI検査などを行う場合があります。また、病気の勢いや全身状態を調べるためには、血液検査や尿検査を行います。

血液検査では、白血球・赤血球・血小板の数、肝機能や腎機能などを調べます。血液検査でわかる血清LDH(酵素の一種)の値は、体内のリンパ腫細胞の量をみる重要な指標です。肝炎ウイルス、ヒトTリンパ球向性ウイルスⅠ型(HTLV-1)などが診断や治療方針に重要になることもあるので、感染の有無も調べます。

悪性リンパ腫は全身に広がっているおそれがあり、治療方針を決めるためには、このように複数の検査によってリンパ腫の広がりや全身状態を知ることが重要です。

本コンテンツは認定NPO法人キャンサーネットジャパンが出版する「もっと知ってほしい悪性リンパ腫のこと」より抜粋・転記しております。

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肺がんとは(疾患情報)

  • [公開日]2017.03.27
  • [最終更新日]2017.03.27

肺がんとは

肺がんは、気管や気管支、肺胞の細胞ががん化したもので、発生部位別に中心型と末梢型に、また組織別に非小細胞肺がんと小細胞肺がんに分けられます。原因の一つに喫煙が挙げられますが、非喫煙者でも発症する人が増えています。

肺は呼吸をつかさどる臓器です。呼吸は口や鼻から吸った空気が気管から樹枝のように広がった気管支を通って肺胞という小さな袋に入り、そこで血液中の二酸化炭素と空気中の酸素を交換(ガス交換)することにより営まれています。

肺がんは、空気の通り道である気管や気管支、ガス交換の場である肺胞の細胞が何らかの原因でがん化したものです。

肺がんの主たる原因は喫煙で、中心型の扁平上皮がんと小細胞肺がんは喫煙と深く関係しています。しかし、末梢型の腺がん、大細胞がんは喫煙との関連が低く、非喫煙者でも発症します。肺がんの罹患率は40歳代後半から増え始め、高齢になるほど高くなります。肺がんは無症状のうちに進行し、ほかのがんよりも転移しやすいため、治りにくいがんの1つであるといわれています。

リレイ肺がん5

肺がんの症状

肺がんが疑われるのは、

1、咳、痰、血痰、呼吸時のゼーゼー音(喘ぜんめい鳴)、息切れ、呼吸困難、声のかれ、胸痛など、呼吸器に関連する症状がみられるとき
2、頭痛、吐き気、手足の麻痺、背部痛、黄疸など肺がんが転移しやすい脳、骨、肝臓などに関連する症状がみられるとき
3、集団検診や定期健康診断で撮影した胸部X線写真で異常がみられたとき

などです。ただ、これらは肺がん特有の症状でないため、自覚症状ないままに健康診断や検診などで見つかる場合があります。よって咳や痰などの症状が長く続く場合には、医療機関を受診することをおすすめします。

本コンテンツは認定NPO法人キャンサーネットジャパンが出版する「もっと知ってほしい 肺がんのこと」より抜粋・転記しております。

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肺がんとは(疾患情報)

  • [公開日]2017.03.27
  • [最終更新日]2017.07.19

肺がんとは

肺がんは、気管や気管支、肺胞の細胞ががん化したもので、発生部位別に中心型と末梢型に、また組織別に非小細胞肺がんと小細胞肺がんに分けられます。原因の一つに喫煙が挙げられますが、非喫煙者でも発症する人が増えています。

肺は呼吸をつかさどる臓器です。呼吸は口や鼻から吸った空気が気管から樹枝のように広がった気管支を通って肺胞という小さな袋に入り、そこで血液中の二酸化炭素と空気中の酸素を交換(ガス交換)することにより営まれています。

肺がんは、空気の通り道である気管や気管支、ガス交換の場である肺胞の細胞が何らかの原因でがん化したものです。

肺がんの主たる原因は喫煙で、中心型の扁平上皮がんと小細胞肺がんは喫煙と深く関係しています。しかし、末梢型の腺がん、大細胞がんは喫煙との関連が低く、非喫煙者でも発症します。肺がんの罹患率は40歳代後半から増え始め、高齢になるほど高くなります。肺がんは無症状のうちに進行し、ほかのがんよりも転移しやすいため、治りにくいがんの1つであるといわれています。

リレイ肺がん5

肺がんの症状

肺がんが疑われるのは、

1、咳、痰、血痰、呼吸時のゼーゼー音(喘ぜんめい鳴)、息切れ、呼吸困難、声のかれ、胸痛など、呼吸器に関連する症状がみられるとき
2、頭痛、吐き気、手足の麻痺、背部痛、黄疸など肺がんが転移しやすい脳、骨、肝臓などに関連する症状がみられるとき
3、集団検診や定期健康診断で撮影した胸部X線写真で異常がみられたとき

などです。ただ、これらは肺がん特有の症状でないため、自覚症状ないままに健康診断や検診などで見つかる場合があります。よって咳や痰などの症状が長く続く場合には、医療機関を受診することをおすすめします。

本コンテンツは認定NPO法人キャンサーネットジャパンが出版する「もっと知ってほしい 肺がんのこと」より抜粋・転記しております。

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非公開: 乳がんとは(疾患情報)

  • [公開日]2017.03.27
  • [最終更新日]2017.08.08

乳がんとは

乳がんは、乳頭から放射状に張りめぐらされている乳腺にできるがんです。乳がん検診やしこりや痛みなどの自覚症状で発見されることが多いのが特徴です。

乳がんは乳腺にできる悪性腫瘍

乳房には、15~20個の乳腺が放射状に張りめぐらされています。この乳腺にできる悪性腫瘍が乳がんです。乳腺は母乳(乳汁)を分泌するための組織で、乳汁を運ぶ乳管、乳汁を作る小葉に分かれています。

この乳管、小葉などの細胞が異常に増殖した状態が乳がんです。がん細胞が乳管や小葉といった上皮細胞の中にとどまっているものを「非浸潤がん」、がん細胞が乳管や小葉の周囲に広がったものを「浸潤がん」といいます。

非浸潤がんは命の危険はありませんが、浸潤がんの多くは、目に見えないほど微小のがんが広がっている危険性があるため、全身を対象にした治療が必要です。

組織型による分類では、90%は乳管にできる乳管がん、約5%が小葉から発生する小葉がん、そのほか粘液がん、髄様がんなど特殊な型のがんに分けられます。ただ、組織型によって、治療法や病気の経過が変わるわけではありません。

全体の6~7%は若年性乳がん

年齢別には30代から増え始め、50歳前後から60歳代前半に多いのが特徴です。比較的若い20~30歳代で発症する「若年性乳がん」の人(全体の6~7%)もいます。また、乳がん全体の0.5%と非常に少ないものの、男性も乳がんになるケースがあります。男性乳がんは比較的進行が早い傾向があります。

乳がんの症状

乳がんが見つかるきっかけは主に、マンモグラフィ検診と、しこり、ひきつれや痛みなどの自覚症状による自己発見です。日本乳癌学会の「全国乳がん患者登録調査報告(2011年次症例)」によると、自覚症状があって検診を受けた人も合わせると61.6%が自己発見で見つかっています。自覚症状がないうちにマンモグラフィ検診で見つかった人は28.4%で、検診による発見率も年々増えています。

本コンテンツは認定NPO法人キャンサーネットジャパンが出版する「もっと知ってほしい 乳がんのこと」より抜粋・転記しております。

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前立腺がんとは(疾患情報)

  • [公開日]2017.03.27
  • [最終更新日]2017.06.15

前立腺がんとは

精液の一部をつくる男性生殖器である「前立腺」に発生するがんです。近年急増しており、2020年には男性のがんの罹患数の第2位になると予想されています。 

前立腺は男性生殖器の一部で、膀胱のすぐ下にある栗の実の形をした臓器です。尿道を取り囲むように位置しており、ここで精液の一部がつくられます。この前立腺に発生する悪性腫瘍が前立腺がんです。

世界全体で見ると、前立腺がんは男性のがんの13.7%を占めています。罹患率は、すべてのがんのなかで2番目です。もともと欧米を中心とした西欧諸国に特に多く、それに比べるとアジア諸国の罹患率はかなり低かったのですが、最近は日本でも急増してきました。2020年には肺がんに次いで、男性がんの罹患数第2位になると予想されています。

前立腺がんは加齢に伴って罹患率が上昇し、80代前半が発症のピークです。そのため、典型的な高齢者のがんといわれます。しかし、最近は50代の患者が増え、まれに30代や40代での発症も見られます。罹患率上昇の原因としては高齢化の進行とともに食習慣の欧米化が挙げられます。特に若年患者の増加は食事との関連性が高いと考えられています。

また、前立腺がんの発症、特に若年での発症には家族歴も関連します。父親か兄弟の1人が前立腺がんである場合、罹患率は2倍に、祖父やおじまで含めた近親者のうち2人が前立腺がんに罹患していれば、罹患率は4倍になるといわれています。高いリスクを有する人は、若いときから検診を受けることが勧められています。

ほかの多くのがんと同じく、前立腺がんも早期には目立った症状はありません。そのため発見が遅れがちでしたが、簡単で精度の高いPSA検査(P5)が開発され、最近はごく早い段階で発見されるようになりました。早期に発見すれば、前立腺がんは根治が可能です。

本コンテンツは認定NPO法人キャンサーネットジャパンが出版する「もっと知ってほしい前立腺がんのこと」より抜粋・転記しております。

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子宮頸がんとは(疾患情報)

  • [公開日]2017.03.26
  • [最終更新日]2019.01.31

子宮頸がんとは

子宮頸がんは、主にヒトパピローマウイルスの感染により、子宮の入口付近(頸部)にできるがんです。通常、初期は無症状ですが、進行すると不正出血が現れます。子宮は、中が空洞(子宮腔)の西洋梨のような形をしていて、胎児が宿るやや球形の体部(上方)と腟につながる細長い頸部(下方)からなります。

子宮頸がんは、子宮の入口にあたる外子宮口から頸部に発生するがんです。特に子宮頸部表面を覆う扁平上皮細胞と円柱上皮細胞( 腺細胞) の境界(SCJ)付近に発生し、前者にできる扁平上皮がんと後者にできる腺がんに大別され、扁平上皮がんが約8割を占めます。

子宮頸がんは女性なら誰でもかかる可能性のある病気で、30歳代後半~40歳代に多くみられますが、最近は、若年者で増加しています。女性特有のがんの中では乳がんに次いで第2位で20~30歳代では第1位です。発症原因の多くは、性交渉などにより女性の約8割が一生に一度は感染するヒトパピローマウイルス(HPV)です。このウイルスは珍しいものではなく、通常は免疫系によって自然に排除されます。子宮頸がんの発生と関係が深いとされるハイリスクHPVは約15種類あり、持続感染により、一部が異形成(前がん病変)となり、さらにその一部が5~10年の間に軽度→中等度→高度異形成を経て、がん化するといわれています。

初期にはほとんど症状がなく、進行すると不正出血(性交時、月経時以外)、悪臭を伴った赤色の帯下、下腹部痛や腰痛、下肢のむくみなどが現れます。

本コンテンツは認定NPO法人キャンサーネットジャパンが2015年3月に出版した「もっと知ってほしい子宮頸がんのこと」より抜粋・転記しております。

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脳腫瘍の基本情報

  • [公開日]2017.01.27
  • [最終更新日]2017.01.27
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肉腫の基本情報

  • [公開日]2017.01.27
  • [最終更新日]2017.03.13
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腎臓がんの基本情報

  • [公開日]2017.01.26
  • [最終更新日]2017.01.26
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甲状腺がんの基本情報

  • [公開日]2017.01.26
  • [最終更新日]2017.01.26
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白血病の基本情報

  • [公開日]2017.01.26
  • [最終更新日]2017.01.26
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皮膚がんの基本情報

  • [公開日]2017.01.26
  • [最終更新日]2017.01.26
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大腸がんとは(疾患情報)

  • [公開日]2017.01.25
  • [最終更新日]2017.06.29

大腸がんとは

大腸がんは、大腸の粘膜(内側の表面)に発生します。通常、早期がんでは症状はありません。進行すると血便や便通異常(便秘や下痢)、大腸は、右下腹部から時計回りに小腸を取腹痛などの症状を起こすようになります。

大腸は、右下腹部から時計回りに小腸を取り囲むように存在する全長約1.5~2mの管状の臓器です。大きく分けて結腸と直腸の2つに分けられます。大腸は、小腸で消化・吸収した残りかすである液体状の腸の内容物から水分を吸収して固形の便にし、肛門から排泄する役割を担っています。大腸がんとは、この大腸の粘膜(内側の表面)に発生するがんのことです。

大腸がんは増えている

日本で新たに大腸がんと診断される患者さんの数(罹患数)は年間約14万人で、高齢化と食生活の欧米化などにより年々増えています。大腸がんは、がんの罹患数の中では、男性では4位、女性では2位で、日本人にとって最も身近ながんの1つといえます。大腸がんの発生経路には、

①腺腫というタイプの良性の大腸ポリープが大きくなる過程でがん化する経路、
②正常な粘膜から直接がんが発生する経路

の2つがあります。

また、大腸がんの約7割は直腸やS状結腸(肛門に近い大腸)に発生します。

大腸がんの症状

大腸がんがある程度の大きさになると、血便(便に血がつく)、便秘や下痢などの便通異常、腹痛などの症状が現れますが、早期がんではほとんどが無症状です。また、大腸は長い臓器なので、症状の現れ方はがんができた場所によって少しずつ違います。結腸の右半分(肛門から遠い大腸)にできたがんでは、直腸がんやS状結腸がんに比べて症状が現れにくい傾向があります。

本コンテンツは認定NPO法人キャンサーネットジャパンが出版する「もっと知ってほしい大腸がんのこと」より抜粋・転記しております。

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唾液腺がんの基本情報

  • [公開日]2017.01.22
  • [最終更新日]2017.01.22
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食道がんの基本情報

  • [公開日]2017.01.22
  • [最終更新日]2017.01.22
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GISTの基本情報

  • [公開日]2017.01.22
  • [最終更新日]2017.01.22
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非公開: 中皮腫とは(疾患情報)

  • [公開日]2017.01.20
  • [最終更新日]2017.08.08

中皮腫とは

以前は中皮癌という表現も使われていましたが、現在は悪性中皮腫または単に中皮腫と呼ばれます。
中皮腫は、胸膜、腹膜、心膜、きわめてまれに精巣鞘膜(腹膜鞘状突起の遺残物で、精巣と精巣上体周囲の漿膜)の内面と、その腔内(胸腔内や腹腔内)の諸臓器の表面を覆う中皮細胞に由来すると考えられる腫瘍です。
発生部位別に、胸膜中皮腫(85.5%)、腹膜中皮腫(13.2%)、心膜中皮腫(0.8%)、精巣鞘膜中皮腫(0.5%)に分けられ、後者2種類はきわめてまれです。肺や腹腔内臓器の表面を囲むように、びまん性に広がります。

アスベスト(石綿)の曝露に関連があり、男性に多く発生します。多くの疫学的研究から、1970年代の初頭にはアスベストの発癌性と中皮腫との因果関係が確立しました。
アスベストは断熱性・耐久性・柔軟性が優れているため、有用な天然資源として20世紀には大量に採掘され利用されました。
アスベストのなかでも発癌性の強い角閃石石綿のクロシドライト(青石綿)とアモサイト(茶石綿)は1970年代から欧米では使用が控えられましたが、発癌性の弱い蛇紋石石綿のクリソタイル(白石綿)はその後も続けて使用され、全面的に禁止されたのは日本では2005年6月のいわゆる“クボタショック”からです。
尼崎のクボタ神崎工場の従業員や周辺住民に中皮腫が高頻度に発症していることが報告され、このクボタショックに端を発した「アスベスト・中皮腫」問題は大きな社会問題に発展しました。

アスベストの大量消費から40年以上が経過し、アスベスト発癌の長い潜伏期間(30~40年)が過ぎようとする現在、かつてはまれな腫瘍だった中皮腫は世界的に急増しています。
中皮腫による国内の死亡者数は2006年に1000人を超え、2015年には年間1500人を超えました。

悪性中皮腫の頻度は、アメリカとスウェーデンではすでに発生ピークを過ぎたとみられており、アメリカでは2004年にピークを迎えましたが、ヨーロッパは2015~2020年、日本では経済活動を支えるためにアスベストの使用が国策として奨励されたこともあり、ピークが訪れるのは2030年ともいわれており、過去のアスベストの使用量から今後も症例数は増加していくと予想されています。
アスベスト職歴があれば労災として、職歴のない場合は石綿被害救済法の申請を行う必要があります。

中皮腫は、アスベストがきわめて低濃度な一般環境での曝露でも発生するため、一般住民を対象にしたアスベスト検診が始まっていますが、中皮腫の効果的な検診法、早期診断法の樹立が緊急の課題となっています。
一方で、高濃度で曝露すると中皮腫の発生確率が高くなるというわけでもなく、アスベスト高濃度曝露群の発生率は10~20%であり、80%近くには発生がみられないこと、中皮腫には海外で多発家系がみられることなどから、アスベストに対する感受性を規定する遺伝的素因があるのではないかとも考えられています。

高濃度曝露者では胸膜中皮腫よりも腹膜中皮腫が多い傾向がみられます。BRCA-1 associated protein-1(BAP1)遺伝子変異があると中皮腫の発症リスクが高まることが示唆されています。なお、中皮腫と喫煙の因果関係はみられていません。

中皮腫は、組織形態学的には上皮型、肉腫型、豊富な膠原線維を伴う線維形成型(肉腫型の亜型)、上皮型と肉腫型が10%以上ずつ混在する二相型(混合型)の4種に区別され、線維型は特徴がないために診断が困難です。

中皮腫の症状

胸膜中皮腫では、呼吸困難や非胸膜性胸痛の症状が現れることが多く、全身症状は受診時には一般的ではありません。
胸壁やその他の隣接構造物に浸潤がある場合は、激しい痛み、嗄声(させい)、嚥下障害、ホルネル症候群、上腕神経叢障害、腹水の原因となることがあります。
患者の最大80%に胸郭外への広がりがみられ、その場合は、肺門リンパ節、縦隔リンパ節、肝臓、副腎、腎臓などに広がることが一般的です。

アスベスト肺に合併します。初発症状は息切れ、胸痛、咳、胸水による胸部圧迫感などで、疾患が進行するにつれて胸痛が強くなります。患者さんは息切れや漠然とした胸痛、体重減少などを主訴に来院することが多く、胸水が血性になることもありますが、血性胸水は比較的少なく40%以下です。
胸水そのものでは症状は出ませんが、大量の胸水によって肺が圧迫されたり、胸水によって炎症が胸膜に広がることで各種の症状をきたします。肺癌とは異なり、初期に血痰がみられることはありません。
また、まったく症状が認められない場合もあります。胸膜に沿って薄く広がるように浸潤し、嚥下困難や上大静脈症候群を生じることもあります。胸膜の線維性肥厚と胸水貯留がみられ、進行すると胸腔全体、肺内、横隔膜、胸壁に腫瘍細胞浸潤が広がります。

腹膜中皮腫は腹腔内の病気のため、早期にはあまり症状がみられません。病気が進行するにつれて、初発症状として、腹水貯留による腹部膨満感と、腫瘤形成に伴う腹痛があり、頻度はほぼ半々で、両者が同時に生じることは比較的少ないです。
その他の症状として、腰痛、食欲低下、排便異常、腹部のしこりなどがみられます。いずれの症状も、この疾患に特徴的なものではないため、早期発見・診断が難しい病気です。

心膜中皮腫はタンポナーデを引き起こし、脊柱、隣接する軟組織や脳に転移することがあります。心膜中皮腫では心膜炎やタンポナーデの症状がみられます。

用語:悪性中皮腫(malignant mesothelioma)
同義語:中皮腫(mesothelioma)、中皮癌(mesothelial cancer)、体腔癌(coelomic carcinoma)

参考資料:
呼吸器疾患 (コメディカルのための最新医学講座 第2巻)(2005)
Medical Technology 2009年2月号
Dr.レイの病理学講義(2012)
レジデントのための呼吸器内科ポケットブック(2012)
呼吸器疾患 ―state of arts―Ver.6(別冊・医学のあゆみ)(2013)
胸膜全書(2013)
メルクマニュアル第18版
ワシントンがん診療マニュアル第2版
トートラ人体解剖生理学原書第9版
都道府県(21大都市再掲)別にみた中皮腫による死亡数の年次推移(平成7年~27年) 人口動態統計(確定数)より http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/chuuhisyu15/

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多発性骨髄腫とは(疾患情報)

  • [公開日]2015.11.27
  • [最終更新日]2019.03.14

多発性骨髄腫とは

血液がんの一種で、血液細胞の1つである形質細胞ががん化する病気です。形質細胞ががん化した骨髄腫細胞は、体のあちこち(多発性)の骨髄で異常に増殖し、さまざまな症状(合併症)を引き起こします。

多発性骨髄腫は、血液細胞の1つである形質細胞のがんです。血液細胞のリンパ球の中には免疫を司るT細胞とB細胞があり、B細胞はウイルスや細菌などの異物を見つけると形質細胞に変わり、抗体(免疫グロブリン)をつくって攻撃し体を守っています。この形質細胞ががん化すると、異物を攻撃せず役に立たない抗体であるM蛋白(異常免疫グロブリン)を産生します。

そして、がん化した形質細胞(骨髄腫細胞)があちこちで無秩序に増殖して、さまざまな臓器の働きを阻害します。

原因はよくわかっていませんが、50歳ごろから年齢が上がるに従って発症率が増加し、高齢者に多いことが知られています。遺伝を心配する人もいますが、一般的に遺伝することはないとされています。

多発性骨髄腫では、骨髄腫細胞の増殖によって、正常な血液細胞をつくる造血機能の低下、血液中や尿中のM蛋白の増加、骨の破壊などが起こります。そのため、多くの患者さんに、骨の痛みや圧迫骨折、免疫機能の低下、貧血、高カルシウム血症などさまざまな症状が生じるのが特徴です。

多発性骨髄腫と診断された患者さんの中には、すぐには症状が現れない人もいます。この病気の治療法は急速に進歩しており、病気の進行や症状をコントロールしながら、長くつきあう病気になってきています。

多発性骨髄腫の検査と診断

基本的には、診察、血液検査、尿検査、骨レントゲン検査で総合的に診断します。確定診断には、腰の骨から骨髄液や骨髄組織を採取する骨髄検査が必要です。さらに、CT、MRIPET検査で病気が広がっている範囲を確認します。骨髄腫多発性かどうかは、診察、血液検査、尿検査、画像診断(骨レントゲン、必要に応じてCT、MRIなど)、骨髄検査で総合的に診断します。 

血液検査では、血液細胞(赤血球、白血球、血小板)の数、M蛋白やそのほかの蛋白の有無と量、β2ミクログロブリンやアルブミンの量などを確認します。尿検査では、24時間尿をためて尿中へのM蛋白の排出量を調べます。

また、確定診断のためには、骨髄検査(骨髄穿刺、骨髄生検)が重要です。局所麻酔をして腸骨(腰の骨)に細い針を刺し、骨の中にある骨髄液や組織を採取する検査です。採取した骨髄液や組織を顕微鏡でみて、骨髄腫細胞の有無や形、割合を調べます。骨髄以外の場所が腫れているときには、その部分の組織を取って骨髄腫細胞の有無を確認します。さらに、骨髄液を解析して染色体異常の有無をみる染色体検査で、悪性度が高く進行が早いタイプなのかを診断する場合もあります。

骨レントゲン検査、CT(コンピュータ断層撮影)検査、MRI(磁気共鳴画像)検査、PET(陽電子放射断層撮影)検査などの画像検査は、病気の広がりや圧迫骨折、病的骨折、脊髄圧迫といった骨病変の有無を調べるために必要です多発性骨髄腫による症状が出ているかどうかは、患者さん自身の自覚症状に加え、血液検査、尿検査の結果もみて判断します。

本コンテンツは認定NPO法人キャンサーネットジャパンが2015年11月に出版した「もっと知ってほしい 多発性骨髄腫のこと」より抜粋・転記しております。

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頭頸部がんとは(疾患情報)

  • [公開日]2015.05.06
  • [最終更新日]2019.02.01

頭頸部がんとは

頭頸部がんは、顔面から首(頸部)までの範囲にできるがんです。多くの種類があり、各々の発生原因や治療法、予後が異なります。頭頸部には呼吸、摂食、発声など重要な機能が集中しているため、生活の質QOL)への影響が大きいのも特徴です。 

生活の質に影響を及ぼす頭頸部がん

頭頸部とは顔面から首(頸部)までを指し、おおむね脳の下から鎖骨までの範囲で、耳、鼻、副鼻腔、のど(咽頭、喉頭)、口腔(舌など)、甲状腺、耳下腺などが含まれます。頭頸部には、顔面の形態を維持する、表情をつくるという整容的な機能、呼吸や食事(咀嚼/そしゃく・嚥下/えんげ)、発声、味覚、嗅覚、聴覚のような、生命維持や社会生活に重要な機能が集中しています。

そのため、頭頸部がんでは、がんのできる場所によっては、腫れや痛み、出血がある、飲み込みにくい、声がかすれる・出にくいなど、日常生活に支障を来すさまざまな症状が現れ、生活の質(QOL)が大きく低下することが問題になります。

発生頻度は低いが、重複がんもある

主な頭頸部がんとしては、咽頭がん(上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がん)、喉頭がん(声門がん、声門上がん、声門下がん)、上顎洞がん、口腔がん(舌がんなど)、唾液腺がん、甲状腺がんなどがあります。頭頸部がんの発生頻度は、すべての種類を合わせても、胃がんや大腸がん、肺がんなどに比べると低く、日本人の罹患数は年間1万5000〜2万例です。

ただ、近年、咽頭がん、口腔がんの罹患率は、男女とも約2倍に増加しているといわれています。また、頭頸部がん(特に中咽頭がん、下咽頭がん)では、転移ではなく、食道などまったく別の部位にがんが発生しやすいことが知られています(重複がん)。

がんの種類によって特徴が異なる

各々のがんは、発生要因や治療法、予後などが異なります。頭頸部がんの多くは中高年の男性に発症しますが、がんの種類によっては若年者や女性にも発症します。例えば、舌がんは20~30歳代でも発症することがあり、一部の下咽頭がんは鉄欠乏性貧血の女性に多く発生します。

頭頸部がんの発生には喫煙や飲酒が大きく関わっています。最近、中咽頭がんではヒトパピローマウイルス(HPV)の関与が指摘されており、50%を占めるという報告もあります。

舌がんでは歯並びが悪い、入れ歯が合っていないなどの理由で、歯や入れ歯が常に舌にあたることによる機械的な刺激や虫歯、口腔内の不衛生が発生要因の1つと考えられています。なお、ここでは、頭頸部がんの中でも比較的頻度の高い中咽頭がん、下咽頭がん、喉頭がん、舌がんを中心に解説します。

本コンテンツは認定NPO法人キャンサーネットジャパンが2015年5月に出版した「もっと知ってほしい 頭頚部がんのこと」より抜粋・転記しております。

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オンコロとは

  • [公開日]2015.03.23
  • [最終更新日]2021.01.26

onkorotoha

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私たちは、15年以上にわたり医薬品などの臨床試験(治験)の支援事業を行ってきました。この事業を通じ、多くの患者さん、ご家族が、様々な病気に対する新しい治療・治療薬を待ち望んでいることを知りました。また、多くの医療者、企業の方々も皆、一日でも早く新しい治療・治療薬を患者さんに届けようと日夜努力していることを知りました。

最近の調査では、日本では年間100万人もの方が、新たにがんに罹患されています。しかし、近年がんの臨床試験(治験)や臨床研究を効率よく進めることが難しく、また、その意義や意味について、がん患者さん・ご家族、一般の方々に正しく理解されているとは言えない現状です。

このようなことから、私たちは、日本の死亡要因第一位のがんという病気に対し、企業としても取り組むべき課題として、がんに関わる全ての人々がつながる活動の一つとしてがん情報サイト「オンコロ」を開設いたしました。

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  • [公開日]2015.03.23
  • [最終更新日]2021.04.06

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膀胱がんとは(疾患情報)

  • [公開日]2015.01.25
  • [最終更新日]2019.01.31

膀胱がんとは

膀胱がんは、腎臓でつくられた尿を一時的にためておく袋である膀胱にできるがんです。血尿で発見されることが多く、表在性がん(筋層非浸潤性がん)、浸潤性がん、転移がんなどのタイプに分けられます。膀胱は骨盤の中にあり、腎臓でつくられ腎盂、尿管を通ってきた尿を一時的にためておく袋状の臓器です。

膀胱の内側は尿路上皮という粘膜で覆われており、尿の量によって伸縮しています。膀胱がんの90%はこの尿路上皮の細胞ががん化し成長したものです。男女とも60歳以降に増え、男性のほうが多く、男性の患者数は女性の4倍です。初期症状は痛みのない血尿で、8割の人が血尿によってがんが見つかっています。
 
膀胱がんのタイプは、表在性がん、浸潤性がん、転移がんなどのタイプに分けられます。表在性がんは膀胱表面の粘膜下結合組織までにがんがとどまっており、筋層には広がっていない状態で、筋層非浸潤性膀胱がんと呼ぶこともあります。イソギンチャクかカリフラワーのように表面がぶつぶつ盛り上がり、乳頭状になっているのが特徴です。

また、上皮内がんは、表面には腫瘍が盛り上がらずに、粘膜の壁に沿って悪性度の高いがん細胞が散らばった状態になっている特殊ながんです。浸潤性がんは、筋層までがんが広がっており、膀胱の壁の外側やほかの臓器にも転移しやすい性質を持っています。転移がんは膀胱の外側にがんが広がった状態です。

膀胱がんの検査

膀胱がんかどうかは、膀胱鏡検査、尿細胞診、レントゲン検査、超音波検査、骨盤部MRI検査で調べます。確定診断のためには、内視鏡を使って病変部の組織を採取する膀胱粘膜生検が必要です。

膀胱がんかどうかは、ほとんどの場合、膀胱鏡検査で診断できます。膀胱鏡検査とは、先端にライトと小型カメラがついた細い内視鏡を尿道の出口から膀胱へ入れ、がんの有無や位置、形、大きさを観察する検査です。

健康診断やほかの病気で受けた尿検査で微量の血尿が見つかった場合には、まずは、尿中のがん細胞の有無をみる尿細胞診、レントゲン検査、超音波(エコー)検査で血尿の原因を調べます。

レントゲン検査では造影剤を注射して、腎盂や尿管にもがんがないかをみる静脈性尿路造影、または胸腹部CT(コンピューター断層撮影)検査を行うこともあります。

最近では、膀胱鏡検査で膀胱がんがある程度確定したときには、「骨盤部MRI(磁気共鳴画像)検査」で腫瘍の深さを調べる病院が多くなっています。確定診断のためには、下半身に麻酔をかけ、内視鏡を使って病変部を切除する膀胱粘膜生検を行い、採取した組織を顕微鏡でみる病理組織診が必要です。

膀胱粘膜生検は、多くの場合、初期がんの治療のために行われる経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)を兼ねており、表在性がんと上皮内がんであれば、ここで外科的な治療と検査が終了する場合もあります。

浸潤性がんの場合には、さらに、胸腹部CT検査や骨シンチグラフィ―でリンパ節やほかの臓器への転移の有無を診断します。なお、胸腹部CT検査は、膀胱粘膜生検の前に実施することもあります。

本コンテンツは認定NPO法人キャンサーネットジャパンが2015年1月に出版した「もっと知ってほしい 膀胱がんのこと」より抜粋・転記しております。

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膀胱がんの治験・臨床試験広告

卵巣がんとは(疾患情報)

  • [公開日]2014.11.06
  • [最終更新日]2019.01.31

卵巣がんとは

一般に「卵巣がん」といわれるのは卵巣の表面を覆っている表層上皮に発生するがんで、初期の段階では症状がほとんどないのが特徴です。卵巣は、女性の骨盤内にある親指大ほどの大きさの臓器です。子宮の両側(左右)に一つずつあり、子宮体部の靱帯に支えられています。この卵巣には多種多様の腫瘍が発生します。

卵巣腫瘍は、腫瘍ができる場所によって、
①表層上皮性・間質性腫瘍
②性索間質性腫瘍
③胚細胞腫瘍
の3つに分類されます。

さらに腫瘍は
①良性
②境界悪性(良性と悪性の中間)
③悪性
に分けられます。 

最も多く発生するのが表層上皮性・間質性腫瘍で、悪性の卵巣腫瘍のうち約90%がこのタイプです。一般に「卵巣がん」といえば、この悪性腫瘍のことをいいます。早くから「おなかが張る」「最近太った」という訴えがみられるものの、自覚症状がほとんどないため、早期発見しにくいがんです。

一方、卵巣がんは「組織型(そしきけい)」(がん細胞組織のタイプ)によっても分類されます。大半は腺がんといわれるタイプで、漿液性腺がん、類内膜腺がん、粘液性腺がん、明細胞腺がんの4種類に分けられます。同じ卵巣がんでも組織型により抗がん剤などの効き方が違ってきます。そのため、治療を進めるうえで自分のがんがどの組織型なのかを知ることは重要です。

卵巣がんの検査と診断

卵巣がんは、良性腫瘍との鑑別が難しいため、開腹手術を行っておなかの中を詳しく観察し、摘出した腫瘍を顕微鏡で調べる病理検査したうえで診断が確定されます。一般に卵巣がんが疑われるのは、卵巣に腫瘍がある場合です。がんの可能性を確認するために、医師による診察では腟から指を入れて子宮や卵巣、腟の状態を調べる「内診」や肛門から指を入れて直腸やその周囲の子宮、卵巣などの状態を調べる「直腸診」が行われます。

また、腫瘍マーカーを調べる血液検査も行われます。この検査は、体のどこかにがんが潜んでいると、ある特定のタンパク質(腫瘍マーカー)が増えるため(卵巣がんはCA125)、それを測定し、がんを見つけるというものです。しかし、腫瘍マーカーの数値だけで卵巣がんであることを確実に診断することはできません。このほか超音波エコー検査、CT(コンピュータ断層撮影)検査、MRI(磁気共鳴画像)検査などの画像診断を行い、卵巣腫瘍の状態、周囲の臓器への広がり方や転移の有無なども調べます。

卵巣腫瘍は多種多様で、しかも骨盤内の深いところにあるため、診察や検査だけでは、がんの診断および周囲の臓器への広がり方などを正確に判断することはできません。多くの場合は、開腹手術を行っておなかの状態を詳しく観察し、摘出した腫瘍の病理検査(永久標本病理検査)を実施して、卵巣がんの進行期と組織型が初めて確定されます。

本コンテンツは認定NPO法人キャンサーネットジャパンが2014年11月に出版した「もっと知ってほしい 卵巣がんのこと」より抜粋・転記しております。

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肝臓がんとは(疾患情報)

  • [公開日]2014.03.27
  • [最終更新日]2019.02.28

肝臓がんとは

 ウイルス性肝疾患やアルコール性肝障害、脂肪肝など原因はさまざまですが、原因が何であれ、慢性肝炎、肝硬変などの慢性肝疾患により炎症が長期に続く中、肝細胞ががん化して発症します。

 肝臓は、体の右側にある体内で最も大きな臓器です。肝臓には、肝動脈から酸素を豊富に含んだ血液が、門脈から栄養素などを含んだ血液が大量に送り込まれてきます。肝臓は、栄養素を利用しやすいように合成・貯蔵するほか、体内に入ってきた有害物質を無害な物質に解毒・代謝します。その後、血液は、肝静脈を通じて大静脈から全身に送り出されます。また、肝臓は、食べ物の消化に必要な胆汁を合成し、胆管から十二指腸へ分泌しています。

 正常な肝臓であれば、肝臓の約7割を失っても、3~4か月でほぼ元の大きさに戻るほど再生能力に優れているため、肝障害がよほどひどくならなければ症状が現れません。そのため、肝臓病は無症状のまま進行していきます。

 肝臓がんには、肝臓に発生する原発性肝がんと、ほかのがんが肝臓に転移した転移性肝がんの2種類があります。前者の約9割が肝細胞がんで、一般的に肝臓がんというと原発性肝細胞がんのことを指します。わが国では、年間約3万5000人が新たに肝臓がんと診断を受け、そのほとんどは高齢者で、男女比は3対1と男性が多く、東日本より西日本に多いことが知られています。

 肝臓がんの原因としては、これまでB型、C型肝炎ウイルスの感染が圧倒的多数を占めていましたが、最近ではアルコール性肝炎、脂肪肝など肝炎ウイルス非感染例(非B・非C)も増えつつあります。原因にかかわらず、肝臓がんは、ウイルス性肝疾患、アルコール性肝障害や肥満脂肪肝などによる慢性肝疾患(慢性肝炎、肝硬変など)によって炎症が長期にわたって続くことで肝細胞の破壊・再生が繰り返され、遺伝子が傷ついて、がん化するために発症すると考えられています。

本コンテンツは認定NPO法人キャンサーネットジャパンが2014年3月に出版した「もっと知ってほしい肝臓がんのこと」より抜粋・転記しております。

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